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サイクロプス

 サイクロプスを捕獲した次の日、ロッキーにまたがり単独でギルドまでやってきた。


受け受けにはギルド長がいた。話が早い。


「坊主、ここに来たってことは、何もなかったようだな。良かった良かった。ってあれ?」


 俺の顔を見てギルド長は何か察したようだ。


「その顔は、来たのか・・・?の割りに問題なさそうだが・・・」


 えー?俺でも倒せるって言ってなかったっけ?


「来ました。そして捕獲してます。で、色々聞きたかったのでここに来ました。」


「捕獲?それはすごいな。仕留めるよりも捕獲の方が難度は高いだろうに。で、聞きたいこととは?」


「サイクロプスの親子が見つかって倒したと聞きましたけど、何か悪さとか危険な事があっての討伐だったんでしょうか?」


「いや、商人が荷を運んでたところ遠目にサイクロプスを見つけて、慌ててギルドに報告にきた。で、偵察・討伐と相成ったわけだ。特に悪さというのは聞いて無いが、危険な魔物を見つけたら討伐するのもギルドの仕事だからな。まあこの辺りでサイクロプスが見つかるなんていうのは、聞いたことがないな。」


 何もしてないのにっていうのは、あながち嘘ではないのかもな。


「なるほど、あと、魔物って人語話せる種族もいるんでしょうか?」


「少ないけどいるぞ。あー捕獲したサイクロプスと話でもしたいのか?サイクロプス族が人語をしゃべるなんて聞いたことがないから、難しいと思うが。」


 魔物もしゃべれるが、サイクロプスはしゃべらない?いつもの訳アリってことかな。揉めると嫌だからあの子サイクロプスが人語をしゃべるのは黙っとくか。いかんなあすでに情がでちゃってる。


「ギルドから人を出してサイクロプスを引き取るか、しとめにいったほうがいいか?」


「いえ、今しばってありますので危険かどうかもう少し見させてもらってもいいですか?すぐに処置しないと駄目とかあるんでしょうか?」


「う~ん、特にそういう決まりはないが危なくないか?ってとこだけだな。確か坊主はグレイウルフも従えてたしサイクロプスも手懐けたいってとこか。巨人族なんて一流の魔物使いでも難しいというか聞いたことがないけどな。そもそも坊主は、魔物使いでもないのにどうやってグレイウルフ従えたんだ?」


 『本の加護』とは言えないしな。


「気づいたら懐かれてました。」


「まあいいか。危ないと思ったらすぐに報告に来い。それと連れているグレイウルフは首輪してるみたいだが、それでも魔物は魔物。町の魔法具屋に従属の法具が売っている。それを買って使っておいたほうがいいぞ。」


「従属の法具?逆らえなくするような物ですか?」


 危なそうな道具だな。悪い事に使えそ。


「いや、証明のための魔法具だ。使用者が魔力を流すと従属者に印が現れる。誰かに自分の従えてる魔物だと証明するのに魔物使いは必ず使用するものだな。ちなみに従属者が敵意を持ったらその効果は失われる。逆らえなくするものもあるらしいが。私はまだ見たことがないな。」


 なるほど。せっかくだし魔法具屋言ってみるか。


「では、帰ります。サイクロプスの件はまた報告します。」


「待て待て坊主!!査定の金渡してねえぞ。」


 忘れてた。


 査定金額は全部で15金貨になった。ダンジョンの魔石類、家より奥目の魔物を倒した素材等結構な量あったしなあ。うは、俺金持ち!!昨日生活用品は買ってあるし余裕のあるお金だ。ふふっ


 ギルド長から場所を聞き町の片隅にある魔法具屋へと足を運んだ。・・・なんか怪しい雰囲気たっぷりのお店ですね。魔女とかでてきそうなんですけど。恐る恐る店に入ってみた。店内にはなんだかよくわからないものばかりだった。説明聞かなければさっぱりわからない。武器や防具は性能は別にしても見ればわかるものだが。ここのはちんぷんかんぷん。店主を見つけた。普通のおっさんだった。


「いらっしゃい。どういったものをお探しで?」」


「従属の法具というものが欲しいのですが。できれば5個ほど。」


 町まで連れてくるのはハナコくらいだろうけど、予備含めて持っておきたいしなあ。


「一つ10銀貨になりますので50銀貨ですね。使い方の説明はいりますか?」


「はい、お願いします。」


 従属の法具は、ペアのミサンガのような物だった。魔法具だけあって大きさは対象の大きさに自動で伸び縮みする。使用者と従属者の血を両方の従属の法具にたらし、使用者の魔力を通す。使用後に敵意があれば効果が消えると言っていたが、使用する際にも片方が敵意を持っていれば、法具は壊れてしまう。信頼関係が無ければ使えない。また人には効果は発揮しないようになっているようだ。悪い事には使えないってことだね。


 他にも色々陳列してあったので説明を聞いて二つ買ってみた。魔力で光が付く電灯のような魔道具1金貨と、驚くほど強固なのに軽いチェーン5M。魔法が幾重にもかかっているらしく更に持ち手部分に魔力を通すと動かす事ができる。10金貨。ん?このチェーンがあれば蜘蛛の糸いらないんじゃないか!?ってことでめっちゃ高かったけど買ってみた。余裕が一気に消えた。いやあ本当にいいものが買えた。自分でこういうのを作れたらいいんだけど無理だろうなあ。


