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第三十五話『新たな目標』

「……さて、早い話でもう五月。五月と言えばそう、合同のポイント争奪訓練がある月だ」


 始まった臨時授業でも、裕哉は自然と輪の中心に立っている。教師とともにキャスター付きのホワイトボードを見やり、裕哉は何事かを書き付けた。


「一応、全員参加ではあるわけだけど……その中身は言ってしまえば個人戦だ。限られた環境の中でどれだけの結果を出せるかのスコアアタック。直接交戦もできるけど、俺たちに挑みかかってくる奴らはそう相違ない。……ま、やりやすい環境で戦えるってことだけを覚えておいてくれればいいかな」


「……てことは、そこが俺たちと上位の差を埋められる最初のタイミングってことか?」


「そーゆーこと。ま、簡単な道のりってわけじゃないけどな」


 目を輝かせる暁人に、裕哉も笑って返す。その笑みにつられて、周囲も笑みを浮かべた。


「とはいえ、簡単に勝ち抜けられる戦いでないのも事実ですがね。このルールがあったとて、最下層の面々が上のクラスに這い上がれたことは一度とてない。その現実は変わらないのですから」


「……先生、あんまり現実ばかりを突き付けない。その認識も大事だけど、本当に大切なのはそれをどう前向きにとらえられるようにするか、だろ?」


 教師としての観点は非常にありがたいものではあるが、いかんせん現実主義すぎるのが難儀なところだ。もう裕哉たちを妨害する気はない――それどころか背中を押そうともしているように見えるが、その価値観んは教師という立ち位置以前のものの様だった。


「まあでも、先生の言った通り正攻法でやっても俺たちが上の奴らよりポイントを稼ぐのは難しい。なんせ火力化持久力か射程距離か、何らかの改善点を抱えてるから俺たちはここにいるわけだしな。……だから、俺たちはある程度の作戦を持ってあの試験に臨む必要があるってわけだ」


「作戦……って言っても、アレは個人戦なんだよな?同じクラスの仲間とは言え、協力するなんて難しいんじゃ……」


 裕哉の提言に、遠巻きにホワイトボードを囲んでいた男子生徒から疑問の声が上がる。さもありなんと頷くと、裕哉はまた何事かを書き付け始めた。


「勿論、表立った協力プレーはできない。霧島―—生徒会長も、それを認めてはくれないだろうしな。だけど、だからと言って何も協力できないわけじゃない。その方法を考えるのが、俺たちの今後の方針っていう訳だ」


「何ていうか、なぞかけみたいなことをする羽目になりそうね……いや、それはそれで面白いと思うんだけど」


「そうだな。真正面から行っても勝てないし、そういう手段を提示しに行くことが俺は一番の近道だと考えてる。俺たちへの認識が変わっていけば、生徒会だって俺たちを無視できなくなるだろうからな」


「そうなれば、私たちの待遇も自然と良くなっていくでしょう。無視できない存在になれば、私たちを見ていただける外部の方も増えていくでしょうからね」


 外部から見ていただける。その言葉に、青空教室はわずかに色めき立つ。教師なりの鼓舞がもう生徒たちの心をつかみつつあることに、内心裕哉は舌を巻いた。


「そんなわけで、明日からは少し違ったトレーニングを用意しておくからな。三人以外にも、興味があるやつは準備をしておいてくれ。それじゃあ、解散!」


 その言葉とともに、裕哉を取り巻いていた輪はゆっくりと解散していく。新しい目標を見据えたクラスが、ゆっくりとだが新しい流れに向けて近づこうとしていた。

次回からトレーニング開始です!果たして裕哉が与える策とはどんなものなのか、楽しみにしていただければと思います!もし気に入っていただけたらブックマーク登録、高評価などぜひしていってください!ツイッターのフォローも是非お願いします!

――では、また次回お目にかかりましょう!

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