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第五十八話『目指すべき壁は高く』

「完敗、というほかありませんね。これがトップクラスとあなたたちの実力差というわけだ」


「先生が胸張って言うことでもないんだけどな……先生だって俺のこと止められないのは変わりねえんだからさ」


 戦いが終わったのち、力を使い果たしたことでへたり込む四人を見下ろして教師が諭すような口調でそう切り出す。それに対して裕哉はのんびりした口調で茶々を入れるが、その事実がゆるぎない事もまた真実だった。


「手も足も出なかった……というより、そもそも同じ次元にいなかったって感じだな。戦闘にすらなってねえって感じだ」


「影が喰らえない魔力なんて初めてでしたからね。……一対一で手合わせしていただいたときに、どれだけ手を抜かれていたかというのがよくわかりましたよ」


「それに関してはマジで申し訳ないというか、事情を聴いてほしいというか……あの時の俺にも、色々思うところはあってさ」


 痛いところを突く篤也の指摘に、裕哉は頬を掻きながらそう返す。今思えば意味のない手加減だったことは疑う余地もないが、その時の裕哉には確かにそれをやるべき理由があった。……その理由は、もう間違っていたことが判明したけれど。


「これから先、俺たちはイヤでも格上の奴らと戦うことになる。戦わなくても、目にする機会ってのは絶対に増えてくるはずだ。その時にいちいち驚いたり心が折れてたりしちゃ、話がいつまでたっても進まないだろ?」


 滅茶苦茶な奴ってのは結構どこにでもいるものだからな、と裕哉は虚空を見つめながら付け加える。その視界の中に写るのは、裕哉よりもはるかに多くの魔力を扱って戦場を支配する早希の姿、そして裕哉たちからでは想像もつかない読みから繰り出される計算尽くの魔術を武器にする真央の姿。……つまるところ、この学園のトップに立つ生徒会役員たちの姿だった。


「アイツらの戦闘とかなおさら見ずにはいられねえもんな……。早希の奴とかコンビ組んでても時々度肝抜かれるし、覚悟決めとかないとホントやってらんねえよ」


「彼らの戦闘を直で見る機会は少ないですが、本当の実力者であることは確かですからね。ショック療法というにはあまりにも急過ぎはしますが、それくらいしなければ彼らのインパクトに耐えきれたかどうか微妙だったという考え方も間違いではないでしょう」


「いや、ホント冗談みたいな話よね……裕哉の魔力量ですらトップじゃなくて、むしろ歴代の生徒会長の中では低い方だって言うんだから」


「そこはほら、俺の努力の結晶ってことで。……それに、お前たちはもう折れないんだろ?」


 裕哉の問いかけ――否、事実の確認に、四人が迷うことは無い。首を縦に振ったのを見届けて、裕哉は満足げに笑った。


「おし、それなら大丈夫だな。予定がずれにずれたけど、明日からは本当に次の試験に向けた対策会議だ。……忙しくなるぞ?」


 其の笑みに、四人が少しだけざわめきを上げる。なぜならその表情は明るくて、楽しそうで――


「……ええ。あたしたちが、ひっくり返してやりましょ!」


 梓は思わず、誰よりも先にそう声を挙げていた。

ということで、長い時間がかかりましたが次回からついに試験対策です!五人が果たしてどんな攻略法を見出すのか、楽しみにしていただければと思います!もし気に入っていただけたらブックマーク登録、高評価などぜひしていってください!ツイッターのフォローも是非お願いします!

――では、また次回お目にかかりましょう!


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