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ジョブを求めて

 じいさんといっしょに町まで行った時は、なんとも思わなかった森だが、一人だとこんなに心細くなるもんなんだなと思いつつ進んだ。気配を絶って歩く狩人の術も教わっていたが俺の技術では拙く、何よりロッキーといっしょに荷物も運んでいる今はあまり意味が無い。弓を片手にゆっくりと森を進んだ。



 1時間ほど森を進んだところで森ネズミの魔物ビッグラットと遭遇した。柴犬ほどの大きさはでホーンラビットと変わらない。攻撃方法は牙。ガサっと音がしたと思ったらロッキーにとびかかった。


「ヒヒン!?ヒーハー(怒)」


ロッキーは、首をふってビッグラットの攻撃をいなすと、前足でビッグラットをふみつぶした。


一瞬呆然としてしまったが、慌ててビッグラットに近寄った。即死である。ビッグラットは、皮と牙と肉と魔石が素材として取れるのだが、解体時間に時間をかけたくなかったので、体内から小さな魔石だけを取り出した。血の匂いで他の魔物が来ても嫌なので水魔法でロッキーの足と俺の手を綺麗にしてから歩みを再開した。ビッグラットの死体は放置した。


「ロッキー 強いな!!次からも頼むよ」


と笑いかけながら声をかけると


「ぶふふん」


と鼻息荒く 任せろと言っているような気がした。…あくまで推測。たよりになるロバである。



そこから森を抜けるまでの間に3回魔物に襲われた。どれもビッグラットだった。内2匹はロッキーが、1匹は俺が弓で倒した。じいさんと数回町に来ていたがこんなに襲われることはなかったので、野生の感で組しやすいと思われているのかもしれない。ただ、やっかいな獣や魔物に襲われずに森を抜けれたのは幸いだった。



 平地は特に問題なく進み、朝出発し昼前には町へつくことができた。ジョブ神殿で5歳の時に作った身分証を門番に見せる。門番は俺の顔を覚えていたらしく



「坊主、一人か?じいさんはどうしたんだ?」


と聞いてきた。


「年には勝てなかったみたいで、半年前にね。。。」


「そうか、残念だな。。。俺が門番を始めた時から顔合わせてたからな。さみしくなるな。」


「今後は、俺一人で町に来ます。今後ともよろしくお願いします。」


「そうか。よろしくな。その年で一人は厳しい事もあるだろうが、がんばれよ。」


「ありがとうございます。がんばります。」


門番と挨拶をすませ、町の中へ入った。まずは持ってきたものを売りに行かねば。若干お腹も減っていたが、査定もあることだし先にジェフさんの店に行くことした。



「こんにちは。ジェフさん。買取お願いしたくて。」


雑貨屋に入り声をかけると


「お、アル久しぶりだな。じいさんはどうした?」


と門番と同じような質問が返ってきた。


「年には勝てなくてね、半年前になくなりました。」


「そうか、元気無いなあとは思っていたんだが。。。俺が10歳で初めてここの店に立った時にはもう結構な年だったしな。さみしくなるな…アルお前も森で一人は大変だろうけど大丈夫か?」


「はい。じいさんに色々仕込まれましたから、無理をしない程度には狩りもできますし。ただ、町へ来るのは少し怖かったですね。狼とか」


「十分気を付けるんだぞ。金に余裕があれば冒険者ギルドで護衛も雇えるからな。」


「はい。金に余裕ができるうよう高く買ってくださいね(笑)」


「はは、しっかりしてやがる。査定するから売り物をあずかろう。」

ロッキーから荷物を降ろし、俺が持っていた魔石なども渡した。


「すいません。査定の間に神殿に行ってきます。10歳になったのでジョブ授かろうと思いまして。」


「そうか、ジョブは決めてるのか?商人になるなら仕込んでやるが」


「いえ、神殿で説明を受けてから決めようと思います。ただ、変わったスキルを持っているのでそれにちなんだジョブか神様を選ぼうかと考えています。


「うんうん、転職は高いからじっくり考えることだ。」


「では行ってきます。」「おう」


ジェフさんの店を出て、飯屋でごはんを食べた後神殿に向かった。受付でお姉さんに話しかける。


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」


「10歳になったのでジョブを得ようと思いきました。」


「わかりました。ジョブはもう決めていますか?」


「いえ、良ければジョブの説明をいただければ嬉しいです。希望としては、本に関係する職業か神様があればと考えてます。本に関係する加護があるので。」


「そうですね。本ですと、、、ジョブで選ぶなら『学者』『作家』『教師』『神官』『僧侶』『エンチャンター』『魔法使い』『賢者』『商人』『紙職人』、神様ですと知識と記録の神 トトスが本に近いかと思います。」


