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4th:禁忌の魔法

前回の引き続きです。

文の入れ込みがくどいかも。精進します。

例えば、例えばだ。

 上も下も差別も区別も飢餓も蹂躙も嘲笑も哀願も絶望も糾弾も強欲も強奪も悲しいくらいの切望ものめり狂うくらいの幻覚も全部全部ないのなら、嘆き疲れそれが当たり前になるこの世界における全てが惨劇なそんな世界がないのなら、幸せでどんなものが幸せかわからない俺らに教えてくれる教えられる暖かい世界が本当にあるのなら、

 欲しい。

 ただ、ほしい。

 見せ付けてないで、俺らにも分けて欲しい。

 そう渇望した時、そこに住んでいるはずのひーとヤアイの目が頭に浮かんだ。

 彼女等の瞳は暗かった。

 そんな瞳をさせる世界が、そんな綺麗なものであるはずがない。

 ・・・そんな世界はないんだ。

 結局全ては、夢と幻なんだ。

 「・・・・・いつ頃ですか?」

 ヤアイはひーに聞いた。数瞬の物思いから思考が抜け出す。

 「向日葵の前〜世」

 「・・・・・・・・・過去へモノを送るのは、禁忌だと存じているはずです・・・・・・・・・」

 「お願ぁい」

 「うぅ」

 ヤアイはひーのおねだりに渋い声を出す。そういうのに弱いのだろうか。いや、ひーに何か気まずいことがあるが故か。何が起こったか俺に知る術はないけど。

・・・知りたいのか?俺。・・・これが『好奇心』と言う奴か?

 「罰はアタシが受けるからよぉ」

 「・・・・・・わかりました・・・。でも、罰はいいです」

 「いいの?」

 折れたヤアイが、ひーにその内容を話す。

 「ほんとは無いんです。罰なんて。ただの脅しなんです。じっちゃんがこっそり罰なくしたんです。緊急時に何があるかわかりませんし。あ、でも、『クロノス』の許可なかったらダメですけど。ばぁーっ、ってなります」

 「ばぁー?」

 何だそれ。

 「・・・え、ほんと?悪いなぁ。じゃあ、早速コイツの事いい?アタシも手伝うからさ」

 「はい」

 そういうとヤアイは絨毯マントを脱ぎ、それを丸めると、中から「よいしょっ」と長い木の杖を取り出した。先には丸い水晶が浮き、俺の知らない文字が水晶を円に囲っている。水晶の中に潜む青白い光、それが揺れる度に垣間見えるエメラルドの光が、ヤアイの白い肌を包む。

 え。

 その杖がどういう構造をしているのかも気になるけど、絨毯の中にそんなもの入ってたっけ?

 ・・・・・・・・と、気にしちゃいけない。これがこいつらクオリティ。

 ふとひーを見ると、ひーはそれを見て、「やっぱお前の元に戻ってたんだな」と呟いたのが聞こえた。何のことか気になったけど、ひーがじっとヤアイの様子を見つめていたので、俺もヤアイに視線を戻した。

 ヤアイは杖を前に抱え、すうと息を吸い込むと、言葉を紡いだ。俺には杖の文字同様何を言ってるのかさっぱり分からなかったけど、それを聞いていると、不思議な感覚が身を襲った。

 ・・・この感覚、前にも感じた事がある。

 ヤアイは歌のように、言葉をかすかに紡いだ。途切れそうになるくらい小さな声だったけど、不思議な旋律となって俺の身を包む。

 ヤアイが言葉を紡ぐ度に、水晶の周りを回っていた文字が動きを早める。文字は加速し、円の範囲を段々と広める。水晶の光が呼応するように強まる。俺とひーとヤアイを、静かに照らしていく。

 けれどその文字は、円の範囲を広げるにつれ、ヤアイは辛そうに眉を顰めていくのがわかった。彼女の額からは汗が滲んで浮かんでいた。

 やはり、禁忌だと言われている、時間に干渉するということは、そう簡単にはいかないのか。

 ヤアイに負担を掛けさせてまで、俺はそこへ行かなければならないのか。今更ながらひーの思惑に疑問が入る。

 そう思っていると、声が重なって聞こえた。

 声が、二重に重なり合う。

 俺と同じように、それまで謳っていた本人であるヤアイも驚いていた。

 ヤアイと共に言葉を紡いでいたのは、ひーだった。

 ヤアイより一つ下の音低で言葉を紡ぐひー。

 ひーの言葉はヤアイと同じではなかったけど、不思議と綺麗なハーモニーとなって、その空間を包んでいった。

 ひーが言葉を紡いでいくと、水晶が更に強く光り輝いていく。囲っていた文字は杖の水晶の元を離れ、俺のもとへ伸びてきた。

 文字は俺を水晶とするように、俺の体を円に廻り始める。

 ヤアイとひーの声が強まる。それに呼応し、更に文字のスピードが速まる。

 不思議な感覚に、俺は茫と廻る文字を見つめる。体が微かに浮くような錯覚を覚える。

 けれどなかなか、これというものがこない。そして時間が経つにつれ、俺を囲っている文字の速さが不規則になる。俺を包む光が、段々と弱っていく。ひー達に汗がにじんでいく。

 このままじゃ、何かだめなような気がする。本能的に。本能っていうものがあるかしらないけど。

 そう思っていると、脳内にモニターが起動した。

 何?このデータ。

 突然現れたショートカットに疑問を持つも、よく働かない頭でファイルを開く。そこには、文字が書いてあった。

 【インストールする?】

 ・・・・え、何を?

 下に【YES/NO】と、リンクでとべるようになっていた。

 【いいから早くしてよ】

 ・・・・生意気なプログラムだな。バグか。それともひーのせいか?

 うざいし怪しいからNOに・・・。

 【YES/NO/YES/YES】

 なんか増えた!!

 【YES】

 減った!?選択肢なしか!!

 ウィーン___。

 なんか勝手にファイル開いたし・・・。なんだこれ。

 【バカがみる♪】

 ・・・・こいつ・・・・・・・。

 こんな状況だし、なおかつムカついてファイルの存在そのものを消そうとしたら、新たに文章が追加された。

 【インストール完了。じゃあこれからがんばって】

 ・・・何を?

 と思った瞬間、俺の意識は強制終了された。

 遠くでひー達の声が聞こえた。




 【光あらんことを】








どうでしたか?次回はひまわりが過去へ行っちゃいます。

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