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魔法使いと夢と夢魔  作者: 高町 楠葉
第一章 魔法使いの息子
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十二話 長女の嫉妬

今回はシエルの回です。

 お風呂の一件でこってり絞られた歩夢(とメア)はグッタリとした様子でベッドに倒れこんだ。

 いや、言い逃れ出来る状況ではなかったとはいえ一時間以上正座をしたまま『エッチなのはいけません!』等と延々と言われ続けたらさすがに疲れもするだろう。

 メアに至っては慣れない正座のせいでしばらく立てなくなっていた(歩夢は普段から正座で食事しているから慣れている)。


「……でも何でシエルはあんなに怒ってたんだ?」


 確かに知らない人(或いは親兄弟)から見たらかなりアレな状況だったかもしれないがシエルならその辺の状況はわかっているだろう(というより寧ろ騒動の一端を担っている)。

 それ故に彼女が何故あそこまで怒るかわからなかった。


――……ヤキモチ?


 いやいや、そんなはずはないだろう。彼女は母の言いつけに従って自分の使い魔になったに過ぎない(はず)。

 ましてや自分と彼女は今日会ったばかりだ。そんな特別な感情なんてあろうはずがないだろう。歩夢はそう思った。

 シエルとメアのあそこまで露骨な好意さえも『使い魔達の過剰なスキンシップ』程度にしか思っていない歩夢もある意味考えものである。


「ふぁぁぁ……」


 歩夢は思わず欠伸を漏らした。寝るにしてはいつもより早いが、色々ありすぎて(説教の事を除くにしても)疲れているのも事実だ。

 シエルとメアには隣の空き部屋に来客用の布団を敷いてそこに寝る様に伝えているので先に寝てしまっても問題はないだろう。

 電気を消して布団に潜り込む。布団の中が自分の体温でじんわりと温かくなっていくのがわかった。


「……」


 目を瞑ると、眠気はすぐに訪れた。

 元々寝付きの良さには自信があるのだ(自慢になるかは置いておくとして)。

 歩夢の意識はそのまま睡魔に呑まれていった。





――トントン


 シエルは歩夢の部屋のドアをノックした。

 中からの返事はない。

 もう一度ドアをノックしてみる。


――トントン


 メアはすでに歩夢の自室の隣の部屋で眠っていた。

 説教が応えたのもあるだろうが、彼女はまだマスターと正式に契約をしていない。

 一日行動をするにはまだ若干魔力不足なのだろう。


マスター?もう寝てらっしゃるんですか?」


 現在の時刻は22時を丁度回ったところ。就寝の挨拶に部屋に出向いたのだが中からは物音がする気配もない。

 もう寝てしまったのだろうか?

 いけないとわかっていながらもドアノブに手をかける。


――ちょっとだけ、ちょっとだけだから……


 そう、ちょっと部屋の様子を見てマスターがもう寝ていたら自分も寝てしまえばいい。

 そんなふうに自分に言い訳をしながらドアを静かに開けた。


「……マスター?」

「……」


 部屋は真っ暗だった。中央に敷いてあるベッド、その上に掛けられた布団が膨らんでいる。

 やはりもう寝ているようだ。耳を澄ませばマスターの寝息を聞こえてきた。


「……」


 部屋から立ち去ろうとして、ふと立ち止まる。

 その視線が布団の膨らみに向いた。いけない事だとはわかっていても衝動を抑える事が出来なかった。

 一歩、また一歩と足音をたてないように布団へと近づいていく。


マスター……」


 歩夢の寝顔が見える距離まで近づくとシエルはぽつりと呟いた。

 心に沸々と怒っていた時の感情が蘇ってきた。


――メアだけなんて……ずるい……


 自分は何に怒っていたんだろう?

 いや、そもそも自分は怒っていたんだろうか?

 心の中にあるこの感情。

 それはどう取っても怒りのそれではなかった。


マスターが……悪いんですよ?」


 呟きながら布団に手をかけた。

 そのまま自身の体を布団の中に滑り込ませる。


マスターがこんな気持ちにさせるから……」


 歩夢の体にそっと手を回す。

 その体は温かくて、身長も自分と殆ど変らないはずなのにその背中は思っていたより広く感じた。


マスター……歩夢、君……」


 いつしかその温かさと共に、シエルの意識は睡魔に呑まれていった。

ちょっとメアがキャラの関係上目立ち過ぎたので今回はシエルの番です。

今回はある程度思った通りまとまってよかったです。


楠葉でした。

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