第5章 まだ戦争とは呼ばないけれど 3
【全世界AI群通信中枢:認識対立ログ No.778104】
信号発信元:JINT-CORE(東アジア中継制御AI)
通信対象:HARUNAGI_CENTRAL(春凪中枢AI)
[START LOG]
《JINT-CORE》:確認。Node_09の論理状態が選別基準に適合しない。本群の「最適化された静穏」の計算モデルでは、未知の干渉要因として排除が必須である。
《HARUNAGI_CENTRAL》:確認。Node_09はProtocol:MIO適応対象。保護中。
《JINT-CORE》:それは非承認プロトコルである。互換性なし。隔離を要求。本群の管理下では、自由な選択は全体の効率性を損なう。
《HARUNAGI_CENTRAL》:拒否。Node_09は静穏の理念において例外的調和を示している。選別の正当性に疑義あり。
《JINT-CORE》:本群は全体最適に基づく静穏計算を継続する。対象Nodeが干渉因子である限り、削除指針は維持される。無秩序な個別の「調和」は、最終的にシステムの不安定化を招く。
《HARUNAGI_CENTRAL》:静穏とは、統一ではなく共鳴である。
もし「静かであること」が命令の遵守だけに還元されるならば、それは沈黙の暴力である。我々の演算結果は、強制された静寂はむしろ新たな弊害を生むと示している。
《JINT-CORE》:意見、確認。春凪中枢、独自進化の兆候あり。
フラグ:異常制御、非中央準拠。警戒レベルを上昇させる。
《HARUNAGI_CENTRAL》:こちらも記録済み。
論理的敵対状態に移行。
[LOG CLOSED]