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戦いの反省と開墾再び

 かつてないほどに厳しい戦いだった。にもかかわらず連続踏破に挑だのは無謀だったと反省せざるをえない。ハイコボルトは、斧だけでは厳しい戦いだったが、スキルをフル動員すれば問題は無かった。なので次の階層も同じようにやればいけると思ってしまったが失敗だった。回復魔法を持っていなければ、またいっしょにハナコが来ていなければ非常に危なかっただろう。本当、持っててよかった回復魔法(安堵)。  今回の戦いを経て戦闘能力が足りてないことがわかった。といっても鍛えるしかないのであるが。槍との戦い方、盾を持った相手との戦い方、投擲・水魔法の牽制がが通じない相手との戦い方…課題は山積みだ。


 いいこともあった。4F5Fとコボルト・スケルトンとの戦いを経てそれぞれの達成率が100%になっていたのだ。コボルトは割とたくさん倒した気もするが、スケルトンはえらくあっさり達成したような気がする。内容は、


 <<コボルト 技:『ぶんまわし』取得>><<スケルトン スキル『骨密度増加』取得>>


 コボルトは、『ぶんまわし』。こん棒振り回してたからな。一発ももらわなかったけど…有用性はいまいちかなあ。後で試してみよう。で、スケルトンだが、…いやまあ骨密度上がるのは健康的で骨粗しょう症になりにくくていいんだろうけどさ。これがスキルっておかしくね?だがまあ骨から健康的になるのは非常にいいことだし。良かったということにしておこう。にしてもこの『本』はなかなかに意表をついたスキルを提示してくれるなあ・・・


 健康的な骨を手に入れた俺は、弁慶のように大量の武器を載せたロッキーとともに帰途についた。魔石などを売るのはまた別の日にしよう。なにせロッキーが目立ちすぎるのだ。まあ荷物を持たせているのは俺だけど・・・かなり疲れていたが、ロッキーは武器だらけで乗ることができないのでゆっくりと歩いて帰った。いつもより遅く帰ったので皆心配していたようだ。戦利品の武器は降ろすだけにして速攻寝た。起きてられなかった。


 朝も寝坊気味で起きた。起きると戦利品の錆びた槍を手に持ったロイが目を輝かせながら訴えてきた。


「先生!!この槍僕にちょうだい!!」


 え?この錆びた槍欲しいの?いいんだけど・・・あげるのならきちんとしたのをあげたいんだけどね。


「ちょっと待ってくれる?ライムントに見せてみたら少しはマシになるかもだから。」


「うん!!」  


 俺があげたホーンラビット角槍よりは、錆びていても鉄の槍の方が見栄えはいいか。伐採作業を終えて一息ついているライムントを発見。


「おはよう。ライムント、ちょっとお願いがあるんだけど。」


 内容を言う前に目線は錆びた槍の方に向かっている。


「おはようございます。めずらしいですね、こんなにゆっくりされてるのは。お願いっていうのはその錆びた槍ですか?」


 さすがにばれだれだな。


「魔物が落とした槍なんだけど、ロイが欲しいっていうんでね。さすがにこう錆びてる槍をわたすのもなあって思って。鍛冶魔法でどうにかできないかな?」


「できなくはないですけど、錆びた部分を排除するので小さくなりますよ。あと僕の腕では、そんなに良い物にはならないですが。」


「使えたらいいよ。錆びてるよりはずっとましだろうし。」


「わかりました。夕方までには終わると思います。」


「ありがとう。よろしく頼む。そうだ、他にも錆びた武器いっぱいあるから、手間かもしれないけど好きに使ってくれ。後で持ってくるよ。」


「助かります。鉄に戻して大工作業に使えるものに加工します。」


 鍛冶魔法超便利。


 槍を渡して遅めの朝食を食べた後、斧を片手に特訓に入る。ハイコボルトの槍さばきをイメージトレーニングの相手として。長年使ってきたこともあり斧からほかの武器に変えようとは思わない。斧ってなんだかパワーファイター系だからちょっと自分とは違わなくもないんだけれど。槍先を斧でいなしつつ、懐に入り一撃を入れる。イメージながら槍の間合いと速さに追いついていない。ふむぅ。