 あ、教師ってあるんだ。説明を聞いてびっくりした。前世の事もあり興味が沸いたので聞いてみた。


「教師というのは、どういったジョブでどのような恩恵があるのでしょうか?」


「簡単に言うと物事を教えるのに特化したジョブですね。恩恵として教育や指導スキルが上がりやすく教えられた側にも理解力が深まります。先ほどの本の話ですが、教える際に『本」を使用すると指導効果があがります。また固有スキルとして『習熟度アップ 少』があります。これは本人やパーティメンバーのスキル上昇度が少しあがるというものです。専用のギルド等は無く、正直教師になる人が少なくジョブレベルを上げた人も聞かないのでわかってない事の方が多いですね。何かしら別のジョブで経験を積まれた方が引退し指導者に回るときに転職されることが多いです。あまり、はじめてのジョブで選ぶ方はいませんね。というか私の知る限りではこの町ではいなかったはずです。ですので、金額は1銀貨と安めになります。神様は知恵の神メディウス様になります。」


  ・・・確かに人気ないだろうな。。。前世では学力と努力が足りず、今世では人気の不遇ジョブでなれなくなないが生きていく上では選びにくい。う~ん・・・正直この世界にきて目標らしいものも無く、じいさんに助けられて漠然と生きてきたし、冒険してみるか。ジョブ聞かれて「教師です」って言えることが前世の両親への恩返しになりそうだしな・・・恩恵なしでもスキルや技や魔法は、覚えることもできるんだし…


よし!!


「すいません、教師になろうと思います。」


「そ、、そうですか。わかりました。神殿奥の水晶の間にて神官がおりますのでそちらへ。5歳の時に才能を確認した場所と同じです。」


 受付のお姉さん若干ひいてるよ。。。


いいじゃない教師!!


生徒はロッキー(ロバ)になりそうだけどいいじゃない!!


 水晶の間につくと5年前と同じ神官がいた。


「どうぞこちらへ。5年前に作ったカードを左手に持って右手を水晶に。神様の名は「メディウス」様です。教師のジョブ名を念じながら神様に語り掛けてください。同時に私が特殊な祝福を行いますので。」


 言われるがままにすると神官から俺と水晶に光が注がれた。情報が脳内にも届いていく感覚。体に何かがすぅ~と浸透していくような。


 光終えると水晶に文字が浮かんでいた。5年前は読めなかったが今は読める。


ジョブ:教師 レベル1 固有スキル『習熟度アップ 小』

神:知恵の神メディウス

魔法:水魔法(初級)

才能:本の加護

スキル:『接客 25』『計算 20』『教育 10』『指揮統率 10』『調理 4』『短剣 2』『投擲 2』『弓 2』『斧 2』『解体 3』『採取 3』『農業 3』『畜産 3』『修理 1』『調合 2』『道具加工 1』『水生活魔法 30』



 全体的に少しづつあがってるな。水魔法は最高まであがってる。新しいスキルは投擲と斧と調合か。5年で2は多いのやら少ないのやら。


「アル君、5年で二つも新しいスキルが増えているし成長率もジョブ無だったはずなのにまずまずですね。よくがんばってきましたね。ただ、ジョブ無で新しいスキルを覚えるのは大変なはずなんですけど君は少し特殊なんですかね。」


 え?そうなのか。まあ剣や槍も使ってたはずだけどスキル覚えてないしなあ。


「正直教師というジョブは、人気薄ですし戦闘には向かないと言われています。ですが、武器スキルをすでに持っていますので、武器を使った技は戦闘ギルドで有料で覚えることができますので行ってみるといいですよ。魔法程高くはありません。ただ、武器レベルあげないと覚える数は少ないでしょうけどね。」


「ありがとうございます。神官様。戦闘ギルドにも行ってみたいと思います。」


「はい、貴方の行く先にメディウス様のご加護がありますように。」

ニこっと笑いながら神官様がおっしゃった。


「そうそう忘れてました。あなたの場合どちらのギルドをお勧めしていいものかわかりませんが、商売を行うなら商売ギルド、冒険者になるなら冒険者ギルドで登録するといいですよ。」


 どちらかというと、獣狩ったり薬草集めたりだから冒険者ギルドだよな。


「はい。冒険者ギルドに行ってみます。」


そう言って神殿を後にした。

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