表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/68

ポテトサラダ

 試作の為の材料調達・市場調査のためにエレクスの町にやってきた。学校の授業は自習である。特に次週になったからといって喜ぶ生徒はいない。逆に俺がいないことに不満を言う生徒の方が多い。ああ慕われている感がある。教師冥利につきるなあ・・・俺ってちょろすぎ。まずは、飲食店を何件か回って料理にマヨネーズが使われているかどうか、プリンがメニューにあるか確認する。「こんな食材を使った料理なんですけど」なんて言おうものなら材料が単純なだけに自分が商売にした時にばれるかもしれないので、こっそり調査である。繁忙時間中は他のお客さんがどんなものを食べているか覗きみて、繁忙時間をさけてお店に入り料理の内容を聞く、それだけ。俺が食べる事ができる限界なんてたかがしれているので3店舗が限度。3店舗回ってマヨネーズの使用は無、プリンの販売もなかった。スーパーなんてものはもちろんないから売ってそうな食料品店などを回ってみたけどそちらも売ってない。それとな~くお菓子の種類やドレッシング系のたぐいも調べてみたけどそれらしきものは無かった。

 市場調査はこんなもんだろう。次は試作である。作ったことがある程度な知識なので、やってみなくちゃわからない。複雑な材料でもないので、1つのお店で材料が揃わなくもないのだが、前述のこともあり何店か回って買い揃えた。

 森に帰って早速調理開始である。まずはプリンから挑む。記憶をたどりながら卵液(卵とヤギミルクを混ぜた物)の量を変えつつ色々試してみる。正確な測りがないので目分量なのはいなめないけど、メモをとりつつ後々に活かしていく。何回か試してみると失敗しないおおよその分量がわかってきた。あくまで実験なので砂糖はいれていない。失敗作も成功作も甘くないプリン・・・茶碗蒸しみたいなもんだった。大量生産はおいといてプリンは形になった。はかりなどの道具、販売方法(プラスチック容器なんてないし)が確立すればいけるだろう。続いてマヨネーズであるが、こっちは試行錯誤もなくさくっとできた。味も申し分なく間違いなくマヨネーズ。食べた瞬間思わず涙がでた。マヨネーズくっそうまい。まじうまい。何故俺は転生してからこれを作らなかったのかと自問自答するレベル。プリンもそうだけど、マヨネーズを嫌いな奴なんているはずがない!!(言い切るよ俺は(*'ω'*))売れる・・・絶対売れる!!

 とはいえこの世界の人たちの反応も確認したかったので、マヨネーズ素材とじゃがいもと卵を町で追加購入しゆでじゃがいもとゆでたまごを作る。せっかくだし全員にふるまおうと材料をそろえたので、俺のサイフはからっからだ。また稼がないと・・・湯で作業は家族に任せて俺はせっせとマヨ作り。筋トレにもってこいだぜ。(電動器具ほしい・・・)ふるまうといっても出来たのは、シンプルなゆでたまご入りポテトサラダ。だが、この世界に住民にとっては未知の味だ。食べる場所は学校にした。50人がそろうと壮観だな。

「さああ 皆 食べてみてくれ。ポテトサラダという料理だ。」

 ゆでじゃがいもとゆでたまごは、決して珍しいものではないのでそんなに恐る恐るというわけもなく皆がスプーンでサラダを食べ始める。そして食べたほぼ全員が驚きの顔になる。