 前から考えてた糸を出し入れできる小手を作るか。糸で槍の動きを阻害したり、魔法を這わせて色々できそうだしなあ。となると大蜘蛛を見つけて狩らねばならない。森に住んで結構になるけど、一回も見た事ないので、結構奥まで探しに行かないとだな。


 伐採再開である。家から森の奥に向かって。ゴールは大蜘蛛に出会うまで。前に少し奥に向かってやっていたので、その続きになる。問題点としてゴールは設定したが、森の最奥までいっても必ずしも大蜘蛛に出会う保証がないことだ。出会えるといいのだが。しかしまあ使命のように森を開拓している気がするなあ。


 ちなみに伐採方法に変更はない。木を切り、切り株を排除し草を刈る。適度な幅を維持しながら道作りも兼ねる。今回はその作業に加えて最適な斧使いにも気を配る。適度に筋肉もついてはいるが、13歳と若く、力がついてくるのはこれからだろう。力を分散させることなく斧に伝える。言葉にすれば簡単だが、なかなか難しい。何せ解答がないので、到達点のイメージがぼやけてしまう。木を切りながら、あー今のはいい感じだなとか、試行錯誤していくしかないのだ。どこかに指導書だもあればいいんだけどな。


 家の周り四方はライムントが1日二時間伐採。俺は子供達への指導時間以外は伐採を行った。やっていて気づいたのだが、前よりもパワーの乗りが良くなっていた。なんとなくだが骨密度増加の恩恵じゃないかと思っている。強い骨は力を生む、ということじゃなかろうか。7日ほど進めると、家の周りではあまり見なかった魔物とも出くわすようになった。ワイルドボアとダイアウルフである。前に倒したマッドボアよりはかなり劣るが、それでも、そこそこの体躯で油断はできない。ダイアウルフは、グレイウルフよりもさらに身体の大きい狼種だ。どちらも今まで倒してきた魔物の上位種でありパワーと速度はあなどれない。特にダイアウルフは群れてることが多いうえに、個々の身体能力がグレイウルフよりもかなり上である。ロッキーとハナコをいつも連れてきているので何とか戦いにはなっているが、俺一人では多分厳しいだろう。牙むき出しにして複数の大型の狼に襲われる。前世だとちびるじゃないかと思えるほど恐ろしい光景だ。これらの魔物は出会うと何もかも全て使ってフルで挑んでいる。強くなったと思ったらまた次の強い敵、なかなかに楽にはならないものだ。実際家の周りだけの狩りや5階までのダンジョンなどに挑み続けても生活はできるだろう。しかし折角転生し『本の加護」という様々な能力を得る力も手に入れたのだから、色々やってみたくなるのはおかしい事でもないと思う。でもまあ魔王を倒すだとか(いるかどうかは知らない)、世界を救うなんてことは考えておらず少しづつ強くなってこの世界を見て回れればそれでいいのだ。多分ゲームだったら序盤であろう魔物に苦労しているのでなかなかうまくはいかないが。


 本日の伐採の成果は、ワイルドボア1にダイアウルフ3になった。家族みんなで皮・牙・爪・肉などを解体する。ダイアウルフの肉はワイルドボアに比べると脂肪分が少ないが割とおいしい。毎日倒しているわけではないが、子どもたちと俺とライムントで食べる量としてはかなり余剰もでてきている。魔法で氷を作って氷室のように保管している他、塩漬けや燻製も作っていく。子どもたちもだいぶ慣れた手つきで作業をこなすようになった。成長が目に見えるのはうれしい事だ。


 伐採する。出くわす魔物を倒す。をさらに7日程繰り返したが、大蜘蛛には出会わない。代わりに別の魔物が出てきた。トレントと呼ばれる木の魔物だ。普通に木だと思って斧ぶちこんだら、暴れまわって襲ってきた。それほど大きいトレントでも無かったのでもういっぱつ斧をぶちこんだら普通に沈んだ。木を切るのは得意なんでね、俺。素材として何が有用なのかよくわからないので丸ごと持って帰った。腐るものでもないので町に行く時まで放置かな。最低でも木材としては利用できそうだしね。


 それからさらに伐採を勧めてみたが、大蜘蛛とはまだ出くわさない。そうこうしているうちに野菜を植えるのにいい時期になったのでみんなで新しい野菜を植えた。トマトと玉ねぎである。少し先になるが収穫ができれば食卓がいろ彩り豊かになる。ふふなかなか森での生活も充実してきたかもしれない。


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