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狼 ロバ 牛 それぞれの愛の形 

 久しぶりに自分のスキル欄を見て気づいたこと。固有スキルに『習熟度アップ 中』が増えていたこと。恐らくレベル20になったことがトリガーかと思われる。教育ではなく、ほぼほぼ戦闘でレベルを上げた異色の教師ではあったが・・・それと、使役:グレイウルフ★である。最近ハナコの姿が見えない事と関係があるに違いないのだが。無事だといいのだが、どこを探しても集落にいない。名前を呼んでもこないのだ。


 ふと、スキル欄を見て思いつく。『遠吠え』やってみるか。


「わお~ん」


 正直恥ずかしい。誰もいないところでこっそり吠えてみる。聞かれてるとは思うけど。。。結構待って、効果がなかったかなと諦めて立ち去ろうとした時に


「クウーン、ワンワン」


 おお、ハナコが走ってきた。どこにいたんだ!?本当に!!


「キャンキャン」


「ワンワン」


「キャンキャン」


 んお!?ハナコの後ろから、ちっこいのがいっぱい走ってきた。ハナコの子どもか?1.2.3.4.5.6.7匹、母狼のハナコとじゃれ合う子狼のかわいいことといったら、本当に悶絶級だった。ただ、なんとなく母狼のハナコと種類が違うような・・・ダイヤウルフっぽいんだよね。って考えてると「どうがんばったでしょ?」って顔したハナコが見えた。そうだね。。。イケ狼をゲットしたのね・・・


 ハナコも子狼も嫌がらなかったので学校に連れていった。案の定一瞬で子狼はアイドルとなった。ハナコの姿を見た時は、さすがに一瞬緊張が走ったのだが、俺になつく姿を見て安心したようだ。子狼は雄5匹、雌2匹。イチロウ、ジロウ、サブロウ、シロウ、ゴロウ、ムツミ、ナナミと俺が名付けた。この世界では違和感ありまくりだが、慣れたら自然に馴染むだろう。


 ハナコと子狼たちとの微笑ましい姿を眺めてると、ロッキーとニコがもの欲しそうな顔で俺を見てきた。すまん、何を希望しているのかまったくわからん。そこへ何故かキュクロがやってきて、


「ロッキー先輩、嫁がほしいと言ってる。ニコ先輩はたくましいオス希望と言ってる。」


 キュクロのしゃべり方流暢になったなあ。いやそうじゃない。先輩という呼び方?欲しいものがわかること?つっこみどころは色々あるが、ハナコに触発されてつがいになりたかったんだな。ニコはともかくロッキーはいい年だから嫁さん見つけてあげたいよな。


「ロッキー、ニコ、今度ダンジョン行く日にぺトラさんの店にいっしょに行くか。嫁さんと旦那さん探しに行こう。」


 二匹の顔がほころぶ。いい相手がみつかるといいのだが。お、おれにもいつか・・・


 学校が始まって1か月が過ぎようとしていた頃、ロッキーとニコを連れてダンジョンへ向かう。そして今日計算上ホブゴブリン通算500匹目撃破の達成予定だ。お金を稼ぐためチマチマと倒してきた。さぞや有意義なスキルが手に入るのだろうとワクワクが止まらない。


 せっかくニコがいっしょに来ているので初戦はニコに任せてみた。ミツコに鍛えられたそのパワーを存分に見せてもらおう。ホブゴブリンがpopする。ニコが片腕(前足)でクイックイとかかってこいと挑発する。ホブゴブリンが錆びた剣で切りかかってくる。ニコは、蹄で剣筋をそらし逆の腕(前足)で「フンス」と殴りつける。なぐられたホブゴブリンが錐もみ状に壁にぶっ飛んでいった。どう見ても即死である。魔法無しの俺より強いんじゃねえか?ミツコは、恐るべき戦闘マシーンを育てたものだ。森の守りは安泰である。うむ。今日は楽させてもらおう。ニコよろしく。


 俺は『本』を見ながらスキルを取得するまでのカウントダウンを行った。イレギュラーも発生せずその時が訪れる。



  <<ホブゴブリン 言語:『ゴブリン語』取得>>



 ・・・予想外すぎんだろう。言語取得とは・・・前に森でゴブリンと戦いになったとき、確かにやつらの言葉はわからなかった。だが、使うことあるのか・・・?やっとやっとスキル取得できたのに・・・この分だとハイコボルトもコボルト語じゃないだろうな。ゴブリン語・・・ないよりはある方がいいんだろうけど。デメリットもありそうで尻込みしてしまう。ゴブリンと会話してるやつなんて異端にしか見えないのでは・・・?会話しなくても話す事がわかるだけでも利点か・・・単純な戦力強化なら良かったのに。グスン。まあいい、ゴブリン留学スタートだ!!


 もう1戦、ホブゴブリン戦を行う。ニコと交代して俺が戦う。さあ話をしようじゃないか!!


