生
三題噺もどき―ななじゅうはち。
お題:夜・鳥・光
夜。
泣く子も黙る丑三つ時。
ただ、暗闇が広がっている。
そこに一つの光が生まれた。
それは、何かの卵であり、始まりだった。
懸命に生まれようと、自ら殻を壊し、外に出ようとする。
その意思は、他の何ものよりも力強いものだった。
何よりも、美しかった。
殻を破り、生まれたその鳥。
彼は、何も見えない夜の闇に独り、生まれ来る。
真っ暗な世界で、先達となる親のいないその鳥は、歩き出す。
その足取りは、覚束ない。
しかし、確かなものがある。
どこに向かうのか、分かっているようであった。
彼が進むべき道が、分かっていた。
遠くに見える、小さな光に向かって、頼りなく、力強く歩いていく。