6話 楽しみ
「わかった、今からあなたに付くことを誓うわ」
これは嘘ではなく本当だ、レンはじっくりこちらの目を見る。
「じゃあ今から命令を出す、明日とあることが起きる、絶対に死ぬなよ」
彼女は驚いている様子だった、そのことは聞かされていなかったのだ。
「それは学校内で起きるの?」
「ああ、殺戮が行われる特に俺とお前が集中的に狙われる」
「学校はどうなるの? おしまいだ」
「それも見抜いてたって言うの?」
「俺だぞ?」
そういうと納得したかのようにため息をついた。
「わかった、そのことは〈カイたち〉に言ってるの?」
「言ってないさ」
そうレンは真っ向勝負する気だ。
「わかった、とりあえず明日生き残ればいいのね」
「ああ」
それだけいい私は住処に戻るため振り返り歩き出した。
するとレンが住処に戻ろうとする私を止めた。
「住む場所あんのか?」
住処といったが家はない。
「ない」
私の肩を引っ張りどこかに向かう。
「どこ行くの?」
「俺の家だ」
引っ張られたまま私はレンの家に泊まることが決まった。
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(これってやばいんじゃない?)
そう思っていると私の考えていることもレンにはお見通しなのか。
「何もしないぞ?」
私は頰が一瞬で真っ赤になった気がした。
「いや! そんなこと思ってないから!」
レンは何も言わず携帯をずっと見ている。
私が覗こうとする前に携帯をこちらに見せてきた。
「お前も聞いてただろ? 今日の事件」
大阪府で十二人が死んだと言うニュースだ。
「ああれねそれがどうかしたの?」
レンの顔を見ると少しニヤついてて気味が悪かった。
「なるほどね」
私はすぐに理解した。
自分が実行したかったと。
「まあ出来なかったが明日がとても楽しみだ」
私はレンが考えていることがあまりわからない。
その後朝になるまでレンと話すことがなかった。
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朝になりいつもより早く家に出た、レンと一緒に出ると変に思われるから時間をおいて出ることにした。
私は昨日のことが忘れられない、ほんとに情けないなと思う。
「ああ情けないな」
そう振り返っているうちに学校に着いた、そろそろレンも家を出ている頃だろう。
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「よし行くか、今日が楽しみで昨日あまり寝れなかったな、楽しみだが、一つ楽しみが消えるんだがな」
俺は学校に通うことがとても楽しみだった、だが今日起きることで楽しみが無くなる。
「まあいいや、今日起きることの方がもっと楽しいし」
そう思いながら俺は学校に向かう。
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学校につき正門を通ると校長先生が立っていた。
俺はしっかりと挨拶をし前を通る。
俺が前を通った時に少しニヤリと笑っていたのが見えた。
その後も登校する生徒に挨拶をしていた。
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俺は教室に入ると一人の生徒がこちらに向かってきた。
青木原 悠人俺の後ろの席だ。
とある席に指を指し焦った様子で話し出した。
「お前知ってるか? あそこの席に座っていた......」
名前を思い出している最中後ろから別の生徒が話に入ってきた。
和田 柚莉愛 (わだ ゆりあ)
「中丸 浩介が何者かのよって殺されたらしいの、怖いよね」
「そうそう! 中丸あいつとなら友達となれると思ったんだけどな」
俺はその話を黙って聞いている、カレンは俺が話を聞いてるのをじっと見ている。
「そうなのか、クラスメイトが死んでしまって残念だ」
そう言い二人を後にして席に座る。
「愛樫だっけ? あいつちょっと変わってるよな」
「そうだね」
その二人もすぐに離れて仲良くなった友達の輪に入る。
俺は携帯でニュースを探す。
「まだか?」
探している最中後ろから携帯を前に差し出してきた。
「これを探しているんでしょう?」
カレンはため息をつきながらも携帯を見せてきた。
「あああったか」
一通り目を通して携帯を返す。
「まあわかってたけどね」
俺がやったと知っているのは二人だけだ。
「てかお前早く座らないとまた注意されるぞ?」
タイミングよく担任が教室に入ってきた。
「ちょ!」
カレンは急いで戻ったが担任にとても睨まれている。
教卓の前に着くと一つだけ空いてる席を見て話を始める。
「今日大事な話があるから直ぐに体育館に来るように」
それだけ言いホームルームが終わった。
もちろん生徒たちは何の話か分かっている。
担任はそれだけ言って教室を後にした。
昨日は担任がいなくなると各々席を立ち友達と喋ったりしていたが今日は静かだ。唯一席を立ったのはカレンだけだ。
「行われるのは体育館で?」
俺の耳元でそう囁いた。
「おそらくな、ちなみに今回の件お前以外にもう一人犯人を知っている奴がいる」
犯人の名前を言わずとも彼女には分かる。
俺は席を立ち体育館に向かう、その後次々と生徒たちが立ち上がり体育館に向かった。