僕の名前は?
僕は犬だって。
初めての記憶は暗くて寒い檻の中だった。
一緒に産まれたはずの兄弟はバラバラになった。ママもいない。ひとりぼっち。
そんな、ある日、いわゆるペットショップで女の人が「この子、安いから買おう。半額だよ!犬がいれば娘と仲良くなれるから!」
って言って騒いでいた。
何を言っているのか、僕には分からないけどね。
んで、新しいママが出来た。
パパとお姉ちゃんも出来た!
嬉しくて嬉しくて嬉しくて❗️走り回りたかった❗️
けど、走れなかった。
ママが言ってた。
「ここは、団地だから、走ったらダメよ。もちろん、吠えてもダメ。散歩なんて無理!」
団地ってなに?
なんで、走れないの?
お外に行きたいのに!
なんで?なんで?
そのうち、新しいお母さんができた。新しいお母さんは、騙されたって、戸惑っていたけど、連れて帰ってくれた。僕は泣いた。
そして、家族ができた。
そう。
最近はビックリしたけど、幸せな感じですごして、ママと遊んで、お兄ちゃんと遊んで。
たくさんごはんを食べて楽しくしてるうちに死んじゃった。
いわゆる、寿命だって。
ママ、めちゃくちゃ泣いてたから、ママのところに戻りたい。
でも、
いま、地獄のえん魔様って、人のところにきている。
こわいオジサンだ。
オジサンは、
「こわくないよー。ペットは、みんなここに来るんだよー」って言ってる。
そして、
「君の名前は何かな?」
って、聞いてきた。
もちろん、自信を持って大きな声で答えた!
「はい!」
「ぼくの名前は」
「カワイイ♥️です!」
・・・・・。
・・・・。
・・。
みんな、僕のことをカワイイ❗️って呼ぶよ。
きっと僕の名前は、カワイイだ!
空気が重い。どうした?
まちがえた?
えん魔様は、頭をかかえている。
あとから聞いたら、ここに来るペットだったやつに名前を聞いたら、全員名前が同じだから、事務作業が進まないらしくてさ。
だって、一番呼ばれた名前だよ?
間違ってない。
カワイイ♥️
それが、僕の名前だ!
うふふっ❗️