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僕と俺と羽瀬君

テスト期間で大分感覚は空きましたがまだ飽きてないです。

「じゃあ加奈を保育園に連れて行くから、学校遅れないようにね」


「うん、いってらっしゃい」


「行ってきます」

加奈は僕と腹違いの妹で二歳になる。父親の名前は五十嵐いがらし 三喜彦みきひこ。日本ではかなり有名な会社に勤めていて、父親のお陰で不自由のない生活を送れているが、三人目の父親ということもあり僕と父さんの間にはうっすらと壁があるように感じる。


(なぁ、今日は学校サボろうぜ)


(するわけないだろ。毎回毎回聞いてこないでくれ)

僕の頭の中にいるもう一人の僕、マサトは最近やたら学校をサボるように促してくる。彼曰く、僕がやりたいけどやらないこと、やりたくないこと、言いたいけど言えないことなどのを彼が感じ取って僕に伝えてるらしいが正直自覚がないのでよくわからない。


(たまにはしてみてぇことしねぇとストレスで白髪が増えるぞ)


(今のところストレスなんてそんなに感じたことないんだけども。)


(お前が感じて無くても体はしっかり感じてるんだよ。俺は将来禿げたくねぇよ)


(勝手に禿げさすな、僕は別に我慢してることなんて何もないよ)


僕はそう言って(厳密には言ってないが・・・・)制服に着替えて靴を履き、家を出る。家から徒歩10分ほどで学校につくので、8時25分にホームルームが始まる僕の学校なら8時10分に出ても余裕で間に合う。


ちなみに、マサトは頭の中でよくギャーギャー騒ぐが、不思議と煩わしいと思ったことは一度もない。


(なぁ、今からでも学校サボろうぜ)


(なんで、お前はそんなに学校サボりたいんだよ)


(俺が思ってるってことはお前が思ってると一緒なんだよ)


(話をややこしくしないでくれ。お前と僕は別人っていうことで話してよ。)


(はいはい、わかったよ。クラスにほとんど学校に来ない奴がいるだろ?そいつにお前は・・・・おっと、悪い悪い。そいつに俺はちょっといいなって思ってんだよ。)


(不登校の奴って・・・・・・羽瀬君のこと?)


羽瀬はせ まなぶ 中学に入って二ヶ月後に学校に来なくなった生徒。最初はいじめがあったんじゃないかと噂されていたが彼がいじめられている所なんて誰も見たことがなく、いじめをしたと思われる生徒もいなかったため彼がなぜ学校に来なくなったかは原因不明である。


ちなみに僕は小学生の頃に家も近かったこともありよく遊んでいた。印象は少し大人びた子供。


(羽瀬君のどこら辺に憧れを抱けるんだよ)


(んなもん学校に行かないで家で自由に過ごしてる所に決まってんだろ。きっと毎日自堕落な生活を送ってんだろうなー)


(バカ、もしかしたら家庭の問題で行けないのかもしれないだろ)


(家庭の問題ってなんだよ)


(それは・・・・しらないけど。)


僕は言葉に詰まる。いや、想像に詰まると言った方が正しいだろう。そもそも家庭の問題で学校に行けなくなるってことはかなりやばいことだ、想像することすら戸惑ってしまう。


(あー、確かにそれはやばいことだなぁ。ニュースが羽瀬のことで埋まっちまうなぁ)



マサトは僕が脳裏によぎった想像を察知して勝手に納得する。


(と、とにかく!学校をさぼったとしてそれがお母さんにバレたらお母さんが悲しむからダメだ!)


(さすがマザコン、ママ第一主義だな)


(マザコンじゃねぇよ!)


否定をしながらも、マサトがマザコンって言うってことは本当に僕はマザコンなのかもしれないなと少し思ってしまった。


学校に着き、僕は下駄箱から上履きをとりだす。教室に入り、自分の机に座ると僕は無意識にとある女の子の方に視線を這わせる。


「結月、おはよー」


「あ、おはよー」


彼女の名前は椎名しいな 結月ゆず、クラスの人気者の女性だ。その可愛らしい容姿と男女隔てなくしゃべる抜群のコミュニケーション能力で他校からも告白されることがあるとか。


クラスの中心的な男子はもちろん、「興味ないですけど?」みたいな顔して隅っこにいる男子もしっかり惚れている。ちなみに僕は彼女のことはそこまで興味ない。


(お前、前からしってたけどあの女のこと好きなんだろ。)


(は、は!?興味ないですけど!?)


(この年頃の男はみんな自分に芽生えた恋愛感情を否定するよなぁ。わかるぜ、この想いをだれかに打ち明けた奴や、告って失敗した奴の末路をお前は今まで何人も見てきたもんな)


(だから好きじゃないって!)


(俺に嘘をつくのは不可能だぜ。それに自分自身に嘘ついてどうする。)


まさか自分自身に諭されるなんて。


(ああもう!好きだよ!だからなんだよ!)


