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老いた魔王

 結界の件や長生きしてきた知識とか色々あるけど、カルスジャーラさん集落に住んでくれないかな・・・防衛面で非常に助かるんだけど。

「アルフレット儂をこの集落に住まわせてくれんか?」

 んお?向こうから話が来た。

「こちらとしても助かりますけど、またどうしてですか?今まで一人?で暮らしてたんでしょう?」

「さっき話したろう?種族を誤認させる魔道具が完成したと。この魔道具があれば人の世界にも魔族の世界にも戻れるじゃろう・・・ただ魔王種であることはごまかせるが、見た目はエント種じゃからの。人の世界は難しかろう。かといって魔族の国ははるか遠い。そこでこの集落じゃ。人族も魔物も妖精も共に暮らしておる。ここなら居心地もよかろうと。カールの住んでいた地でもあるしのう。駄目かのう?」

「いえいえ、さっきも言いましたようにこちらも助かります。正直昨日のバトルコングのような魔物に対する備えが弱かったと気付かされたので防衛面でお力添えいただければ助かります。」

「それは引き受けよう。魔法や魔道具の事も可能な限りで教えよう。その代わり野菜を分けてくれたら嬉しいわい。儂は植物の魔物じゃが野菜を育てるのは下手でな。」


 カルスさんは、こと魔法に関してはすごい知識の持ち主だった。魔法に関しては俺は生徒の一人になった。魔道具ってただ単にすごいものだと思っていたけど、そんなわけもなく理というかルールというか知恵と知識と技術の集合体だった。興味はあったので作成方法とか色々教えてもらったのだが、作れそうなものはかなり制限がありそうだった。

 1.魔道具と呼ばれるものには2種類ある。魔石を核として作成されるものとエンチャント魔法がかかったもの。

 2.魔道具を作るには、発動させたい魔法を使えないといけない。

 俺がほとんど作れない理由に2がある。本当はもっと細かいルールがあるのだが、どちらにせよこの壁が立ちはだかる。魔道具が高い理由の一つがこれだ。ちなみにカルスさんは恐ろしい事に火土水風雷光闇魔法を使える。上級魔法までほとんどの魔法が使えるが、魔力が足りなくて発動はできないものの方が多いのだが・・・

「結界の魔道具の仕組みは、「闇魔法中級 恐怖フィアー」と「闇魔法中級 魔力吸収ドレインマジック」と「水魔法 魔力探知」じゃ。魔力探知で一定以上の魔石の力を持った魔物を選別、その魔物から魔力吸収で魔力を奪い道具の継続力をあげておる。魔力探知はどの系統の魔法でも使えるものじゃから余った魔石で良い。」

 結局何かすごいって事は改めてよく分かった。魔法文字やら回路やら魔石の加工やら色々語ってくれたけど。。。わからん。だって俺魔法の知識なんて全然ないんだもの。もうちょっと簡単なとこから教えてもらわないと・・・

「あーそうじゃ、儂魔法スクロールも作れるからの。欲しい魔法あったら言うがいいぞ。ただしいきなり上級魔法なんていうのは弊害しかないからの。あくまで能力はみさせてもらうがの。まぁ材料があればじゃがな。」

 神はここにいたのか!?いや魔王か。

「カルスさん良かったらなんですけど、学校で魔法を教えてくれませんか?」

「学校とはお前さんがやっておる子どもに色々教えておるとこじゃろ。教えるのはかまわんのじゃが魔法は難しいぞ。小さい子どもばっかりじゃと厳しくないかのう・・・」

「まあ魔法の才能を持った者もあまりいませんし、たまに見てくれるだけでも助かります。」

「了解じゃ。まあできることはやろう。魔王というのは内緒じゃぞ。」

 森集落の住人が増えた。そして学校での教員が増えた。相も変わらず一筋縄では行かないというかぶっ飛んだキャラクターであったが。というかカルスさんはチートもいいところだったけど。問題は力のほとんどを失っているので実質行使ができないことが多いということか。魔石さえ手に入れば色々やれるのだろうけど、俺自身無色の魔石しか自分にの手で手に入れたことはない。火の魔石だったらサラマンダーとか倒せば手に入るとかかな~と漠然とは想像を働かせるけども、さてさていつになればそういった魔物と戦える力を俺は手に入れることができるのやら。

 何とか今回の脅威を脱したけれども、警戒レベルは引き上げたままだ。学校の授業では、武芸時間に1日の半分使うことにした。もちろんバトルコングのような魔物が来た時に付け焼き刃の訓練が意味をなすとは思えないが、何年も続けたならきっと少しは意味のある物になってくるだろう。最もまずはランニングからだ。体力づくりから始める。畑を作り始めているのでそれも体力づくりにはいいだろう。俺もいっしょに体力を作らないとな。パルには申し訳無かったけれども今週末の狩りも中止しカルスさんとともに、結界を張り直す作業を行った。結界は闇の魔石と水の魔石を使用している。が、新しく魔石を手に入れる術は買うしかない。属性のついた魔石は非常に高価なのでなかなか作れない。なので、今まで使用していた結界を再利用するしかないのである。結界といってもアニメなんかである広範囲をカバーするような結界ではない。設置個所から半径3mほどに作用するものだ。家から森の奥方向へ向けて獣道を中心に魔物が通りやすい場所に再設置していった。道を多少整備し見通しをよくし、堀や柵で物理的に干渉し、結界魔道具を用いてさらに盤石なものとする。それとは別にカルスさんは、探知魔法の魔道具を常に展開し警戒を行っているらしい。「魔物が二匹結界を超えた」のを察知したのもこれだ。俺もスキル『警戒』を所持していたが、今回の件ではうまく働かなかった。カルスさんが言った「何事も完ぺきや永遠なものなどないよ」とはまさにそういうことだろう。


