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わらべの詩(仮題)

勇者さま

作者: 浮き雲

どこにでもいそうな、小さな勇者さまのお話。




山の上から、手を広げ 斜面にそって、ひとっ飛び 


そのまま海に飛び出して 波を切り裂き、どこまでも


ゆけば、おいらのあとついて 飛び魚たちも、舞いあがる




疲れりゃくじらの背に乗って 大きな波を切り裂いて


七つの海をかけ巡り 幽霊船や怪物を


やっつけ、おいら、海の(ぬし) したがう魚も数知れず




とらぬ狸のなんとやら うたた寝すれば、いつの間に


日暮て、星が輝いて 父ちゃん、母ちゃん、思い出し


さっさか、勇者の役すてて 「お家、恋し」と泣きだした




おまえが、勇者なわけがない 泣き虫なんぞ、くそくらえ


くじらが潮吹き、とばされて しぶきとともに舞いあがり


月の光で金色の 虹をすべって海の中




涙におぼれ、目が覚めて からだを起し、考える


あれれ、おかしい なぜだろう 夢が消えても、海の中


泳いだように、ぐっしょりと 濡れているのはなぜだろう




ちくしょう、失敗、しちまった 明日、晴れればいいけれど


母ちゃん、こっそり、このシーツ 洗って、干してくれるかな


いそいで、パジャマをはきかえて あわてて、ふとん裏返す




それでも、おいら勇者さま


シーツの海に世界地図 描いて、そいつをひとまたぎ


矢でも、なんでも持ってこい


やっぱり、おいらが一番と 夢の中へと逃げちまう




それでも・・・



母ちゃん、明日、怒るなよ おいらは夢の勇者さま


お使い、片づけ、かたたたき なんでも言うこと聞いてやる


だから、母ちゃん この、おいら 敵に回しちゃ許さんぞ




子どもの頃は、夢の中で自由に飛び回っていました。それが、いつの間にか、浮かぶだけになって、気が付けば、飛ぶことができなくなってしまいました。夢でさえ飛べない大人の、子ども時代への、ちょっとしたノスタルジーです。

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