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学校構想とトイレ事情

 次の日から孤児たちの面倒はしばらく家のこどもたちとミツコに任せることにした。料理をいっしょに作ったり、動物の世話や畑の世話を見学してもらう。もちろん手伝ってもらってもいい。森に早く馴染むこととお互いに仲良くなるために遊べと言っておいた。体が多少肉付きが良くなるまではそんな感じでいこうと思う。


 ドワーフ達には、その間に大きめの建物をお願いした。イスと机が30並ぶ部屋を2部屋。そう教室だ。森に学校を作ろうとしているのだ。多目的部屋と物置小屋、職員室の代わりの部屋もお願いした。一つの建物に固める必要もないのでそれぞれ独立した建物でもいいと伝えてある。正直これだけの建物を無償(木材は伐採で手に入れた物なので労力代)で作ってもらうのは、気が引けたので出世払い(これもひどいが)でと申し出たのだが、頑なに断られた。ドワーフ達は、ガダフさんを除いてドワーフの集落に嫁や子供や孫を残してきている人が多い。いわゆる今は単身赴任状態だ。子ども達の笑顔を見るのは嬉しい事だよって言ってくれた。それに孤児の中にドワーフ族の女の子が一人いたのも理由の一つだろう。住む家は全員で1日がかりで作り上げたが、鍛冶仕事や他の事もしながらだし、机やイスなども作るとなると最低でも一か月はかかると言われた。


 孤児たちや建物の事は任せるとして、俺はというとお金を稼ぐ必要があった。最初の食料は買いこんだものの人数が人数であるために継続して購入するにはお金がたくさんいる。具体的に言うと、だいたい1人1食分の食費は、自炊だと2~3銅貨くらいだろうか。しばらくはお金を稼げない孤児たちの分も面倒を見るとして30数人×1食2~3銅貨×朝昼晩=1日約200~300銅貨(2~3銀貨)の食費がかかる。1か月で1金貨ほどかかる計算だ。それに加えて服の材料やら学校で使いたい資材・道具を買わなければならない。孤児たちが働けるようになれば経費も減っていくが軌道にのるまでは頑張らないとな。


 朝8時にロッキーとともにダンジョンへ向かう。だいたい家からダンジョンまでは1時間くらい。地下3階のホブゴブリンを狙う。前は1時間もかけて地下二階ボス部屋奥から3階に入り、ダンジョンを攻略しながら3階ボス部屋に向かったのだが、よくよく考えると3階ボス部屋の奥から戻れば簡単につくという発想にいたってなかった。前からだけでなく後ろからでもボス部屋に入れたのだ。もちろん誰かがボスに挑んでいるときは入れないけども。ホブゴブリン戦は、今では正直瞬殺レベルである。再挑戦待ちの時間の方が長いくらいだ。だいたい待ち時間が10分~15分くらいだろうか。夕方四時くらいまで粘って25~30回の戦闘になる。占領はできないので、他の人が挑みに来たら譲るのでだいたいこんなものである。錆びた武器はドワーフ達にあげるので戦利品は魔石のみとなる。ホブゴブリンの魔石は1個につき1~1.5銀貨くらいだろうか。今日の戦果は30銀貨になった。町に寄って1日分の食料を買いこむとぺトラさんのところに向かった。売っていればだが、ある魔物を買いたかったのだ。


「こんにちは、ぺトラさん。」


「やあ、いらっしゃいアル君、アルラウネは元気?」


「元気すぎますよ。あの性格だってこと、知ってて黙ってたでしょ?」


「はっはは、何の事やら~。で、今日は?」


 ごまかして話をそらしたな。


「スライムって売ってるんでしょうか?」


「スライム?何かの処理に使いたいとか?」


「そうなんです。森に住む人が増えたので、排泄物の処理が大変になるかなあと。町の排せつ物の処理は、スライムだって前に聞いたことがあって。」


 スライム式下水排水処理システム。この国では、う○この処理や様々な汚物、残飯などの処理をスライムにさせているのだ。処理のために排泄物などで栄養をたくわえたスライムは、やがて分裂する。分裂したスライムを処理すると魔石がとれる。なかなか良くできたシステムだと思う。俺もあやかろうと思ったのだが、スライムのテイム方法なんて知らないので、システムがあるくらいだから売ってるんじゃないかと思ってぺトラさんの所を訪ねてきたのだ。俺と家族だけの排せつ物だけなら家畜の糞とまぜて堆肥にしていたのだが、ドワーフに孤児たちと50名分も増えたら正直処理できる量ではない。しかも人の糞尿は動物よりもくさいのである。水洗トイレなどあるわけもないので異世界ならではの技術はおおいに活躍したいものである。


「スライムねえ、ごめんねここでは扱ってないのよ。錬金術ギルドに行くといいわよ。」


 あ、そういえば、ダンジョン1Fのボスドロップであるスライム核は、確かスライムを使役するアイテムが作れるんだっけか。忘れてた。


 ぺトラさんに場所を教えられ、錬金術ギルドへ向かう。魔法の世界での錬金術っていうとなんかこう華やかで幻想的なイメージがある。前世ではアトリエシリーズ大好きだったからなぁ。女の子もかわいかったし(*´Д`)さて錬金術ギルドに付いた。見た感じは普通の商店だな。


