カミヒコーキ
残り時間、後3分
それはちょうどお湯を入れたカップラーメンが出来上がる時間、でも最近は5分が増えてるよなー……
ってそれどころじゃないんだよ!
バス停にバスが来るまで、残り3分を切ったのです。アレに乗れないと次は30分以上先、そうなったらアウト。絶対時間に間に合わない。
ばたばたと走っていく、階段は一段抜かしで降りていく、
ふと、目があるものを捕らえた。
男の人、だと思う。帽子を被った人が、紙飛行機を折っていた。
こんな屋外で、もくもくと、隣には折られた紙飛行機の山が出来ている。
いったい何をしているんだろう……
「……あ」
ってそれどころじゃないんだよ!
思わず見入ってしまった。
慌てて走り出す。
バスの時間になった。
すでにここから見えるバス停にはバスが停まり、人を乗せている。
大丈夫、きっと走れば間に合う!
けど、バスはその扉を閉めようとしていた。
時間だから当たり前だけど、今日くらいちょっと遅れてもいいじゃんよ!
「待っ…!」
手を伸ばして声を掛けようとした。
その時、横を何かが通り抜けた。
足を動かしたままそれを見る。
「アレは……」
それは、真っ直ぐに進み……
プシューッ
閉まっていく扉に挟まった。
「……」
バス停に着き、挟まった物を取るために開いたバスの扉の前で立ち止まった。
それは、紙飛行機だった。扉に挟まれてくしゃくしゃになってしまった紙飛行機を拾う。
「コレって、さっきの……」
「乗りますかー?」
バスの運転手に聞かれた。
「あ! の、乗ります!」
紙飛行機を持ったままバスに飛び乗った。
プシュー
扉が閉まり、バスが走り出した。
椅子に座り、改めて紙飛行機を見る。
折り方は簡単なもの、開いても中は白紙の白い紙、
「……」
やっぱりこの紙飛行機、さっき折られてた物と同じだ。
でも、何でこんなところに?
と、何の気なしに窓の外を見た。
「あ……」
そこには、あの男の人が紙飛行機を抱えて立っていた。
もしかして、この紙飛行機はこの為に?
バスの窓を開けて、男の人に向けて紙飛行機を持つ手を振ってお礼を言ったのだった。
この物語は60%フィクションです。
残り40%は現実の話で、どこが現実か、どこが創造なのかはこれを見たアナタ次第です。
それでは、
感想及び一言、お待ちしています。