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魔法使いと夢と夢魔  作者: 高町 楠葉
第一章 魔法使いの息子
20/45

十九話 歩夢の父親

あと登場してないのは三女だけですね

 昼下りのショッピングモールにて一触即発の状況にあった歩夢達+空から降ってきた謎の少女の前に現れた人物。

 日本国内であれば何処にいても目立つであろう軽く190は超える大柄な男。

 彼の名は夜風歩紀いぶき。歩夢の父親である。

 あまりの衝撃に歩紀を除く総勢四名は完全にその場で固まっていた。

 しかし最初の空気を壊したのがこの男ならこの沈黙を壊したのもまたこの男であった。


「そっちの二人はもしかしてシエルとメアか!?大きくなったなぁ……ん?いや、メアはちっこいままか」

「な……!?ボ、ボクだってちゃんと成長してるもん!」


 顎に手を当てながら吟味するように告げる歩紀にメアは反論した。


「ほう、どの辺が?」

「え……?え、と……寛大な心……トカ?」

「体が成長してないのは認めるんだな……」

「おじちゃんのイジワル~~~!!!」

「おじ様、セクハラですよ。十数年ぶり会ったかと思えばいきなり何を言い出すんですか……」


 メアは顔を真っ赤にしながらべそをかき、シエルはため息混じりに頭を抱えた。


「ハッハッハ!まぁ、そう言うな。俺にしてみればお前達も優夢さんが残した大切な娘みたいなもんだ。元気そうで安心したよ」

「おじ様……」

「ぶ~……」


 シエルとメアの頭を撫でながら歩紀は笑顔でそう告げた。

 シエルは少し恥ずかしそうに、メアは少し不貞腐ふてくされながら、しかしどちらの表情にも嬉しさが滲み出ているのがわかる。


「あの!学園長!これは一体どういうことですか!?」


 と、ここで先ほどまで流れに呑まれていた少女が(かくいう歩夢もそうだが)声を上げた。


――学園長?


 歩夢は首を捻った。自分の父は教職に就いていたのだろうか?

 実際のところ、自分は父と過ごした記憶はほとんどない。幼い頃から仕事であちこち飛び回っていたし、母が亡くなってからもそれは変わらなかった。

 それでも必ず母の命日には帰ってくるし、自分が何か用事があって連絡した時はその時出られなかったとしても必ず日付が変わる前には返信が来る。

 母がまだ入退院を繰り返していた頃も、時間を作っては一緒にいようとしていてくれていた人だ。

 そんな父だからこそ歩夢は嫌いになる事も、怨んだりする事もなかった。

 しかし、『家族』という意味では自分は殆ど父の事を知らなかったのだ。


「ん?おお、八神さんじゃないか。約束には随分早いみたいだけど、どうしてここにいるんだい?」


 八神と呼ばれた少女は怒り心頭といった感じで歩紀に詰め寄る。


「どうしたもこうしたも無いですよ!あたし、この男に胸を触られたんです!!」

「い……!?」


 いきなり騒ぎの問題だった話が再熱し歩夢は動揺した。

 シエルとメアも何だか少しジト目を向けているような……少しは自分達のマスターを信じようよ、二人とも……


「ち、違う!こいつがいきなり空から降ってきて俺が下敷きになっただけで、それは不可抗力だろう!?寧ろいきなり引っ叩かれた俺の方が被害者だ!」

「空から降ってきた……?」


 歩夢の反論に歩紀は少し考えるような仕草をして八神の方に視線を向けた。


「八神さん。君、私が渡したメモ通りに転送装置使った?」

「え……?」

「いや、だからね?私の指示した通りの内容でプログラムを入力したなら私の家の庭に転送される筈なんだよ」

「え~っと……」


 歩紀の問いに八神は目を逸らす。心なしか、変な汗をかいているようにも見える。


「何より空から落ちるってどういうことかな?安全装置セーフティ機能がちゃんと働いていればそんな事にはならないと思うんだが……」

「う……!」


 核心を突かれたかのように八神はたじろいだ。


――え~、これはあれか?


「もしかしてこの人の一方的なミスのせいで俺は引っ叩かれ、あまつさえ殴られそうになったって事?」


 歩夢が今の今まで心に仕舞っていた本音を漏らすと、


「みたいだな」と、歩紀。

「みたいですね」と、シエル。

「みたいだね」と、メア。

「……」と、沈黙を何より深い肯定とした八神。


 各々の返答を受けた歩夢は大きく息を吸って盛大なため息をひとつついた後、締めくくるように言った。


「なんじゃそりゃ……」

三女登場はあと少し先になりそうです。

あ、コメント・メッセージもお待ちしております!


楠葉でした。

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