(告れよ。)


(無理に決まってんだろ!それに彼氏だっているに決まってるし・・・・・・)


(んなもん言わなきゃわからねえだろ)


(お前もさっき言ってただろ、告白が失敗した奴はしばらくいじられるんだぞ!)


(安心しろ、お前はいじられるほどの立場にはいねぇよ)


(やかましいわ!)


(それに、リスクを負わない成功なんてそうそうないぞ)


くそ、なんでこいつこんなに正論をかましてくるんだ。


(まぁ他の男に取られる前にかますことをおすすめするぜ。お前自身が言うんだ、間違いない。)


(わ、わかったから。もう授業なんだ、静かにしてくれ)


(へいへーい)


マサトは言われた通り静かになる。これだから、脳内でしゃべりかけるだけで社会経験をしたことが無い奴は嫌いなんだ、僕なんかが好きになっちゃだめなんだ。


あ、僕もしたことないのか。


学校が終わり、時刻は十五時を過ぎている。今日は部活のバレーもないのでそのまま家に帰れるのだが、少し困ったことがある。それは、ホームルームが終わった放課後、担任の先生に言われたことだ。  


「あ、雅人君、ちょっとお願いしたいことあるんだけどいいかな?」


担任の千葉(ちば) 佐奈華(さなか)先生が帰ろうとする僕を呼び止める。


「なんですか?」


「学君のプリントが溜まってきたから家に届けてくれないかな?確か、家近かったわよね。」


佐奈華先生は右手に持ったプリントを僕の方に向ける。


(おい雅人!今すぐこの教室から出るんだ!せっかく部活もねぇのに面倒なのはごめんだ!)


(さっきまで俺は羽瀬君に憧れてるって言ってたじゃないか。そんな羽瀬君に会えるチャンスだろ。)


(朝俺とお前は別として考えろって言ってたじゃねえか!というかいい加減気付け!俺が拒否するということはお前の本心なんだよ!)


(はいはいその話はもういいから。)


「わかりました先生、羽瀬君の家に届けて来ます。」


「ありがとう!やっぱり雅人君は頼りになるわ。それじゃあよろしくね。」


(あー!この馬鹿野郎が!)


(自分のこと罵って楽しいか?)



(なんでお前は何でもかんでもそんなに引き受けるんだよ!だから色んな面倒ごと押し付けられてー)


先生からの頼み事を聞いてからというものの、僕の脳内でマサトはずっと文句ばっか言っている。なんとも思わないが流石に脳が疲れてきた。


(わ、わかったから。次からはちゃんと断るから。)


(そう言っていっつもいっつも二つ返事で・・・)


(ほら!もう羽瀬君の家に着いたぞ!)


僕は羽瀬君の家に指を差す。僕の後ろを歩いてた男性が不思議そうにこちらを見る。


(へぇ・・・ここが羽瀬の家か。)


先程まで文句を言っていたマサトが急に冷静になる。


(覚えてないのか?9歳くらいの頃、家にお邪魔したことあるだろ。)


(覚えてねぇよそんな昔のこと)


(それもそうか。2年くらい前はこんな減らず口たたいてなかったもんな。)


(誰が減らず口だ!)


雅人は再度騒ぎ出した自分の脳内に対して気にするそぶりも見せず羽瀬家のインターホンを鳴らす。


ピンポーン。


・・・反応がない。


(なんだ、誰もいないのか?)


雅人はもう一度鳴らす。結果は先程と同じ沈黙だ。


(とりあえずポストに入れておこう。)


雅人はポストの投入口に学級便りや保護者会出席の確認の手紙、【羽瀬君へ】と書かれたクラスからのメッセージなどなどを入れる。


ガチャ


すると、扉が開く音が聞こえ、雅人は玄関の方に視線を向ける。


「は、羽瀬君?」


「雅人・・・?久しぶり。」


少し大人に近づいた顔つき、綺麗に切られたキノコ頭、150後半あるだろうと思われる身長。少し見なかっただけで僕は置いてけぼりにされたような気がした。


この羽瀬という少年との再会が私の人生に少しだけ彩を与えたのを、今の私はまだ気づいていなかった・・・。




人はなんで恋をするんでしょうか。生物としてその理由を考えると多分チョメチョメして子孫を残そうとするためだと思うんですけど、人としてその理由を考えると顔が可愛いからとか、一緒にいて落ち着くとか、なんでも言い合えるからとかそういった理由で恋をすると思うんです、多分。てかそうでしょ。因みに僕は恋愛経験豊富と思い込んでいるチェリーボーイなんで何もわかりません。どれくらいチェリーボーイかと言うと異性と話した瞬間、異性と目が合った瞬間、その一瞬で「あ、こいつ俺のこと好きだな」ってなるぐらいチェリーです。自分が一瞬で好きになったことは認めないのでかなり極悪です。

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