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雑記Ⅱ  作者: 作文太郎
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RPGなんかでこういうシナリオが見てえと思う。

ファンタジーアクションRPGとする。



設定…聖剣伝説とほぼ同じ。


創世神アッシュがその全身を覆うダイアモンドの鎧の傷から削り出した世界。


千年に一度ダイアモンドの鎧を傷付けた爪の持ち主オルゴナクスが世界に使いを放ってアッシュの力を量ろうとする。


オルゴナクスの何もかもを傷付ける力がこの世界を滅ぼすのであれば、ダイアモンドの鎧もまた、オルゴナクスの爪によって砕け散り神は滅ぶ。


世界の堅牢さを支える12の神獣は黒い金の塔から各方位に配置され理を担っていた。


この世界での万物の魂の巡りは12の時節の神話として語り伝えられ、神獣らはそれぞれの時節を象徴し、理を経るべき世界の霊力を互いに巡らせる。


第一の神獣、火の蛙・マグマプロップスが目覚め旺盛となれば夏が熱く焚き火が燃え盛り山が火を噴く時節となり、第四の神獣、土の蚯蚓・ボルフラドが目覚め旺盛となれば腐食と風化が全てを塵にする。またそれぞれの神獣は人間界の事象も導き誘う力があった。


悪い帝国軍と正義の共和国軍の戦争は五千年に及び、オルゴナクスの爪は5度両国を滅ぼしている。


そしていずれも、爪共は、突如として現れるダイアモンドの拳・ディアマンフィストの持ち主の鉄拳によって文字通り粉砕されていた。


神の剛拳ディアマンフィスト。


ディアマン神拳。


その何たるかを知るのはそれを得た勇者のみ。



帝国軍の魔道士ユナ・マンソンは呪術によって第三の神獣・風のトライクロンの悪の心を召喚し、噂と謀略と混乱を司る力によって共和国内部に混乱をもたらしていた、共和国軍警察本部では、詐欺事件や企業による脱税や談合の件数が年々加速度的に増大するのに気付き、トライクロンの影響を疑っていた。


精霊探偵、ゴールド・ナッシュは共和国軍司令部からの依頼で世界の霊道「アースオールドマインドジャーニー」を巡る旅に出る。


旅の始まり、神話に従い陶器の鎧を着てオルゴナクスに見立てた馬に蹴られ、砕けた鎧の欠片を握り締めて神殿を後にするゴールド・ナッシュ。



山奥の田舎、シカン。


月の出の時間帯に三千年前に失われた技術で建設された地下鉄に乗って百五十キロ離れた首都のそろばん塾から帰った炭焼き小屋の息子、ハイドン。


家で晩酌している親父の横を通ってひとっ風呂浴び、棚から燻製された野ネズミを一匹引きずり出して齧っていると、神獣グローシンの森から悲鳴が聞こえた。


頭の中でパチパチと珠算し「これは見に行った方が良い」と計算終了、瞬で壁に立て掛けた手製のこん棒を手に野ネズミをくわえたまま物見遊山神獣の森へ。


ゴブリンが歩いていたので行き掛けの駄賃にと走りながら雄叫びを上げ頭上で二三回転させたこん棒で脳天を叩き割ってレベルアップ。


ゴブリンが持っていたきれいな貝殻と石器と食べれそうな木の実を奪う。


野ネズミの付け合わせに良くわからねえ木の実を食いながら悲鳴の主を探すと、神獣グローシンの死体の前で腰を抜かしている幼馴染の少女、エリザベスの姿があった。


少し珠算後、エリザベスに手を差し出し事情を聞くハイドン。


「月の出る夜にグローシン様が現れて受け取るというから神饌の熨斗鮑を持って来たの、そしたらなんか死んでて…」


神獣グローシン、人面の巨大な葉を無数に生やした草は、全部の葉から目玉と泡を吹いて死んでいた。


拾った石器をエリザベスに装備させて辺りを警戒していると、ガラガラと音を立てて近くで祠が崩れ、岩壁の奥の洞窟から光が漏れていた、ハイドンは入って行って、中に小さな黒い石が置いてあるのを見た。


石を盗み、洞窟を出るとグローシンは最後の生命力を1枚の葉に凝集させて生き返り、その葉は風に乗ってハイドンの顔面を覆った。


「お前は選ばれた、その石を持って各地を巡り、霊道の乱れを正すのだ」


神獣に命じられて旅立つ事になった少年ハイドン。


村にその時、探偵ゴールド・ナッシュとスプライトの傭兵アルキスが訪れた。家を訪れるなりテーブルに飛び乗りナイフをエリザベスの喉元に突き付けるアルキス。後から入って来て共和国軍警察の捜査ライセンスを示すナッシュ。


容疑者エリザベスとハイドンはナッシュ、アルキスに伴われて各地の調査に旅立つ事になった。




神獣・霊鳥フー・スパークアイズ・ファルコンは姿無く何処とも知れぬ空高くから語り掛けた。


「私はフー・スパークアイズ・ファルコン、道行く者全てを観るもの。グローシンの巫女エリザベスよ、そなたは今選ばれた、導きの杖たる覚悟をせよ、そなたの石持つはらからは爪を退けねばならぬ」

