第1話 拾い子
どうも、みかんグミです!一週間ぶりですね。
次話はまた来週の日曜の予定です。ちょっと長めになってしまいましたがお付き合いください!
森の中。肩下程まで伸ばしたつややかな金髪を下げ、澄んだ碧眼。白と紫、黄色を貴重としたミニドレスに見を包んだ少女は、豪華だが静けさを感じさせる馬車に、少女の従者とともに乗っていた。散歩の帰りだったので、おっとりと外の風景を楽しんでいたのだが……。
「ん……?」
少女は、森の景色が一部変わったことに気づいた。自分の動体視力には自信がある。速い速度で走る馬車からの景色の中で、あの一瞬に見えたのは___。
「____っ、止まって!!」
「!?」
従者は突然の言葉に驚くが、それに従い馬たちを半ば強制的に止まらせる。急に止まり大きく揺れる馬車の中でバランスを取ったあと、状況把握のため主人に尋ねた。
「ど、どうされましたか?」
その質問に即座に主人は答える。
「ほら、あそこ……。」
「……!あれは……!」
主人が目を向けた方向に従者も急いで目を向けると、そこにはかろうじて意識が繋がっている状態である、満身創痍な状態の一人の少女であった。紫に毛先が黄色のグラデーションのついた髪に、黒を貴重とした服。うっすらと開かれている紫の瞳は、とても、潤んでいるようだった。
「大丈夫?」
と、急いで満身創痍の彼女のもとへかけより金髪の少女が声をかけた。
だが、それに応答する余裕もないようだった彼女は、二人の少女たちを見ると、途端に崩れるように倒れた。
「あっ!」
少女たちは驚いたが、このまま野放しにするわけにはいかないと思った従者は、一つの提案をする。
「ハイラ様……この人を、王城まで、連れていきます
か……?」
「えぇ。連れていきましょう。可哀想だもの……。
それに_____。」
そう金髪碧眼の少女___ハイラは、その従者___シュベリーの提案を受け入れた。本当ならすぐ馬車に乗せたいところだが、そう簡単にはいかない。この馬車は面倒くさいシステムがあるのだ。安全に運ぶ方法について、ハイラとシュベリーは話し合う。だがこれも、すぐ決まることだ。もれなくして、紫髪の少女は通りすがった王族により王城へ運ばれることとなるのである_____。
◆◇◆◆◇◆◇◆◆◇
ここは、どこ……?朦朧とする意識の中、なんとか外の状況を把握しようとする。混濁する意識の中で、かすかに感じたのは、私の前に二人の少女がいるということだけ。一方は黄色、もう一方は桃色の。いや、ピンクかも………。
ともかく、この人たちは一体誰なんだろう。なんで、私の前に、知らない人が……。
でも、まぁいい。もう私の目標の半分は、達成されたようだから。意識が、深い眠りにつこうとしている。やっぱり前の人が気になったけど、もうこのさいどうでもいい。
(眠い……。)
そう思ったが最後、私は薄れゆく意識に乗り、そのまま深い眠りについた。しばらくはこの草の上で眠りこけるだろう。
___なんだか、全身が痛い気がした。寝違えてるのかな。
◇◆◆◇◆◆◇
「………………!」
ふかふかしている感触の中、私は目が覚めた。どれくらい寝てたんだろう……。よく分からないが、今の時間帯を知るために太陽の位置を探そうと思い、上を向く。
だが。
「あれ……?太陽がない……。代わりに、絵……?」
上を向くと、そこには空……ではなく、白い壁に、絵が塗られたような天井があるだけだった。しかも周りを見ると、なるほど、私はどこかの豪華なベッドの上にいるようだ。道理で、私の下に異常なまでにふかふかした感触があるわけで。
「でも、なんでこんなところに……。私は確か、森の
草の上で……?」
と混乱していると、右横から明るいすっきりとした声がかかった。
「そのことだけど。」
「!?」
いると思ってなかったので、驚きで反射的に体がベッドの左端まで後ずさる。そして声をかけられた方に目を向けると、
「な、何よ。そんなに驚かなくても良いじゃな
い……。まぁでも、良かったわ。目が覚めたの
ね。具合はどう?」
と呆れと安心が込められた声がかかった。そこにいたのは、金髪碧眼の少女だった。
「だ、誰………。」
となんか警戒していた私は半ば動揺気味で質問する。すると、
「あ、あれ、私のこと知らないんだ……。」
と小さい声で呟いた。(本人には聞こえていない。)
「?」
「あ、あぁ、私はリベリカよ。よろしく。」
「よろしく、です……。」
と今頃挨拶をかわす。かすかな沈黙が流れたあと、リベリカは
「あ、それと一つ。」
と前置きしてから、
「あなたの名前と出身地を教えてほしいんだけど。」
と尋ねられた。
「名前と出身地……?」
「えぇ、そう。個人情報だけど、元気そうだしもとに
送り返さなきゃいけないから。」
とそう言って、白、紫、黄を貴重とした服を着て、頭に茶色で飾りとして黒のフリルがついた青の宝石をつけているカチューシャを身に着けていた少女リベリカは、ポケットから白のメモ帳と小さい羽ペンを取り出した。
「えっと、名前は、フレア。出身地は……。」
そこで、私____フレアは、言葉に詰まった。これ以上は……。言葉が行き詰まると同時に、リベリカのペンもとまる。
「え、出身地は?」
「……。」
「え、あの、えっとー。出身地は?」
「…………。」
「あの〜……?」
「____ッ!」
「……無言貫き通しちゃうか〜……。」
それ以外の質問なら答えられる限り答えるが、こればかりは答えても仕方がない。
リベリカは少しイラッと来た様子で顔に一つの怒りマークを浮かべる。(そういうふうに見えるだけ。)
「あのね、出身地を教えてもらわないと送ってあげら
れないから……」
「あなたじゃ、」
「!」
「きっと、分からない、よ……。」
傍からしたら意味深な言葉だけど、それは事実だ。どうせ、この場所で誰に言っても、首を傾げられるだけだろう。
もしかしたら、伝わる者もいなくはないのかもしれないが。私の発した意味深な言葉に、リベリカは首を傾げる。
「それってどういう……」
こと、と言い終わる前に私達のいる部屋のドアを勢いよく開ける音で途切れる。何事だろう。私達はドアの方に意識を向けた。
そこにいたのは、フルプレートの(とても質素だが)騎士が息を荒らげて立っていた。これが、王国を守る国家騎士、と呼ばれるやつか。
基本、国で王に忠誠を捧げ国の保全に務める騎士のことを国家騎士というらしい。まぁここではどうかわからないが。
騎士は、非常に焦った様子で言葉を紡ぐ。
「王都の街に、超級モンスターが!!!」
「___ぇ。」
そこには、焦って息を荒らげていても佇まいは崩さない騎士と、絶望に打ちひしがれたリベリカと、いまいち状況についていけていない私の姿があった。
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次話は来週の日曜です。では、また。