異世界浴場
幸いなのが、俺がなぜか現地の言葉をしゃべる事が出来るという点だろう。
さすが異世界界パワー、何でもありだ。
とは言え、全てが自由になるわけじゃない。
とりあえず銀貨3枚貰ったので、そこそこ安そうな宿をしばらくの住処にしようと考えた。
適当にフラフラ歩いていると銀杏亭という宿が見えた。
適度にぼろっちいからきっと安いだろう。
ドアを開けると受付のおばさんが出てきた。
2m近い……鬼かな?
「泊りかい?」
「あぁ、これでどれだけ泊まれる?」
貰った銀貨一枚差し出した。
「へぇ、銀貨かい。そうさね。飯付きで二カ月ってところだね。それでいいかい?」
マジかよ……あの子いくらくれたんだ?
とりあえず即効でうなずいて部屋を確保した。
食堂はバイキングで形式で、置いてあるもの好きに食っていいらしい。
(食い過ぎると追い出されるらしいが……)
さっきメシ食ったばかりなので腹は減っていない、とりあえず部屋を見る事にした。
「んー、まあまあかな?」
6畳くらいの小さな部屋にベッドが一つ、あと申し訳程度の机だ。
まあ安宿なんてこんなもんだろ。
とりあえずベッドに寝転んで、今後の対策を練る事にした。
(当面の寝床と食事は確保した。あとは……仕事か)
会社員をしていたので仕事の重要性は分かっている。
生きていくにはお金が必要なのだ。
(まあ借りっぱなしもアレだから、いつか会ったら返さないとな……)
俺は浴場がある事を思い出した。
何か男女で時間が分かれているらしいが、今何時なのかもわからん。
人もいなさそうなので特攻する事にした。
「さぁーっ、異世界浴場だっ!!」
俺は勢いよくドアを開けた。
中には……着衣を脱いだ先ほどの少女、エンリンがいた。