「うっま!!」

「なんじゃこりゃ、うまあ」

「たまらん味じゃあ」

「こりゃあ いくらでも食べれるわい!!」

「酒じゃあ 酒がいるぞおおお」

 うん、酒のあてにもいいよね、ポテサラ。ドワーフ達が大いに喜んでいる。

「アルフレット、、、なんじゃこれは、儂も長い事生きとるがこんなもん食ったことないぞ」

 カルスさんも知ら無い未知の味らしい。まあ魔族文化は俺は良く知らないけど。

「アル先生、これむっちゃおいしいね。」

「この白いソース他の野菜にもあいそう!!」

「おかわり食べていい!?」

 うんうん子ども達も喜んでいる。確信した。マヨの旨さは異世界をも超えると。ふっふっふ。

「皆聞いてくれ、この白いソースはマヨネーズという。これを学校で作って学校の運営資金にあてたいと思う。」

 そういうとドワーフの長老から

「酒に合うしほんとうにうまいわい。儂らも手伝うからこっちにも売ってくれい。」

 早速需要が生まれた。

「にしてもアルフレットよ、こんな料理というかソースをどこで覚えたんじゃ?」

 カルスさんから最もな質問が飛んできた。まあそうだよな・・・いきなり振ってわいたってのも変だけど異世界の話は伏せときたいしな。うん降ってわいたことにしよう(笑)

「なんとなく試したら旨かったんで。名前は適当につけました。」

「ほう、アルフレットは料理の天才じゃな。」

「それほどでも。はっはっは。」


 その後、作ったポテサラはものの見事に皆で食べきった。食後に販売に関して皆で話をしたのだが、ソースを売るよりもまずポテサラを売った方がいいんではないかという話になった(そもそも今の技術で日持ちするのかが少し怪しい)。酒場とかに降ろし販売をすれば喜んで買ってくれるだろうと。材料費の2倍くらいで売ってみようということになった。大きなボールをドワーフに作ってもらい、魔法で氷を作成し町に運ぶ計画だ。問題があるとすれば材料費を買う金があまりない事くらいだな・・・


 それから一か月、平日の朝は森の伐採。家族は農作業、生徒も大きな畑で農作業。昼からは皆で授業という流れ。いつものといえばいつもの流れだ。週末の内1日はパルを連れてダンジョンへ向かう。雑魚スライムが落とすスライムオイルの瓶もせっせと集める。この瓶を使ってプリンが作れないものかと考えている。さすがにこのオイルでマヨネーズは作る気はしないが・・・ダンジョンに向かって3週目、パルのレベルが5になり『特技を使用しろ』を覚えた。これでスラコに任意のタイミングで特技『弱酸攻撃』を使用させることができる。早速雑魚スライム相手に使ってもらったのだが、いつもはじ~わじ~わと相手を溶かすスラコだったが、ジワジワくらいになった。・・・まあ確かに強くはなったんだろうけども!?喜んでいるパルに釘をさすのはやめておいた。1Fの入り口~ボスを倒し入り口に戻るを繰り返す。あわよくばボスドロップも期待しているけどさすがに出ない。パルと回るダンジョン探索は1日に10銀貨程の稼ぎ。もう一日は、一人でダンジョンにこもり4Fでハイコボルトを倒し続け30~40銀貨を稼ぐ。休みは無い。

 この月の稼ぎは1.8金貨になった。ひと月の生活費が1金貨ほどかかるので余裕を見てもう少し稼いだらマヨネーズ計画をスタートする。「マヨネーズ計画」我ながらひどい名前だ。一か月間の森の生活の様子だが生徒たちが世話している300mの畑は、ドワーフ達も手伝ってくれてうねを作ったり堆肥と土を混ぜたりしている。畑の入り口を広めにとってマーダーシープの出入りを可能にしている。畑として機能していない雑草部分は、マーダーシープの食事場所である。となりで同規模の伐採を始めだしたけどそっちもマーダーシープの食事場所だ。木を倒したり木の根を引き起こすのにもマーダーシープパワーは役に立っている。ただまあ少し前にセーラの裁縫の為にライムントが毛刈りを行ったので購入したときよりは随分貧層に見えるけれども。学校の授業は特に変わりはない。文字・算数・体育を行い基礎学習の真っただ中だ。せっかくの狩りだったけど死者が出そうなほど危ない状況に陥った事もあり、エリスもしばらくはパーティは自重すると言っていた。学校の授業でカルスさんの魔法授業はまだ行われていないが、エリスの他魔法の才能がある子ども達は空いた時間にカルスさんから色々教わっているようだ。まだスクロールは手に入らないけど生活魔法だけでも手ほどきを受けれるのは大きい事だと思う。俺も初級魔法を覚えるまでは生活魔法で水ばっかし作っていたしね。