「へい、ホブゴブリン!!」


「!?」


「聞こえてるんだろ!?」


「貴様、なぜ我々の言葉をしゃべる?」


「さてね。」


「ふん、我は階層ボス。これ以上言葉はいらぬ。挑んでくる敵を滅するのみ。ダンジョンの・・・」


 ダンジョンの何だ?てかホブゴブリンセリフかっけえな。若干中二くさいが。そこで会話は終わりホブゴブリンが剣で切りかかってきた。五合程打ち合った後、剣を斧ではじき飛ばし肩口から斧をぶち込む。


「見事・・・」


 倒れたホブゴブリンは、魔石を残しダンジョンに吸収される。スキルを得たことにより話ができた。ダンジョンで産まれたモンスターにも明確な自我がある?あのホブゴブリンは、「ダンジョンの」の後に何を言おうとした?もやもやが残る。今倒したホブゴブリンと次に沸くホブゴブリンは別個体なのか?今まで特に意識していなかったが・・・再度挑む。


「へい、ホブゴブリン!!」


「!?」


「聞こえてるんだろ!?」


「貴様、なぜ我々の言葉をしゃべる?」


「さてね。」


「ふん、我は階層ボス。これ以上言葉はいらぬ。挑んでくる敵を滅するのみ。ダンジョンの・・・」


 ・・・一言一句同じやり取りなのか。毎回記憶がリセットされる同個体なのか?ホブゴブリンにとってはまるで呪いのような・・・もしくは、本当の命では無い?いや命の定義など語っても・・・


「見事・・・」


 俺に倒された後のセリフも同じ・・・だが、俺はダンジョンのスライムを捕獲して連れ帰ってるぞ。その場合どうなるんだ・・・?その分総個体数から減る?でもスライムは分裂する。新たな命を生んでるとも言える。疑似生命では無い?よくわからん。なんつうかスキルを得て敵を倒しにくく(話す敵を倒すのは若干やりにくい)なっただけのような・・・


「ふぅ。かえろ・・・」


 ダンジョンって何なんだろな。まあいいや、町に向かおう。 


 ダンジョンの謎解きは一時置いといて最近よく行くぺトラさんの所へ向かう。


「やあやあ いらっしゃい。今日は何をお探しで?」


「こんにちは、ぺトラさん。今日は雌のロバ1頭と雄の牛1頭を。連れてきた2頭の嫁と婿探しですね。」


「あーいつぞやの訳アリ!!優しいね。せっかくだし本人たちに選んでもらいましょうか。」


「よろしくお願いします。」


 ロッキーはもてにもてた。メスロバハーレムができるんじゃないかってほどに。フェロモンでてるんだろう。寄ってきたメスロバの中から1匹を連れて帰る。逆にニコは、恐れられて雄牛が逃げる始末。その中から目ぼしい1頭をニコが選び「フンス」と首筋を殴打し雄牛の意識を刈り取った。


「おそろしく速い手刀、オレでなきゃ見逃しちゃうね。」


 このセリフを吐くシチュエーションに出会えることになるとは!!と感動してると


「きゃああああああ!!なにやってんの あのこ 殺したんじゃないわよね!?」


 と、ぺトラさんに服づたいに首をしめられ ゆさぶられる。。。まあこうなるよね。


「い、意識を奪っただけだと思います。仮にも婿候補ですから。」


 と、慌てて弁明するとぺトラさんが雄牛に近づき確認する。ホッとした顔になる。が、その後延々と俺がぺトラさんから説教を受けた。若干納得いかない・・・



 帰りはラブラブ光線を発しロッキーにべったりなロバカップルと、雄牛をかついで歩くメス牛といった奇妙な一向となった。雄牛・・・務めを果たせるのか・・・?あんま想像したくないから考えることをやめた。ロッキーは、しばらく俺を見かけるたび腰を振っていた。野郎喧嘩うってやがる(怒り)。う、うらやましくなんてないんだからね!!正直ロバの交尾を見ても思うところはない。ほ、ほんとなんだからね!!ニコは元来大人しい性格をしている。しばらくすると雄牛も心を開いていたように思う。どちらもそう遠くないうちにおめでたになるに違いない。俺は・・・俺はまず友達だよな。どうやって作ればいいんだろうか。パーティ組めたらいいんだけど、前は散々だったからなあ。俺みたいにパーティを組むことができないような人を探してお試しでもいいからパーティ組んでみようかな。で、できたら年が同じくらいで、、、で、できたら女の子とか、、、、来週町行ったらギルドさまよってみよ。


 学校の方はというと、『習熟度アップ 中』の効果なのか、俺の教師力の高さなのか(少しくらいあるよね?)、学校という皆で学ぶ環境なのか孤児たちの覚えはなかなかに良かった。文字を覚えるのにいろいろ工夫もした。カルタのようなものを作ったり、絵本のようなものを作ったりもした。絵はひどいものだったが・・・まあ仕組み的には楽しめるものになったと思う。教材をいっしょに作ったライムントも町でも見たことがないものなので、売れるんじゃないかと言っていた。ただ、簡単なものなので著作権的なものの保護が無ければ誰でもまねができてしまう。ライムントもそういうのは詳しくないので、気になるなら商業ギルドに行くといいのでは?とアドバイスをくれた。もし、本当に売れるのなら初の知識チートになるのかな。前世で自分で小説書こうとして集めた本の知識は、全く頭に残ってなかったからなあ・・・知識が金になるといいんだけど。それと数字に親しんでもらうのにトランプも作った。木で作ったので少し使いづらい。勉強も兼ねているので7並べとか神経衰弱を教えた。よくよく考えてみると俺もこうやって遊びの延長の中で色々覚えたんだよな。楽しく勉強できるって本当素晴らしい事だと思う。今は養うことが目的と俺がやりたくてやってるだけの学校だが、ノウハウが蓄積していけば、もっと規模を大きくできるのかな?ただ、学校運営は、現状お金にならないのよね。そのあたりを解決したいなあ。

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