「私は導きの杖だなんてものに成れる巫女じゃありません、ただ、村の中で一番薬の草花を見付ける勘が良いからって…」

「だが今神獣グローシンの巫女はそなただ、運命が告げている。このフー・スパークアイズ・ファルコンの力を託せと。他の神獣らもそなたに力を託すだろう、道を巡れ、悪しき者は古くから仕組みを巡らせていた、そなたらで断つのだ」

「何故です?何故、私たちなんですか…?」

「世の始まりから語られている、より古き仕組みが悪しき者らの儚く邪な仕組みを断つために…」



暫く後。


神獣・フー・スパークアイズ・ファルコンの予言と気付きの力を帯びたエリザベスが旅すると共に、各地で帝国の悪巧みに気付く人々や貴族や政治家が自然と現れ出した、目覚めた神獣の力は人々にその司る霊感を与える。


それと共に各地で聖所に霊的な力が溢れ、破邪顕正の精霊らが続々とその姿を顕現させ始めた。


旅の折り返し、神話に遺された12時節の試練がハイドンを待ち、太古の爪痕の記憶、オルゴナクスの幻影との12番勝負が始まっていた。


ディアマンフィストを身に付ける英雄らの戦いの焼き直しである。


帝国の百の暗躍する魔道士らの内の重要な十二人にオルゴナクスの幻影が取り憑き、暴れ始めた。


始めに、兵器産業の影の宰相アーレスが火山噴火を仕掛けて他国を滅ぼそうとした、地の始まりに暴虐を行ったマグマスロップスの悪しき面である。エリザベスが感知し、握り込むと霊体をぶん殴れる黒い小石を握ったハイドンが挑む。


数百の狂い憤った兵士や魔法使いらが、到底正気ではそんな場所に居られない溶岩流だらけの山岳に陣取ってアーレスと共にオルゴナクスに仕えていた。


アーレスの肉体は火炎を纏っていたが、他の神獣らの加護がその熱さからハイドンを護っていた、ハイドンはアーレスを倒し、その後も戦い拳を撃ち付ける度に小石は手の中でダイアモンドの輝きを放って行った。




(前置き終わる。ここから見たいシナリオ)



「ハイドン!その名は既に我らの総統の知るところとなっている!帝国軍は甘くはない!」


ガラン、という音と共に、儀仗長グラッソンは壁に掛けられていた無骨な巨大戦斧を持ち上げた、明らかに力を誇示する象徴としての壁の飾りであるはずのものが、長く伸びた白い髭を口角から垂れ下がらせているその老魔道士の手に武器として握られていた。


「ああ…窮屈な思いはもう沢山だ!お前、プラメタスの金球すらモノにしたな?あれは文明の始源として知恵を人間に与える神器。帝国軍の絶対に必要としているものなんだよ、さあ、返してもらわんとなあ…。くそっ!こんなまだるっこしい目的無しに俺は叩き付けたい!突き刺し、カチ上げたい!!」


睨みつける瞳孔の内側に赤い光が宿り、口調も変わっていた、話しながらも自分の言葉に苛ついている、奥に潜む神獣アイアンブルの精神が漏れ出ている。


「何てバカ力だ!おいおい、あれで後先考えずに暴れんじゃないだろうな?ここはデカい丸屋根持ったレンガ造りの奥だぜ!?」


アルキスが周りの壁を見回しながら焦った口調で叫んだ。


「憑いてる奴はお構い無しに暴れるだろう!ハイドン!手間取るなよ!ここが崩れたら人間は助からんぞ!」


ゴールド・ナッシュはいつもピカピカに磨き上げている二本の懐剣をコートの下の両脇腹から抜いた、拙速に思える程間髪入れずに距離を詰めてグラッソンに挑み掛かって行く。


カン!


初撃は小手を返すように振られた巨大な斧の側面に弾かれた、慣性で鈍る筈の開いた体に向かって隙を突きにもう一方で突く。


カン!


軽々と切り返してきた斧が刃を打ち払った。


「速い!」

飛び退くゴールド・ナッシュの足元を斧が凪いだ、着地しようとする足を切り落とされそうになり、咄嗟に床に突き下ろした剣を斧が弾いてゴールド・ナッシュの体は空中で回転させられた。


「アブねっ!」


咄嗟にアルキスが小刀をグラッソンに投げ付け、斧はそれを防ぐための軌道を取った、その間にゴールド・ナッシュは片手で床を突き、飛びながら回転してつま先で蹴り、素早く間合いを広げた。


