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魔法使いと夢と夢魔  作者: 高町 楠葉
第一章 魔法使いの息子
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十六話 気配りの出来る面倒臭がり

史さん、あなた何歳ですか?(

 騒ぎが鎮静化した後、歩夢達は簡単な自己紹介をすることにした。


「こっちの眼鏡が田口正平。で、少し無愛想な方が前史。二人とも今通ってる学校のクラスメイトだよ」


 歩夢の二人の紹介にシエルとメアは「初めまして」と声をハモらせながら軽く会釈をした(流石に空気を読んで二人とも腕から離れてくれた)。


「それでこっちの二人は……」


 歩夢がそのままシエルとメアの紹介をしようとしたところでシエルがそれを軽く手で制する。


「初めまして。田口様、前様。私はシエル、歩夢様の家に厄介になっています。この子はメア、私の妹です」


 もう一度ペコリと二人揃って軽く頭を下げた。というか家にいる事をバラして大丈夫なのだろうか?


「あの、失礼ですが……シエルさんと歩夢はどういうご関係で?」


 正平の当然の疑問にシエルはサラッと笑顔で答えた。


「ご主人様です」

「ぶっ!?」


 またしても予想外の展開に歩夢は吹き出した。

 まさかこのタイミングでさっき鎮静化したばかりの話題を掘り返すとは思わなかったのだ。

 しかしシエルはそのまま何事もなかったかのように話を続ける。


「私とメアはちょっとした事情でここに引っ越すことになったのですが、なにぶん慣れない土地ですのでどうしたものかと困っていたところを私達の父が歩夢様のお父様と友人だという事で紹介してくれるということになったんです」


 シエルの口から紡ぎだされる話はどれも初耳だった。


「それで歩夢様のお父様は『部屋が余っているのでよかったら家に来てくれて構わない』と仰ってくれたのでお言葉に甘えさせてもらうことにしたんです。でも、ただ厄介になるだけだと私の気が済まなかったので、住み込みのメイドとして家に置いてもらうことにしたんですよ」

「な、成程……」


 歩夢はそういうことか、と納得する。

 これから先どう足掻いても、彼女達が家にいる以上それを隠し続けるには限界があるだろうしそのうちボロが出る。

 その時になって言い訳をするよりはあえて最初から家にいる事を隠さず、それでいて出来るだけ不自然でない理由を言ってしまう方が得策だとシエルは考えたのだ。


「それで今あの家には歩夢様しかいないのでご主人様と呼んだら『照れくさい』と仰るのでマスターとお呼びすることにしたんです」

「……」


 シエルが一頻ひとしきり話し終えると正平は歩夢にジト目を向けた。


――いや、そんな目で見られても。というかシエルさん、そんな細かい設定まで作らないでください……

 

 そんな事を考えていると今まで黙っていた史が再び流れに割り込むように口を開いた。


「田坂。そろそろ行かないと間に合わなくなるがいいのか?」

「え、マジ!?」


 史の言葉に正平は慌てて携帯電話を取り出し時間を確認する。

 その顔からサーッと血の気が引いたのがわかった。


「何でもっと早く言わなかったんだよ!」

「知ったことか。大体、それは責任転嫁というやつだろう」

「わかってるよ!!やっべ~、遅刻したら殺される……!!」


 何やら物騒な言葉が聞こえたが歩夢は敢えて聞かなかった事にした。


「急いでるなら行っていいぞ?」

「畜生……!まだ聞きたい事が沢山あったのに!」

「お前がさっき言った『もう何も聞きません』は嘘だったのか……?」


 再び史の目が細められ、正平はブンブンと勢いよく首を振る。

 哀れ、正平。


「じゃあ、ちょっと急ぐから!また今度!」


 言うが早いかそのまま正平は全力で走りだした。どうやら遅刻したら殺されるというのはなまじ嘘ではないらしい。

 史も後を追うように数歩進んだ後、歩夢の方に振り返った。


「今度は気をつけろよ」

「え……?」

「いつでもフォロー出来るとは限らんからな……」


 歩夢は先ほどの事を思い出し、苦笑する。


「ああ、気をつけるよ。今回はありがとう」


 素直にお礼を言うと史はその言葉に答えずに背中を向けた。

 そして走り出す直前に背中を向けたまま呟くように言った。


「……かったるい」

とりあえず本日二つ目!

出来ればもう一回うpしたいけど無理かなぁ……


楠葉でした。

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