 目的だった大蜘蛛の素材はまだ見つけていないが、ひょんな事から別素材を手に入れたのでガダフさんのところへ持っていった。


「坊主、軽くて強いといっても5Mの鎖を小手に忍ばせるのは、無理があるんじゃないかの?」


「うぇ?」


 変な声でた。


「鎖としては強いし軽いが、坊主の体にはでかくなりすぎるぞい。魔法攻撃と絡めて戦う軽装スタイルじゃろ?目指しておったのは。」


 そういえば・・・確かに。10金貨もだしたのに・・・とほほ。


「うう。大蜘蛛の糸探してきます。」


「おう、がんばれよ。」


 とほほな結果に終わったが、鎖は鎖として色々使えるだろう。多分・・・散財しちゃった。てへ。


 他に用事はなかったので、まっすぐ森のお家に帰った。



「ハハハハ たかーい!!」


「キャハハハ。」


「僕も僕も~」


俺は疲れているのだろうか。子サイクロプスの肩の上にコニーとマリーが乗っかって遊んでいる。ミ、ミツコさん見張りはどうされたの?どこいったミツコ!?


「ただいま。どういった状況だい?これ」


「あのサイクロプスはいい子ですわ。」


 いきなり後ろにミツコ。いつの間に!?


「い、いやミツコ見張り頼んでたのにどうなってるの?」


「あのサイクロプスはいい子ですわ。」


 いや、それさっき聞いた。


 ま、まあ。楽しそうに遊んでるし・・・ただ、サイクロプスから話は聞いたうえで、従属の法具も試してみるか。


「おーいちょっと、サイクロプス、こっちきてくれ。」


 子サイクロプスが、マリーとコニーを降ろして近寄ってくる。おいおいやっぱでかいな、まともに戦って俺勝てるのか。


「オ、オデ、ワルイコトシナイ。ミツコサマ ニ シタガウ。」


 ちょっとミツコ!?ミツコ様って呼ばれてるじゃない!?


「う、、うん。そうか悪い事しないのは、まあいいんだが。ちょっと話を聞きたいんだが。」


「ウン、オデ ナンデモコタエル。」


「今までどうやって暮らしてたんだ?」


「オデタチハ ニンゲンニ ミツガラナイヨウニ カクレテクラシデタ。ミツカッタラ コロサレルッテオトサンタチ イツモ イッデタ。」


 サイクロプスが人間から逃げてたのか。人間からしたらサイクロプスなんて恐怖でしかないようだが。


「ムカシハ オデタチノブゾク タクサンイタ デモ ニンゲンノカズオオイ ダンダントブゾクノカズヘッテイッタ。サイゴ ノコッタノガ オデタチダトイッデタ。モリノマモノ タベテタ。」


 個々ではサイクロプスに勝てる人間の方が少ないだろうけど、確かに数は力だな。聞く限り危険度は無さそうだけど、あとは


「人間に恨みはないのか?」


 親を殺されてるからな。恨まない方がおかしいと思うが。


「オソッデキタヤツラ ハ ニクイ デモ コワイ。」


 震えてるな。死にかけたんだもな。


「これからどうしたい?親を殺した人間に付きだしたりはしないつもりだけど。」


「ミツコサマ ガ ココニスンダライイト。 センセイハ ヤサシイカラッテ。メンドウミデクレルト。」


 えー 勝手に何言ってくれちゃってるんですか ミツコ。後でしかっ 注意しとかなくちゃ。


「そうかわかった。いっしょに暮らすか。ただ、住むところは別だぞ。」


「アディガド」


「そういえば名前聞いて無かったな。名前はなんていうだい?」


「オデノ ナマエハ キュクロ」 


 後で、ハナコとキュクロに従属の法具を使った。どちらも問題なく効果を発した。キュクロの住むところはライムントに丸投げしといた。彼ならばとりあえずの寝床を作ってくれるだろう。


 従属の法具も使えたので、『本』にキュクロが表記されてるだろうと確認してみた。


≪名前=キュクロ 種族=エンシェントサイクロプス レベル=3 スキル=『剛力 3』『言語理解 7』『調理 2』『解体 2』『鍛冶 1』 魔法=『鍛冶魔法 1』≫


 おおう、エンシェントサイクロプス!?しゃべっちゃってたしやっぱ普通じゃないのね。しかも多才だな。鍛冶魔法まで使えるのか。そのことを本人(本魔物?)に聞いてみたら、鍛冶って何?鍛冶魔法って何?って感じだった。せかっくだしその辺もライムントに丸投げした。ライムントは、「え、鍛冶はあんまり・・・」ってしかめっ面してたけど、査定の内ライムント分を渡したらなんとか納得してくれた。せっかく使えるんだし覚えてもらった方がいいよねえ。言葉とかそのほかの事は先生である俺の仕事だろう。変わった生徒ができたものだ。


 森の仲間となったキュクロは、率先して伐採を手伝ってくれた。なんというかパワーが違う。子どもといってもさすがサイクロプス、ガンガン伐採してくれる。ただ、気は小さいし今まで狩りもまともにしたことがないらしい。狩りはおいおい覚えてもらうことにする。体がでかいだけあってキュクロは結構食べる。自分で食べる分くらいは自分で取ってもらえるようになってもらいたい。とりあえずの武器として木をけずってこん棒を渡しといた。サイクロプスにこん棒は良く似合う。ニシシ。鍛冶はしようにもキュクロに合う金床や金づちが無かった。今度町に行ったら買わなきゃだな。

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