表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

主人公は二度死ぬ

ヨーヨーの起源は古く、紀元前500年の古代ギリシアにおいてその原型となる遊びがあったというのが現代における通説であるが……事実はそうではない。古代中国の夏王朝において楊酔ヨウヨウという人物が王都に巣食う悪鬼討伐の為に用いたのが始まりであるという説が専門家の間においては支配的であり、時に起こる黄河の氾濫もヨーヨーで食い止め、王から報奨を賜ったという伝説がある。


~珍明書房~




目が覚めるとそこは……草原だった。


「なんか……スイスっぽい」


第一印象はそれだ。


とりあえず死んだらしいが、天国に来たのかもしれない。

そう思いつつも腹が減っていた。


(そう言えば、夕飯食いそびれたな……)


スイスならチーズだろと思いつつ草原を歩いていると、女性の悲鳴が聞こえてきた。


「きゃあきゃあ!!」


「ぬぅん、美女の悲鳴が……!!」


ちょっと何かを期待して声のする方に向かう東河……

確かに美女がこちらに向かってきていたが、その後ろに3メートルはあろうかと言う鬼が追いかけており、すぐさま進路を180度変更し逃げ出した。


「ちょっと、助けなさいよっ!!」


おおよそ美女が発するには似つかわしくない罵声。

東河はそれを振り切り、ひたすらダッシュしていた。


グオオオオオォンッ!!


地響きの様な咆哮……驚いた東河は足元を取られ転倒した。

その横を美女が通り過ぎる。


「ざまああああああっ!!」


最上級の煽りを喰らい、絶望する東河。

鬼もターゲットを転倒している馬鹿に定めたようだ。


(俺は……二度死ぬのか!?)


そう天を仰いた東河の頭上を、よく目にした物体が通り抜けた。


ドガアアアッン!!


巨大な鬼が後方に弾き飛ばされる。

天を仰いだままの東河の上を、またさっきの物体が通り過ぎて行った。

衝撃を受けた鬼は目の前の存在に怯え、そして逃げ去っていく。

東河は巨体を揺らしながら山の方に消えていく鬼を見ていた。


(俺は生きてる!!助かった!!)


後ろにいる救世主にお礼をしようと振り返った……

だが東河は別の意味で驚いた。


右手にはよく見るヨーヨー。

それを携えているのは10代半ばと思われる美しい少女であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