第1話
私は美雪、中学2年生。
生まれつき、他の子より少しだけ病弱で、基本的には普通に生活してるけど、年に一度か二度くらい入院してしまうことがある。今も体調を崩して入院してる。
私は自分の家族以外の人に対しては、おとなしくて人見知りするタイプで、友達もあまりいない。でも、そんな私にも、心の支えになってくれる人がいるの。
コンコン
「美雪、入るわよー?」
美雪「…!その声はお姉ちゃん!もちろんいいよ!」
ガラガラ
詩織「美雪ー。あなたの好きなイチゴのショートケーキ、買ってきたわよ~」
私とはかなり歳の離れた姉、詩織お姉ちゃんだ。
お姉ちゃんとは、お父さんが違ってて、歳も20歳くらい離れてるけど、とても33歳には見えないくらい美人で、それでいてとても優しくて、私のことを一番に考えてくれるお姉ちゃんのことが、私は世界一大好き。お姉ちゃんさえいてくれれば、他のものは何もいらないって思えるほどだ。
美雪「わー!美味しそうなケーキ♪食べていい?」
詩織「ふふ、もちろんよ。召し上がれ♪」
美雪「それじゃ、いただきまーす♪」
私達のお母さんは、私が小2になった頃病気で死んじゃった。私のお父さんは、私が4歳の時からずっと家にはいない。親戚たちの話によると、仕事の都合で遠くに行ってるらしい。それで、お姉ちゃんが母親代わりになって私の面倒を見てくれてるの。
美雪「…!す、すごく美味しいよ!このケーキ!」
詩織「ありがとう♪このケーキ買ったお店ね、結構評判いいのよ。随分と長い間並んだんだから」
美雪「お姉ちゃん、そこまでしてくれたんだ…。本当にありがとう!」
私はそう言ってお姉ちゃんに抱きついて、お姉ちゃんの大きくて形が整った胸を揉んだ。
もみもみ
美雪「えへへっ…♪お姉ちゃんの胸、いつも通り触り心地がいいね…♪」
詩織「・・・・・っ」
するとお姉ちゃんは、スッ、と私から少し離れてしまった。
最近、私がお姉ちゃんにこういうスキンシップをやると、お姉ちゃんはすぐ離れようとするの。なんだかちょっとさみしいな…。
詩織「・・・美雪、もう中2なんだからこういうことはもうやめなさい」
美雪「え~…。いいじゃない、女同士だし…」
詩織「それでも、ダメなものはダメよ。あ、そうそう美雪。今日は大事な話があるの」
美雪「大事な話…?」
詩織「そうよ。それじゃあ、ちょっと待っててね」
そう言ってお姉ちゃんは、病室から出ていった。
大事な話って何だろう…。私の身体のことかな…?
と、色々考えているうちにお姉ちゃんが帰って来た。
詩織「美雪、ただいま~」
美雪「あ、お帰りなさいお姉ちゃ・・・え?」
なんとお姉ちゃんだけではなく、私が一番嫌っている人も一緒だった。
「こんにちは、美雪ちゃん」
美雪「・・・こんにちは、智さん」
智さんは、3年くらい前からお姉ちゃんとお付き合いをしている人だ。つまり、お姉ちゃんと智さんは、恋人同士ということになる。
私は、智さんが大嫌いだ。私の、私だけのお姉ちゃんを奪ったようなもので、おまけに私のことを冷たい目で見ている気がするから。
だから私は、二人には早く別れてほしいと、ずっと思ってた。
大事な話というのは、二人が別れることになったとか、そういうことだろうと私は思っていた。
二人は、結婚することも視野に入れてるらしいけど、お姉ちゃんが結婚するなんてことは、私にとっては地球が滅亡するよりも恐ろしいことだ。
もし本当にお姉ちゃんと智さんが結婚するなんて言ってきたらどうしよう…と考えているとお姉ちゃんが改まって私に話しかけてきた。
詩織「あのね、美雪。よく聞いてちょうだい。
私ね、智さんと結婚することにしたの」
私の一番恐れていたことが、とうとう、現実のものとなってしまった。