 カルスさんの存在は、ドワーフ達にも朗報だった。キュクロの金床の研究はあまり進んでいない。そこにきてカルスさんの登場である。カルスさん自身鍛冶魔法は使えないので作ることはできないのだが、大部分の回路やら魔法文字はわかるというのである。これにはドワーフ達も大歓喜であった。しかも過去に別の巨人の金床を見たことがあるらしい。構造を見たのではなく存在をみただけらしいけども。


 カルスさんの魔法授業を始める前に、魔法の才能がある子には初級魔法を与えることにした。といってもまずはスクロールの材料集めからだが。それとスクロールの件に関してもカルスさんから注意を受けた。子ども達を含めて誰にも言わない方がいいと。カールじいさんには魔法の才は無かったらしいが、町での魔法の覚え方は聞いていたそうだ。魔法ギルドが存在し魔法スクロールで商売をしている人がいる、そこでむやみに競合することになれば軋轢を生みかねないと。元魔王はなかなかに人間社会というものをわかっているようだ。そのために素材集めなのだ。実際バラバラに材料を買い集め、作れない事はないのだが、買い物履歴から何をやろうとしているのか勘繰られるのは良くない。平和にってなかなか難しいね。魔力が無い子どもには、魔道具の使い方を教えていく予定。基本的に魔力の無い人はいない。生活に紐づいた物から冒険に役立つものまで使い方を覚えるのは大事な事なのだ。


 勉強を教え、戦闘技術を教え、魔法も教えることが可能となった。子ども達が学校に費やした時間はまだまだ浅いのでそうそう身につかないが、体制としては立派な物になってきたように思える。問題となるのはやっぱり運営費だろうか。前世での学校は、主に税金でまかなわれていた。個人の備品は親負担だったけども。なんかこうこの世界にないすばらしい物を子ども達自身で作れるようになり、それを商売にできればいいのだろうけど、いかんせん全体の年齢が低すぎる。半分保育所・幼稚園年齢だし。それなりに秘密もあるしなあ。。。


 元の世界、地球、日本・・・魔法こそ無かったけれど、どこもかしこも便利な物だらけだった。お金さえあればある程度の物を買うことはでき、本で調べたりネットで検索すれば色んな情報を得ることができた。が、個人単位で見れば俺自身含めてできること、知っていることって結構少ない気がする。道具を作ったり、薬品を作ったりなんて全く分からない。で行きつく先が簡単に作れて遊べるもの。前に作った絵本・カルタ・トランプなんかはいい例だろうな。最もトランプはこっちの世界にあるってライムントは言ってた。遊び方含めて全く同じってわけでもないけど。あと将棋・オセロも作れるか。だけど、生徒たちで稼げるってことにはならないよなあ。狩り関係も基本俺しかできないし。羊毛を使ってこの世界に無い学期的な飾りを作る!!って飾りの知識も俺にはない・・・何かないもんか・・・革細工も無理そうだし・・・野菜は食べきってるし・・・ヤギミルクと卵も消費しちゃってるしなあ・・・そういえば!?

 卵とミルクといえば、町でマヨネーズとかプリン見たことないな。頻繁に町に行ってるわけではないから見落としている可能性もあるけども。御酢と食用油があるからマヨネーズはいけそうだな。プリンは砂糖がいるのか。砂糖たっけーんだよな。ミツコから蜂蜜分けてもらって蜂蜜プリン・・・プリンの固まる要素に砂糖関係ないならいけそうかな。多分関係ないよね?でも売れるほどの蜂蜜は無理だな。養蜂もできればいいんだけど。後はサツマイモとかバナナとかかぼちゃとか甘めの野菜を使ってみるのもいいかもしれない。う~ん学校の家庭科で習った知識が役に立ちそうだぞ。寒天とか無しでもいけたはずだし。パスタ含めて料理はちょこちょこやってたんだよね、パスタとかチャーハンとか。飽きが来るのが早くて道具そろえたはいいけどすぐ使わなくなるってのを繰り返してたけど(-_-メ)

 さあて、町で食材と料理の市場調査を行うぞ!!ついでに絵本(紙芝居も)とカルタの件も商業ギルドで確認しなくっちゃ。レシピも売れたらいいけど、売るよりは作って販売したほうがいいよね。簡単にマネされたりしなきゃだけど・・・

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