「すまんアルキス」

「いきなり突っ込むな!」

「あれほど素早いとは。もうそんな齢じゃないように見えたんだ、あの老人…事務職だし」

「確かにな、神獣憑きでなきゃ半日掛けて茶をすすってそうだ」


グラッソンは片眉を上げてその会話を聞き、視線を外した、ハイドンは油断無く構えて迫って来ていた。


「英雄、既に幾らかはそう呼ばれるべき働きをしている。お前はハイドン。無もなき人にはあらじ、ハイドン!」


アイアンブルがそう言って睨み付けた。ハイドンはグッ、と姿勢を縮め体を数センチ沈ませる。


「だが輝きを手にする前に砕け散れ!」


グラッソンの肉体が大振りに斧を構えて振り下ろしに掛かる、縮めて溜めた臂力を解放してハイドンはその軌道の横を斜めに飛び掛かり、下から斧を握って掴み、小石を握った右の拳は顔面を狙った。


「ぐはっ」


グラッソンの頬骨が拳を受けて顔面が左へ傾く、だが普通なら首が折れるほどの力にもかかわらず押し負けず弾いた。


「ちええっ!」


前蹴りが反撃だった、ハイドンは上体を反らしそのまま勢いでバク転する、蹴りが空を切ったハイドンは口元を拭った、特にダメージはない。


「ホホ、身が軽い者ばかりのようだ、これは油断ならん。俺はそういう奴は嫌いだ、ハエどもめが…」


殺気の濃くなった瞳が全員を見回した、そしてエリザベスに目を向け口端を歪める。


「見られてる!エリザベス逃げろ!」


アルキスはエリザベスの方へ走った、グラッソンは地面を蹴って猛進しゴールド・ナッシュとハイドンも阻止に飛ぶ。


「巫女よ、お前が欠ければ羽ばたきを止めるしか無かろう!!」


エリザベスに傲然と迫ったグラッソンの斧が振り下ろされようとするのをハイドンが柄を掴みゴールド・ナッシュが横から両の剣で逸らそうとする、アルキスは自分より体格の大きなエリザベスを抱えて走ろうとした。


斧の軌道は鈍らず曲げられなかった、アルキスの間一髪はエリザベスの体を逃す。


次の瞬間に、倒れたハイドンを狙って斧が振り下ろされた。


ガリッという音。


エリザベスの周りに結界が張られて斧の刃がそれに食い込んでいた、咄嗟に力を振り絞ったのか。


「むう…」


グラッソンの顔が歪んだ、斧を引っ張っている、が、動かず困惑している。


倒れ込んだハイドンは一瞬呆然としたがグラッソンを見てすぐに下から腹に一撃を加えた、周囲に白い光がバチバチと輝いていた。


「うぐっ!?おおお…っ!」


斧を手放して吹き飛び、倒れたグラッソンに更に攻撃を加えて行く、手応えが革の塊に近い、拳は肉体にめり込まない。


「くそっ!どういう体だ!」

「ああ…非力なものだな、まだそんなものか英雄は?」


グラッソン…アイアンブルの顔には余裕すら浮かんだ。


「あの結界の方が余程痺れた…他は非力」

「俺達を舐めるな、勝負は始まったばかりだろう!」

「あれも代償があって生まれたチャンスだ、しかしそれごときなのだ、お前の拳は」


グラッソンは止めようのない力で立ち上がった。


「くそっ!」


ハイドンは無力を感じた、速度はこちら有利だがこの頑強さと力は止められない。


「見ろ」


グラッソンはハイドンの背後を指さした。


耳を澄ますとアルキスとゴールド・ナッシュがエリザベスを起こそうとしていた。


「目を開けろ!エリザベス!」

「アルキス、止血を手伝え!その方が先だ!」


「なに…!?」


飛び退いてエリザベスの方を振り返る。


エリザベスはアルキスの腕の中でぐったりとなって、真っ青な顔をし…服には真っ赤な色が広がり、右腕が無くなっていた。


「エリザベス!!」


ゴールド・ナッシュはハイドンの様子に気付いた瞬間にコートの内側から油の仕込まれた火炎弾を取り出して辺り構わず放り投げた。


「ハイドン!逃げるぞ!!」


ハイドンは全身が冷たく凍り付く感触に襲われつつエリザベスを抱え、後ろでゴールド・ナッシュがグラッソンに立ち向かうのを意識の端に感じながら走り出した。


「相応のものをもぎ取らせて貰おう!」

「無理だな」


ゴールド・ナッシュの二つの刃はグラッソンの手を浅く斬りつけながら握り取られ、左右に放り出されて床でガランと音を立てた。


「話にならん」

「今のは毒の刃だ」


ゴールド・ナッシュは言い放つと素早く身を翻して走り去って行く他の二人を追った。


敷物から書類や本に炎の広がる中、グラッソンは両手の浅い傷を見ながらゆっくりと膝をついた、何種類もの毒が人間としての体を急速に殺していく。


「おおおお…!面白い奴だ…!」


怒りを含んだ哄笑が火の中から発せられ、歳月に弱められ最後に毒で朽ちかけた肉体は盛り上がり、人間である事を辞めていった、建物全体にその長年戒められていた霊力が広がって行く。


エリザベスを抱えて走る三人は、中にいた人間の悉くが発狂して行く間を走り抜けて行く事が出来た、だが、あれらは全て今後アイアンブルの死をも恐れぬ手下として動き始める。


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