ダンジョン4F~
ライムントへのフォローは、ある程度見通しが立ったので、ダンジョン攻略に戻ることにする。護衛はニコに任せた。万が一危ない魔物が現れても、家の周りの伐採ならばミツコがどうにかしてくれるだろう。ライムントしっかり働いてくれよ!!
久しぶりにダンジョンに向かうと人が増えていた。冒険者ギルドのロドリゴさんに理由を尋ねてみると、俺が渡した地下1Fボススライムの情報が冒険者ギルドから出回ったらしい。それほど強くない敵が金貨1枚にもなるアイテムを落とすとあって、ランクの低い冒険者が殺到しているらしい。でも、殺到したら戦闘回数減るので、旨味はそんなに無いんじゃなかろうか。まあリアルラック高めの人が挑めばその限りではないのかもしれないが。
俺は、地下4Fからの再開となる。コボルトが登場しハイコボルトがボスである。冒険者ギルドの情報では、ドロップ品はお金にはならなさそうだ。転送ツールを使って地下4Fに向かう。あいも変わらず地図は優秀で迷うことなく進んでいける。早速犬頭のコボルトに出会う。二足歩行で歩いているのでぱっと見ると獣人と見まがう容姿である。かわいらしい犬の顔ではなく、割とおそろしめ。ガウガウ言ってる。連れてきたハナコを見てみるとゥウウウと唸っている。どうにもコボルトと仲良くやれそうな雰囲気はない。狼と戦うのと武器を持った犬と戦うのと、どっちの方が強いのか。やってみたらわかるか。
動きは狼と比べるべくもなく遅い。こん棒と斧をぶつけあってみたがそれほど力も強くない。ゴブリンと同等といったところか。う~ん、グレイウルフの方が強いんじゃないかなこれ。特に手間取ることもなく倒すことができた。だだ、ゴブリンにも言えることだが人型の魔物を倒すのは慣れたとはいえ、若干とまどいがある。あまり慣れすぎても人としてどうなのかなというところもあるが・・・
前の階層にもいたゴブリン、洞窟こうもりなども倒しつつ先に進む。俺も強くなったものだ。低階層とはいえ全く危なげない。もちろんハナコの存在も大きいとは思うが。ゴブリンの錆びた武器、コボルトのこん棒をロッキーに載せて進む。戦った分だけ増えていくからそこそこの戦利品だが、金にはならないだろうな・・・錆びた武器はライムントが可能なら鍛冶魔法で素材に。こんぼうは・・ ・柵の代わりにでも使おうかな。割合魔物との遭遇率が高くロッキーに持たせた武器が30本を超えた。これだけ積み込むとロッキーは戦いには参加できそうにないな。
3時間ほどダンジョンを進むとボス部屋にたどり着く。地下4Fも今までと同じくボスに挑んでる人はいない。ボス部屋に入ると錆びた鉄槍を構えた今までのコボルトよりも大柄なコボルトがいた。ハイコボルトだな。ハナコを待機させて俺一人で挑んでみる。槍を持つ敵と戦うのは初めてだ。お互いに構えながらじりじりと距離を詰める。サクンと俺の射程外距離から槍の一刺しが飛んできた。うお、雑魚コボルトとは段違いの強さの用だ。顔を少し切られてしまった。槍の射程距離・・・なかなかに厄介そうだ。雑魚コボルトは力任せにこん棒を振り回していただけだったが、ハイコボルトからは技術を感じる。さてどうやって隙を伺うかだな。せっかく技術を持った敵と対峙しているのだから、自分を鍛えるつもりで水魔法や投擲は無に斧だけで勝利を収めてみたい。速度では槍の方が早く、威力は斧の方が上か。1発いれれば、勝負はつきそうだが、なかなかその隙を見つけられない。打ち合うこと10合を超えたぐらいで、一瞬の隙を見つけた。ここだ!とスマッシュの体制に移行しようとするとすかさず次の突きがきた。あぶな!!二段突きかよ!?こいつ誘ってやがったな。ちらっと顔を見るとフフンって顔をしてやがる。遊ばれてるな。さっきまで、強くなったもんだとか考えてたが、俺一人だとこんなものか。仕方ない全部だそう。
気をとりなおして、魔力を左手にこめる。
「水弾五月雨!」
小さめの水弾シャワーで視界を奪う。ハイコバルトがよろける。出来た隙を逃さず投げナイフを槍を持った腕に投げつける。腕にナイフがささり、うめき声を上げるハイコボルト。次に踏み込みながら
「スマッシュ!!」
オートマの方をぶちかます。深く胸をえぐり飛ばした。追い打ちの投げナイフを喉に飛ばしとどめとした。
「ふぅ。」
斧だけでは勝てなかったが、一人で仕留めることはできた。このクラスの魔物が複数出る6Fはかなりやばいな。にしても槍が、こんなにやりにくいとは。
