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森の強者?

「んとな、大蜘蛛、マッドボア、ジャイアントスネーク、ドライアド、三本大牛、金剛ビートル、アリゲーター、金色鹿、魔王。これくらいやな。」


「良かった、バトルコングはいないんだな。でも結構脅威となる魔物も多いんだなあ。特に魔王とか。魔王?・・・魔王!?」


 あん?魔王?何言ってんねん。魔王はあかんやろ。てか魔王って魔物なん?思わず関西弁でてもうたで。関西いうても広いさかいに場所によってかなり言葉もちゃうやろうけどな。いやちゃうねん。関西弁の話やないねん。おちつけ、俺。


「あのラム、魔王?って言った?魔族の王様とか魔物の王様とかの魔王よね?マーオウとかいう発音がちょっと違う魔物とかじゃないよね?」


「魔王やで。細かい事聞かれてもうちはわからんへん。占い能力みたいなもんやしなあ。自分で言うといてなんやけど詳細はわからんねん。それにしても魔王って危ないんちゃうの先生?」


「そりゃ やばいんじゃないか?森に魔王がいるとか、しかも10km以内とかびっくりするわ。」


「あー先生、あれやで10km以内やさかいに町まで含むやろ?森とは限らんで。まあ町にも魔王がおるとは思わへんねんけど。」


「むむむ、魔王・・・知識が無さすぎて危なそうとしかわからん。誰に聞けばいいわけ・・・?」


「ミツコはん知ってるやろか?この集落で一番強いし。」


「あいつ強いんだけど、俺の方が年上だからなあ。。。知ってるかなあ。まあ聞いてみるか。」






「先生、魔王なら月一回くらい集落に顔を出してますわよ。」


 ミツコに聞いてみての驚くべき答えがこれ。


「へ?」


「エリスやロイも顔見知りですわよ。魔王とは伝えてませんけど。半年位前からかしらね。お肉持ってくるのであの子達が野菜と交換してますわ。」


「野菜?交換?」


「ええ。町に行けないから、ここで交換してくれるのは助かるって言ってましたわ。」


「なんでミツコは魔王ってわかったんだ?」


「自分で元魔王って言ってましたわ。ちょっとよくわからない反応だったので聞いてみたら教えてくれたんですけど。」


「・・・危なくないのか?」


「う~ん、1体1なら多分私が勝ちますわね。」


「え、ミツコ、元魔王より強いの?」


「まあ魔王にも色々あるんじゃないかしら。結構なおじいちゃんですし。」


「なんか、、、色々疲れたわ。今度その魔王が来たら俺にも教えてくれ。」


「わかりましたわ。」


 最近は森にいることの方が多かったはずだけど、全く気付かなかったな。ご飯の時にエリス達に聞いてみた。


「あー肉持ってくるおじいちゃんね。あれ、先生に言ってなかったっけ?」


「肉のじいちゃん!!」


「やさしいおじいちゃん!!」


「いや、聞いて無かったと思うけど、その口ぶりだと怖いとか危なそうだとかは無いんだな?」


「うん!!マリーあたま いいこいいこ されたよ?。」


「ケビンも!!おいしい野菜ありがとうって!!」


 いい元魔王?なのかな?いい魔王ってのも変な表現だけど。



 う~ん、元魔王は脅威から外していいのかな。マッドボア以外見たこともない魔物だから、脅威度がさっぱりわからん。良かったこととしては、10km以内に大蜘蛛がいるってことだな。ラム占いによると今の俺では危ない敵だそうだが。どの敵も恐らく複数で襲われ無い限りはミツコが何とかしてくれそうではあるけども・・・畑含めて集落が大きくなりすぎて防衛といっても何をしたら良いのやら。。。



 バトルコングと雌雄を決した次の日、話題に上がっていた元魔王がひょこっと朝から集落に顔を出した。家族と子ども達が農作業をしているのをぼんやり眺めている時だった。


「あ、おじいちゃんだ。」


 マリーが気付いて声をあげる。生徒達は馴染みがないのか遠巻きに見てるが、うちの家族がおじいちゃんと呼ばれる元魔王に寄っていく。見た目は確かにおじいちゃんで、人族でない事も見て取れる。木でできたおじいちゃんみたいな。魔王とは本来総称であり種族ではないと思うのだが、魔王という種族があるんだろうか。


「おーおー皆無事じゃったかい。良かったのう。」


 優しそうな顔でうちの家族の頭をなでる元魔王。確かにこの光景を見て魔王だなんて思えないな。。。


「お前たち、この方と少し話しをしたいから、農作業の続きをしておいで。」


 家族を農作業へ促し元魔王に挨拶をする。


「はじめまして。俺はこの集落の長のようなもので、アルフレットと言います。」


「ほうほうお前さんが先生か。話には聞いておったよ。わしは、カルスジャーラ・ゲネシス。妖精から話を聞いて知っておろうが、力を失った魔王じゃ。本来なら魔王とは呼べない代物じゃがの・・・」