「こんにちは~。」


「いらっしゃいませ。錬金術ギルド購買部へようこそ。」


 ニコリと見目麗しい受付嬢が出迎えてくれた。おどろおどろしい錬金系ではなく、アトリエ系なのかもしれない。へへへ。などど考えていると、いぶかしげなめで尋ねられた。


「今日は何をお探しでしょうか?」


 いかんいかんと我に帰る。


「俺は森に住んでいるんですけど、この町で使用されているスライムによる排泄物処理のシステムを、森で使えたらと思いまして。可能でしょうか?」


「お客様は、錬金術師様や魔物使い様でしょうか?」


「いえ、違います。」


「通常スライムを使った処理システムを使うには、3通りの方法があります。1、魔物使いのスキルでテイムする、2、錬金術師の錬金術スキルで生み出す、3、自力で捕まえて使いたい場所に放り込むといった方法があります。1と2の場合派遣という形で対応します。3の場合は、スライム捕獲機をお売りします。」


「料金を教えていただけますか?」


「1の場合、かかった日数×1金貨になります。ただし、テイムするスライムはエレクスの迷宮1Fにいるスライムになります。2番の場合、かかった日数×1金貨の他に触媒に使用するアイテム代をいただきます。3の場合は、1金貨になります。」


 結局全部1金貨以上になるのね・・・お金足りない。


「すいません、手持ちがありません。また貯めて出直してきます。金を貯めたのちにスライム捕獲機を買いたいと思いますが、何回も使い回しのきくものなんでしょうか?」


「そうですね、1回や2回で壊れるものではございませんし、壊れなければ何度でも使えます。もちろん壊れない事を保証するものではございませんが。」


「説明ありがとうございます。また来ます。」


 受付のお姉さんはニコリをうなずいた。俺はすごすごと帰ることにした。


 ダンジョンにこもりだして2週間ほどたった日、余剰金を使って魔石コンロを買った。今は食事をエリス達が作っているが、いずれは自分たちで作ってもらう。そのために必要だった。火を起こすのに薪を集めなくていいのは本当に助かるのだ。設置ついでに1日ダンジョン探索を休んで孤児たちの様子を見た。孤児たちは、うちの家族とも楽しそうに遊んでいた。ほんの少しだけど肉付きも良くなったように思う。ぼんやりと子ども達を眺めていると ズズーンって音がして猪が庭にふってきた。降ってきた!!??


「あ~ミツコ様が猪とってきてくれたよ~!!」


「ミツコ様~」「ミツコ様~!!」


 ほわっつ!?孤児たちにも様づけされてるやん。2週間で何が・・・?


「さぁ、解体するわよ!!」


 エリス のりのりやん。


「はい、エリス隊長!!」


 え、エリス隊長なの?孤児たち・・・


 遠い目をした俺は、伐採に向かおうとした。が、アルラウネのラムに捕まった。


「先生、マーダーちゃんな。畑の草食いつくしてもうてん。」


 え?うそ?結構広かったよ、あの畑。


「あの子めっさ食うねん。町までの道の草食わしたってええか?」


「うん、わかった・・・」


 この日、森と町をつなぐマーダーシープバスができた。運転手はアルラウネ。客席はまだない。。。



 森は順調なようだ(きっとそうだろう。)学校の下地ができるまでは、俺は稼ぐとしよう。紙も筆記用具も黒板も、まだまだいっぱい必要な物はある。先生といっても前世では教員免許を持ってただけで、実際の教員になったことはない。だけど、大学含めて16年も学ぶ側にいたのだ。学ぶ内容は違えども教え教えられるために必要なものは色々と思いつく。家族にも仲間や友達ができてコミュニケーション能力やら集団意識など、今まで学べなかったことも色々学ぶことができるだろう。


 コンロも買った。次はスライムの捕獲だ。錬金術ギルドで入スライム捕獲機を購入した。見た目1M正方形の箱だった。中に入ったスライムを大人しくさせる効果があるらしい。というかその効果しかないらしい。中に入れるのは自分でがんばってね(ハート)と錬金ギルド受付嬢の弁。おまけ情報として50人超の排泄物を処理するのに必要なスライムは、だいたい10匹ほどらしい。箱1つに入るスライムはおよそ1匹。すなわち10往復。トイレ一つ快適に作るのに本当に苦労することだ。。。水洗トイレのなんと便利だったことか。トイレットペーパーのふきごこちのよさときたらまあ。。。(今はおしりをふくメインは葉っぱです。どうもありがとうございました。)ボットントイレの底を穴掘りスキルで改造し、スライムが活動できるようにし、増えた時には処理できるようにもした。なんという地味な作業要員俺。


 準備万端、スライムを捕獲しに行く。ダンジョンの1Fに入りスライムを探す。見つけると俺自身をおとりにして箱の後ろに立つ。


「よ~しよしよし、いいこ いいこ まっすぐこっちだよ~」


 ず~るずるとスライムが箱に向かって入っていく。入るとおとなしくなるので箱のふたを閉めて持って帰る。以上!!移動往復2時間作業時間5分の簡単なお仕事です。くっ、、、これただの木箱でもいけたんじゃね?・・・あと、9匹。次はダンジョン探索のついでに作業しよう。


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