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上司の恋路  3

「さてと。とりあえず今日は敵情視察でもするか」

「敵言うなよ。まあ見ての通り盛んだよ。どうだ凄いだろ」

「何でアンタが自慢げ?まあそれは認めるよ。何せここからずっと遠い場所にいるはずの人たち(南区のパトロール班)までわざわざ食いに来てんだからな」

「サンちゃん!お代は置いてくね!またくるよー!」


クライヴたち、特にウルフリックが来てから不審になった客の何人が高速で店を出て行った。”安息の食事場”には”王国の黒犬”の団員が多く来ていた。彼らにとって料理はもちろん、サニタとスカイリンの存在も日々の忙しさと鬼上司ウルフリックから隠れるためのオアシスであった。だが、そのオアシスも今なくなった。バカ上司クライヴのせいで。



「そういえばあいつら今月はあそこの持ち場だっけか。ん?ってことはこの前西区にいるはずのあいつらも見間違いじゃなかったか」

「気づいたら注意してくれや、上司が。あと、屯所職務の昼休憩もあと1分だからな。時間に持ち場になかったら…わかってるんだろうな」

「「「サンちゃん!スカイちゃん!ごちそうさん!また来るねー!」」」


店の客の大半が出て行ってしまった。ウルフリックはスカイリンに頭を下げた。


「うちの団員達がすまなかった」

「いえいえ。皆さんよくここを利用してくださって感謝していますから。もちろん団長さんもですよ」

「う、うむ。ここはごはんがおいしくて安いからな」

「あ、でも騎士さんたちの中にまだお代を払ってない人がいますよ」

「…仕方ねぇ。オレの勘定に入れてくれ。まとめて払う」


サニタが団員達からのお代を数えると足りなかったことを知ってウルフリックたちに訴えた。溜息しながらウルフリックは渋々自分の金を出した。


「俺が払ってもいいぞ」

「いいよ。今日ぐらいは」

「そうか。わかった。じゃあそろそろメニュー決めるぞ」

「ああ」


ウルフリックは思った。おそらくこれは初めてじゃなかったと。クライヴは大雑把な人だ。彼にとってこれは上司が部下のおごったことだけと思っただろう。実際にそうだった。多くの部下たちはそんなクライブの性格に甘えていた。それを時々締めるのがウルフリックの仕事だった。


(あのテーブルに座ったのはジムだったか…戻ったら呼び出そう。まずは食い逃げの説教だな。あいつはシメたら前科あるヤツの名前も出てくるだろう)


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