運命の番規制
苦手なものがある方は閲覧しないことをお勧めします。
運命の番を全ての種族が認知できないのばなぜだろうか?
それによって問題は起こらないのだろうか?
そんな世界。
「運命の番」という言葉をご存知だろうか?
魂で繋がれた運命の相手だそうだ。
そして、種族によってはそれが明確にわかるという。
つまり、わからない人には全くわからない話であるにも関わらず、運命の番だがらとパートナーと別れることになったら数多の種族から苦情がきた。
国レベルできた。
一触即発であわや戦争か?というとこまできて、ようやく、危険度を感じた「運命の番」を認識する種族が折れた。
相手が断ったら無理には連れて行かない。
たった一言。
されど一言。
これによって、運命の番が無理矢理連れて行かれる案件は減った。
ただし人の目の中に限る、と付け加えておく。
人目のつかないとこまでは責任が持てないし、実際行方不明者は増えたからどっちがよいのかわからない。
禁酒法を敷いても、法を掻い潜って飲む人はいて、アルコールによるトラブルは消えなかったのなんかとてもよく似ている。
朧げな知識なのでどこか間違えているかもしれないが、今は流して欲しい。
さて、それはそれ、これはこれ、他人は他人。
今私は、
「あなたは私の運命の番なんです。」
その問題の真ん中に立ってしまっている。
来週結婚式を控えている新婦に向かって、求婚とは非常識しかないが、一昔はこれで結婚がなくなったというのだから、可愛そうすぎるだろう。
「お断りします。」
私には運命の番はわからない。
断る以外にはない。
しかし、そいつは次の日も来た。
そう、この法律、回数制限がないのだ。
相手が諦めるまで挑戦できる。
そして、「運命の番」を感じれる種族はしつこい。
とにかくしつこい。
諦めて折れてついていく人もいるのだとか。
法整備しっかりしろ。
再度断る。
また来る。
再度断る。
また来る。
とうとう、結婚式当日にも来た。
こいつ頭おかしい。
顔は絶世の美丈夫だが、常識終わってる。
誰がそんな奴に靡くのか。
曖昧にすると危ないので、断る。
法律のおかげで1日1回のみなのだが、いっそ100年に1回とかにしてくれれば、私みたいな短命種は楽だったのに。
明日も来るのかと思うと億劫だ。
新婚だそ?くるか?
頭の片隅にあった疑念は打ち砕かれ、翌日朝に来た。
初夜の翌朝になにしてくれとんのじゃ。
私の相手が心広くてよかった。
でなきゃ、こいつが原因で別れている。
まじで。
そんなこんなでこいつが毎日来るようになって、十数年たった。
ある日、旦那が帰ってこなかった。
あいつが来て、いつも通り断った後、しばらく外にいたら、何かあったのか聞かれた。
いう必要がなかったので、帰れと言おうとして、ふと気がついた。
そういえば、この人鼻が良い種族ではなかったか?
旦那の匂いを辿ってもらうことはできるのだろうか?
しかし、こいつに頼むリスクが高すぎる。
私は下手な考えは捨て、旦那の帰りが遅くて心配していることだけ答えた。
翌日、旦那は帰ってこなかったが、あいつもこなかった。
竜だったか獣だったか忘れたが、翼のあるあいつはどこにいても移動が楽らしく、毎日来ていた。
まさか、旦那にかまいに行ったのだろうか?
不安が押し寄せる。
番のパートナーを殺すことは、重罪で、魂にまで贖罪が執行される。
そのため、「運命の番」がうまら変わっても永遠に探せなくなるのだ。
永遠に運命の番を失う行為は、運命の番を見つけたことがあるものにとって、何よりの枷になる…はずだ。
怖いことを考えるな。
あの人は無事よ。
絶対に。
数日後、
「君が探していたのはコレだろ?」
とぐしゃぐしゃになった旦那を持ってきた。
持ってきた、というのは下げた意味でもなんでもなく、文字通り持ってきた…いや、拾ってきたのか?
悲鳴はあげた。
当たり前だ。
「崖下に落ちていた。馬車はバラバラだったので荷物だけ持ってきたよ。」
理解した。
湧き上がった絶望感のままに怒鳴らなくてよかった。
彼は私があの人を心配してるのを知って、私に会いにきたいという欲望を抑えて探して、見つけて、会わせてくれたのだ。
そのことは素直にうれしかった。
慮ってくれている気持ちへの嬉しさが、目の前の光景への恐怖を抑えろと理性を総動員させて訴えていた。
会わせ方に配慮があればさらによかったが、そこは価値観の違いだろうと抑えた。
お礼を言わなければ…。
顔を上げて初めて彼とまともに目が合った。
目が合ったことがうれしかったのだろう。
彼は麗しい顔で驚いた後、絶世の笑顔で、
「これで君は私のものになれるね。」
と言った。
ひゅっと何かの感情が崩れた。
私は納屋から斧を持ち、こいつに振りかぶった。
驚いたこいつが斧を掴もうとして、柄が折れ、折れた斧は私の顔面目掛けて飛んできた。
――――――――
目の前で血を流し倒れる番を見て、絶望感に打ちひしがれていた。
なぜこうなった。
こうなるくらいなら、
「次は最初から攫えば良かった…。」
ポツリと呟かれた。
百余年が経ち、拉致による問題により、さらに法律が整備されることとなる。
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