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Dear

作者: マーク
掲載日:2026/05/23

空を見上げていた。

雲の形が何かに似てやしないかと、あれこれ考えていた。


それで、既に形あるものに帰着させていることに気づいた。


失望した。

何者にもなれやしない。

そう突き付けられた気分だった。


心地いい風が吹いていて、無駄に長い髪が靡いていた。

生きてる。


死んだらもう、戻れない。

確証はないけど。


過去を失くすには、死ぬしかない。

でも、それは同時に、全部失くすことでもある。


生きてるうちは、過去、現在、未来を無条件で持ってる。


どれか一つを捨てることは、出来ない。

だから、全部持って行くしかない。


過去を今に変えることはできる。

もちろん、そんなことはしないけれど。


胸が苦しくなって、消え去りたくなって、他人と比べられて否定されやしないかと怯えて。


ボロボロになったまま、持っていこうと思う。


治せば今に、乗り越えれば未来に、綺麗にすればナニカに。過去は変わってしまうものだから。


それしか、本物は持っていないから。

それしか、私じゃないから。


あれはもう、辛くて、辛くて、未熟なんてものじゃなくて。


ただ純粋なものだった。


決して、未完成なものではなかった。


あの頃は幼かった?


そんなひどいこと、よく言えるね。


あなたは、自分のことが随分嫌いらしい。

いや、嫌いだと思い込んでいるらしい。


私も、そう思っていたけれど。


そうじゃないことに気付いたから。


本物であろうとする偽物は、本物よりも本物だ。

こんな言葉がある。


ここでいう本物とは、皆が想像する単なる理想であり、本物の本物ではない。


ただの記号。


偽物はいつまでも偽物だ。


本物は一つだ。


たとえ、偽物よりも価値がなくても。


そこに、本物はある。

そして、価値のないそれが、私自身なんだと。


あれが、私そのものだった。


今はもう、ジャムを塗りたくった食パンのようで。

好きなものを塗れるようで。


味が変わって。


偽物になった。


戻れない。


少しの余裕しか残っちゃいない。


これが消えたら、贋作だ。




隈がずっと取れない。

あぁ、明るい。

綺麗だ。


幼さなパンを作って

大人びてジャムを塗ろう

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