ドロップは、ハイコボルトが持っていた錆びた槍だけ(泣)しょぼい。持って見ると、意外に軽く柄の部分は木のようだ。せめて全部鉄だったら素材になったのに。転送機に登録をして、ロッキーとハナコとともに一休憩をとる。今日はこのまま下の階まで攻略する予定だ。地下5Fは、ゴブリン、コボルト、スケルトンとファンタジー要素満点の階層である。スケルトンの強さはわからないがボス以外はそんなに強くもないだろう。多分。
休憩を終えて、先へと進む。ゴブリンとコボルトを数匹倒したところで、スケルトンにでくわす。人型の骨が錆びた剣を持ってうろうろしている。予想通り怖さは無いが、多少不気味さはあるか。動きは早く無さそうだし、ゴブリンやコボルトよりも弱そうなんだが、なんで下の階層にいるんだろうか。とりあえず、近づいて斧をぶつけてみる。剣で応戦しようとしてきたが、構わず振り抜く。スケルトンの上半身がぶっとんだ。顔だけがカタカタと言っている。しばらく見ていたが再生などはしないようだ。しかし魔石にもならない。顔を壊さないとだめなのかもしれないな。足で骨頭をふみぬいた。その後魔石が、骨のくずがバラバラになったあたりで生成された。
感想としては、脅威は全く感じないし斧とも相性はいいみたいだ。この階層でもドロップは武器ばかり。いわゆるクズ武器ばかりだが。ひたすらに武器を積み込まれたロッキーは、弁慶の刀狩りのようになってしまっている。見た目は大変にかわいそうであるが、パワーはさすかといったところで、問題ない歩みをみせてくれている。全ての武器が100本を越えたころ、ボス部屋にたどり着いた。
4Fでは手こずったので縛りは無しで行く。ハナコとも共闘するし、魔法も出し惜しみはしない。ボス部屋では、鎧を着込んだスケルトンが盾と剣を構えていた。なかなか強そうだ。初段は水弾からお見舞いする。が、盾で弾かれる。牽制にもなっていない。投げナイフを手に持ってから気づく、骨に刺さる場所がない!?なるほど身がないというのは弱点も減るのか。であるならばと斧を叩き込む。盾を構えてきたので斧を受けるのかと思ったが、盾に当たった瞬間滑るように軌道を逸らされた。まずい!体勢が崩れて無防備な姿をスケルトンナイトに晒してしまっている。ズバンと片手剣が俺の腕を襲う。致命傷コース確実だ。半ば腹をくくったところで、ハナコが遅いかかりスケルトンナイトを吹っ飛ばした。剣の軌道は逸れたものの利き手の右手の骨が見える程の傷をもらってしまった。いってー。流石にやばいな。
「癒しの水」
左手で水魔法を使い治療にあたる。前世含めてこんな傷負ったのは初めてだ。俺の様子を察してか、ハナコが俺を庇うように前に立つ。ミミズから貰った『治癒速度増』もいい仕事をしてくれてるのか程なく血は止まり傷も塞がった。幸い斧を握るのに必要な組織は無事だったのか、あるいは魔法でそれすら治療されたのかわからないが、問題なく斧を掴むことができた。力を込めて振ってみたが大丈夫なようだ。なかなかに巧みな盾さばきを見せてくれるものだ。しかし褒めてばかりもいられない、倒す糸口を見つけなければ。
要はこいつを倒せば今日は終わりである。なりふり構わず行くことにした。消耗戦である。ロッキーを、手元に呼び寄せ戦利品を降ろす。コボルトの戦利品である棍棒を手に持ち使うスキルは、
「トマホーク!」
オートマのトマホークである、俺自身の腕ではまず無理だろうがオートマならある程度狙い通りに飛んで行く。棍棒トマホークとハナコの攻撃により徐々にスケルトンナイトの体勢は崩れていき、10本目で、盾を飛ばした。さらに投げ続けると、今度は剣を吹っ飛ばした。こうなればしめたものである。ハナコのとびかかりのあと、振りかぶったミッションスマッシュをぶちかます。スケルトンナイトの、頭を粉々にした。
やれやれ、辛勝だな。トマホークはデメリットも多いが、投げる武器がある限りリキャストタイムが短いのが役立った。4F・5Fともに勝ちはしたもののどちらもすっきりとしない戦いになってしまった。結局は俺の力不足でしかないのだが。ハイコボルトには斧だけで勝つ、スケルトンナイトにはトマホークなしで勝つを目標にしばらく特訓かなこりゃ。二階層攻略により疲れきっていた俺は、スケルトンナイトのドロップ品鉄の剣と盾、魔石を拾ってダンジョンを出た。