「はい、聞いております。今日は肉をお持ちでないようですが、どういった用件で来られたんでしょう?」


「うむ。結界を超えて魔物が二匹この集落に近づいたんでな、気になっての。しばらくして反応が消えたんであの妖精が仕留めたとは思ったんじゃが一応無事を確認にな。」


「結界ですか?」


「そうじゃ。ここの前の主であるカールと儂は年の離れた友人でな。あやつがここで住むっていうもんじゃから、危険な魔物が近づかないように結界をはっておったのよ。」


「あれ、カールじいさんと10年近くいっしょに住んでましたけどそんな話聞いたことなかったけど。」


「ああ、あいつは知らんじゃろうな。言ってなかったしの。こっそりやってたからの。」


「危険な魔物から守る結界なのに、あの猿は結界を突破したんですか?なんか矛盾してるような?」


「まあそういうな。どんなものにも完ぺきや永遠なんてないものよ。儂しかり結界もしかりじゃな。」


「あのカルスジャーラさんさえ良ければ色々お話しを聞かせてくれませんか?俺の知ら無い事いっぱい知ってそうですし。」


「ああかまわんよ。誰かとこうやって話をするのは嬉しい事じゃ。この森に来て300年じゃったか、カール意外と話す事もなかったしのう。まあカールとも10年以上合ってなかったがの。ああ、最近じゃあの子ども達と話すのも楽しいのう。」



カルスジャーラさんから聞いた話をまとめると


 ・元もとの種族は木の魔物種であるエント。自我に目覚めてから1000年ほど立った時に魔王となったらしい。何かしらの条件がそろうと魔王種へ進化することがあるそうだが、彼自身何故魔王種になったのかはわからないらしい。望んでもいなかったそうだ。魔王種となったものは、知性のある魔物・魔族などから崇拝されるようになり集団の長に祭られることが多いそうだ。彼も例に及ばず魔族の小国の長に祭られることになった。ただ、彼の場合は力や魔力に特化した魔王では無く知力に特化した魔王だった。魔王になる前もなった後も争いをさけ色々研究するのが生きがいだった。当時魔族たちに浸透していなかった魔道具をいくつも作っていった。が、100年の統治(統治と言っても研究していただけだったらしい。)が過ぎたころ血気盛んな同じ国の者達に騙され襲われ力を奪われ命からがら逃げた。その時に体の8割を壊され自身の魔石の大半も砕かれてしまった。他の木々から少しづつ体となる木片をもらい体を再構築。力と魔力の大半を失いながらも知力だけは健在で、魔道具を使いながら遥か遠方のこの森まで逃げ込んだ。それから魔物の住むこの森で300年以上生きてきたそうだ。力がないのに魔王種と言うだけで、魔族や人間から討伐される可能性が高くひっそりと生きてきたのだが、60年ほど前にこの森で死にかけていたカールじいさんを助けて友人となった。カールじいさんは友人となったカルスジャーラさんの為に森に住み始めた。カルスジャーラさんは、森の素材をカールじいさんに渡しカールじいさんはそれを町に持っていき売りさばき、代わりに魔道具の材料や加工道具や野菜を買ってカルスジャーラさんに渡していたそうだ。カルスジャーラさんは、没頭すると時間を忘れてしまうそうでうっかり10年以上研究していたらカールじいさんはぽっくり逝ってしまっていた。久しぶりに会いに来たら子ども達と妖精がいて悪意も無さそうなので接触を図ったらしい。これが半年前。


 ちなみに10年以上カール爺さんにも合わずに研究していた魔道具が、「種族を誤認させる魔道具」。人族は魔王を倒すと魔王スレイヤーの称号を得ることができ、これは世の中にある称号の中でトップクラスの称号だ。魔族や魔物は、魔王を倒すもしくは喰らうと魔王になれると信じているものが多いらしい。本当かどうかはわからないが、自分の身を犠牲にしてまでは確認したくないそうだ。そりゃそうだ。要は襲われないようになりたいそうだ。あと、結界の内容だが、一定以上の強さを持つ魔物に作用し、恐怖を与えるものらしい。作動の条件が魔物の体内魔石、弱い魔物の魔石では発動しない。森の奥にはバトルコングもやはりいるそうだが、普通入り口付近の弱い魔物には興味は無くそうそう出てこないそうだ。なぜバトルコングが恐怖をくらいながらも結界を超えていったのか。恐らくは、集落もしくは狩りに出ていた俺たちの誰かに反応し戦おうとしたのだろうというのがカルスジャーラさんの推察だ。バトルコングは戦闘狂であるらしい。


「誰かと話すのは楽しいのう。研究の次に楽しいわい。カッカッカ。」


「それは良かったです。それと知らなかったとはいえ、今まで守っていただいてありがとうございました。」


「なんのなんの。実際結界はここから1kmも森の奥の獣道にはってあるからの。完全とはいえん。儂の身を守るためでもあるが。まあバトルコングぐらいなら今の儂でもなんとか倒せるがの。」


「魔法で倒すんですか?火に弱いらしいですけど。」


「魔法も使えるが魔道具じゃよ。森で火の魔法は関心せんしな。儂も元々木の魔物じゃし火は苦手じゃよ。」


 ほれとごそごそとボロ服から何かを取りだした。


「ある特定のワードと魔力によって展開する魔道具じゃ。雷の魔石を使用しておる。発動すれば敵に向かって雷が飛んでいく。バトルコングくらいなら倒せるはずじゃ。魔力の少なくなった儂でも使える自慢の魔道具じゃわい。」


 雷?火出ねえそれ?燃えたら火の魔法といっしょじゃね・・・?嬉しそうにカッカッカと笑っていたのでつっこむのは辞めておいた。

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