 変わった事といえばライムントが俺に

「セーラさんがこの集落で過ごしやすくなるための知恵を貸してください!!」

 と言ってきた。愛だな・・・がんばれよ少年。おれも年変わらんけど。

「う~んできそうなことと言ったらトイレを水洗式の便座にするとか、各施設の道順がわかるように道を細工をするとかかなあ。段差事態はそんなにないし、危ないのトイレくらいかな。」

「アル先生、詳しく!!」

 集落トイレの糞尿処理の仕組みに関してはスライムを利用して改善を図った。ただしトイレ自体はポットン式のままである。目の見えないセーラが足を踏み外したりとか小さな子どもの事を考えると危ないと思っていた。ライムントに話したのは、前世にもある西洋式便座タイプ。トイレの底は普段はふたがしまってて水を流すと重みで蓋が下に開き、排泄物と水が下に流れる仕組みはどうだろうかと伝えてみた。水を流す仕組みは紐を引っ張るかとかペダルを踏むと水が流れる仕組みを勧めておいた。細かい作り方は自分で考えてね、俺知ら無いからと丸投げである。だってトイレの構造なんて知ら無くても前世で困ったことなんてなかったし・・・道に関しては視覚障害を持った人に対する誘導ブロックを勧めた。あまりにデコボコが大きすぎるとこけちゃうから気を付けてねと伝えといた。本来は点字になっててブロックごとに意味があったりするのかもしれないけどそこも俺は知ら無い。一応そういう風に作ってセーラさんが足でブロックの意味をわかるなら便利かもねって言っといた。その場合はまずは点字の仕組み作りからかもだけど。

「アル先生・・・あなたは天才だ!!うおおおおおお 僕は絶対作ってみせるぞおおお。」

「はっはっは。それほどでも」

 まあ前世の知識が少しでも役に立つならいいことだろう。こんな知識で争いなんて起こらないだろうしな・・・起こらないよね?ライムントはドワーフ達を巻き込んであーでもないこーでもないと便座づくりと仕組み作りに精を出していた。流す水の供給だけは任せろって言っておいた(*^-^*)


 ライムントとそんなやり取りをしたもんだからカルスさんにセーラの目が見えない事に関して相談してみた。

「カルスさん、目の見えない人用に生活が便利になるような魔法とか魔道具ってないもんですかね?」

「ああセーラちゃんの事かの。ケガをおってすぐなら魔法で治す事も可能じゃったろうがの。」

「俺『癒しの水』っていう初級水魔法使えるんですけど、これでもいけました?」

「目玉が欠損しておらなんだら、ケガ後すぐに行えばいけたかもじゃな。欠損しておるものを再構築は無理じゃな。別の魔法でないとな。」

「それはどんな魔法なんです?カルスさんも使えるんですか?」

「『再生』という魔法で複合属性魔法だと思う。火水光の属性じゃと言われておる。再生させる箇所にもよるが膨大な魔力が必要だと聞く。儂も使えんよ。そもそも複数の属性を同時に扱うという事は本当に難しいからの。まあ魔物の中にはすさまじい回復力で『再生』を行うものもおるし儂は存在を信じておるが。魔族の国の伝説にも『秘薬』が再生を可能にしたとあった。」

「カルスさんができないとなるのと相当難易度高いですね。。。魔道具の方はどうです?」

「もう魔石がないから作れないんじゃが、構想としては風の魔法で障害物を感知したり、火の魔法で熱探知を組み込んだりとかかのう。」

「なんかよさそうですね!!でもまあ結局魔石やなんやでお金の壁にぶちあたりますけど・・・」

「そうじゃのう。儂もここに住まわせてもらっておるし、少しは収入にも貢献できる方法を考えておくわい。」

「すいません、よろしくお願いします。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