表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/26

その九

謁見の日を迎えた。何故か、分からないけど、昨日オリバーが必死になって、私に最小限のことしか答えるなと迫ってきた。オリバーの命に係わるらしい。それは困る。この至福の時間がなくなるなんて、耐えられない。


少しは、ロードという存在に興味はあるけれど、オリバーに比べれば石ころだね。


もう時間だと、オリバーを抑えるジャンヌがちょっと面白かった。


そうして、今に至る。


目の前に居るのがロードだ。


大丈夫。昨日、顔を上げるタイミングから、聞かれたことに答えるタイミング、すべて練習済みだ。今日の私に死角はない。


「なんか強いんだってね。勇者さん。」


「そんなことないですよ。オリバー様に負けて、ここに居るんですから。」


おい!敬語だ敬語!昨日練習しただろおおおおおおおおおお。


「ところで、これ。」


「…?。ああ、最初の勇者の人ですね。」


皇帝は無造作に私の目の前に死体を放り投げてきた。


「気の毒なことです…。私もこうなると?」


「いや…、それを見ても特に何とも思わないのか?」


「いえ。別に?」


「そうなのか?人間は仲間の死に恐怖し、怒り、悲しみ、そして、その死を力に変える…、と認識していたのだが…。」


なるほど…。私の反応を試したのか。


確かに悠人か結の死体だったら危なかった。でも、一緒に戦ったとはいえ、数回しか


話したことがない他人に、そこまで関心を抱くことはない。この世界に来たばかりの


私だったらすごく動揺しただろうが。私はもう普通の女子大生ではないらしい…。


「…。」


ロードは私を試すように見つめている。あのワーウルフのカスと違って、いやらしい感じはない。


それどころか好意的な視線すら感じる。何故だろう、私は敵対こそしていないが、別に積極的に彼らに協力しているつもりもないのだが…。


「お前はオリバーともう一度戦ったら勝てそうか?」


「絶対勝てませんね。」


「ほう?ギドウェアをあっさり瀕死に追い込んだと聞いたが?」


「ギドウェア…?」


誰だっけ?オリバーのほうをちらっと見る。


普段は威厳があり堂々としてるオリバーだが、アチャーみたいな顔してる。あれ?


「あはははははははははははは。」


わざとらしいほどに、ロードが大笑いした。


「そうか。ギドウェアのやつは名前も覚えてもらってなかったのか。お前が手足をぶったぎった、ワーウルフの王のことだ。」


「ああ?あの変態のことでございましたか。」


「うむ。変態か。身も蓋もない言われようだな。余は久しぶりに笑わせてもらったぞ。」


「お気に召されたようで光栄でござりまする。」


「さて、余が、この世界の覇者たる王の中の王、ロードである。よくぞ来た、異世界の勇者よ。」


「あれ?歓迎してくれるの?」


「そうだな。既に歓迎はしている。余は強いものが好きだ。賢く力のあるもの。余はそういった者たちを求めている。」


オリバーもジャンヌも特に反応はなく、私の横に控えている。今のところ、私の対応は合格点というところだろうか。


なぜか、ロードの機嫌が良くなってるようだ。さっぱり分からない。


オリバーには口酸っぱく、最低限のことしか返すなと言われたし、これがその最低限のことだろう。『お前は俺のものだからな』。神セリフを記録させてもらった甲斐はあったもんだ。


「ところでどうだ?勇者よ、余とも一線交えてみる気はないか?」


「いいの?オリバーからは自重しろって言われてるけど。」


あれ。何か右隣に居るオリバーからの圧が高まった。ちょっと隣を見たくないぞこれは。


「オリバーがどう言おうが関係ない。余が尋ねたのはそなたの意志だ。余ともいい戦いができるようであれば、すぐに自由の身にしてもよいのだぞ。」


「別に興味ないですよ?」


今更ながら、改めて問われて、即答してしまった。


24時間、推しと居られて、何なら推しが様々なセリフでイチャイチャしてくれる。なんだここは天国だったか。別に不自由してないし、何の興味も湧かなかったんだけど。


「ほほう…。そなたは自由に興味がないと申すか。」


ん?ロードは、私を挑発してるのかな?


その程度の挑発では私は乗らない。そうだな、オリバーが耳元で3時間ぐらい、色々とセリフを言ってくれるなら考えてもいいんだけど。


「フッ。挑発には乗らんか。」


「期待外れでしたか?」


「いや。そんなことはない。余を前にして、全く動じないその強き心。よほど腕に覚えがなければ、そうはいかんだろう。」


「オリバー様!私、褒めてもらったよ?」


「いや…。褒められてはいない…と思うぞ?」


オリバーが遠い目をしながら答えてくれた。


「さて…、そなたの人となりは十分に分かった。そなたの処遇はオリバーに任す。オリバー及びジャンヌ!下がってよい!」


ロードは屈託のない笑顔を見せながら、高々に言い放った。。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