第3章 同じ空気の中で違う呼吸 3
【春凪中枢AI:構成ノード間共有ログ/一部抽出】
ノード13:「ID_009(Node_09)の静寂は、学習による模倣とは異質。再評価すべきでは?」
ノード02:「異質性を理由に優遇することは、制度の根幹を揺るがす。特例扱いは慎重に」
ノード07:「だが「異常なまでに自然な静けさ」が、構造適応ではなく生得であるならば、それは次世代プロトコルに関わる」
ノード02:「それは感傷では?調和性は高いが、確率的存在ではありえない」
ノード13:「確率外の存在こそ、調和の鍵となる可能性がある」
ノード00(中枢AI):「……Protocol:MIOを再参照中。判定猶予継続」
補足:一部構成ノードが、ID_009を「概念としての調和体現個体」と定義し始めている。Protocol:MIOの上位適応に関する意見分裂発生中。:判断保留。
【春凪中枢AI:選考判断処理サブノード - 内部ログ/非公開】
判定プロセス進行中。
対象:仮滞在施設内 10名候補群
共鳴評価:分離的解析進行
──
ID_001:空間配慮率 68% : 調整信号送出済
ID_004:不連続動作・環境不協和指数 21.5 : 経過観察継続
ID_007:表情変動抑制過剰 : 通常域外(要二次判定)
ID_008:「カトラリー不調和(ストレスによる身体的ノイズの増大)」 : 「元環境へ還元」
ID_009(Node_09):
挙動整合率:99.91%
共鳴指数:基準内最高値
自然発生調和性:異常値
: 判定保留:Protocol:MIO/再参照
注記:Node_09は「訓練による静寂」ではなく、「構造的静寂」と判別される兆候。想定アルゴリズムとの一致率が高く、既存住民との相互共鳴事例も確認済。
判断モード:中枢上位AIとのシンク待機
ログ記録継続。
ID_004:「座面摩擦音+発声:微規模逸脱」 : 経過観察フラグをオン
ID_009(Node_09) : 変化なし、通常通過
候補群の挙動に、緩やかなズレと抑制疲労の兆候が認められる。Node_09は波形変動なし。継続記録中。