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ダンジョン地下2F

 家に戻り、ハナコに首輪を付けてあげた。嫌がるかなと思ったが特に抵抗は無さそうだった。首輪を付けた後、ロッキーにまたがりハナコを連れてダンジョンに向かった。エレクスの迷宮地下2Fの攻略開始である。スライムにコウモリにワーム(ミミズ)が出るはずだ。1Fで1か月も粘ったし地力もかなりついていると思う。加えて新戦力のハナコの加入。余裕を持って攻略できる!!はず。


 ほぼ毎日通ってたので、ダンジョン受付のロドリゴさんともかなり親しくなった。地下1Fで1か月も戦い続ける奴なんてはじめてだと笑っていた。また魔物のハナコを見て一瞬ビクっとしていたけど、魔物使いという職業もいるらしく、魔物といっしょにダンジョンに潜る冒険者もいないわけではないらしい。ただ数は少ないらしいが。


 転送装置を使っていつものボススライム部屋の奥に向かう。そこに地下2Fに向かう階段がある。1Fも2Fも見た感じはほぼ同じようだ。情報通りの洞窟型である。荷物持ちのロッキーを後ろに引き連れ、ハナコが先頭に立ち警戒を行う。やはり狼の鼻は優秀なようで、俺の警戒スキルが反応する前に敵の匂いを感じ取りハナコが攻撃の顔になる。


「ワン!!」


 俺に警戒しろって教えてくれているようだ。2F最初の敵はスライムだった。ここはハナコに任せてみる。


「殺れ!!ハナコ!!」


 スライムに駆け寄り一瞬で核をかみ砕く。あぶなげない勝利だった。…と思ったらハナコの地面下がわずかに揺れる。続いて何かが飛び出してきた。ハナコは気づいていたようでスタッとかわす。視界外からいきなり襲ってくる、しかも地面下から。なかなかやっかいな敵だな。確か洞窟ワームだったか。斧を構えて戦ってみようと構える間もなく、攻撃をかわした後のハナコがワームにかぶりつき、地面から引き抜いた。そのままかみ砕いたようで、ワームがビクビクしながら地面に転がっている。出番ナッシング。洞窟ワームは地面から上が1mほど、地面下にも1mほどの大きさだった。さて、初めての敵なので解体も試してみたいが、さてさてどこが有用な素材なのやら。ワームの肉って食べれるんだろうか。帰りに1匹だけ持って帰るとして今はドロップ品にしとくか。少し待つとスライムの体と洞窟ワームの体が消えて魔石だけが残った。残念ドロップ品は無かったようだ。


 2Fは、地図も買ってあったので迷うことなく進んでいく。さっき戦った敵の他コウモリも襲ってきたが、どれもこれもハナコが一撃で仕留めていく。グレイウルフってこんなに強かったんだな。はじめは怖い魔物だったけど、最近は割合普通に倒せるようになっていたので侮っていたようだ。敵との戦闘時間は、かなり短めであったということもあり、労せず地下2Fのボス前にたどり着いた。もちろん地図があり一切迷ってないというのも大きな要員だが。2銀貨の価値は十分にあったように思えた。地下2Fも人気が無いのか道中誰とも出会わなかった。もちろんボス部屋の前にも誰もいない。さてさくっと挑んでみますか。


 地下2Fのボスは、迷宮ワーム。確か洞窟ワームの二倍ほどの大きさで土魔法を使うんだったかな。さすがに2倍の大きさともなると、かみついて引っこ抜くのも難しいだろう。今度こそ俺の斧の出番だ。ボス部屋に侵入してフロアの真ん中に進むと地面からワームが生えていた。不意を突く攻撃とかではなく堂々と待ち構えているとは、さすがボス!!余裕がある。さあはじめようかと斧を片手に近づこうとするとボスワームに魔力が集まっていく。やば土魔法か!?だが打たせる前に斧をふり抜けば!!


「『スマッシュ』!!」


 渾身の一撃をワームに見舞う。地面から生えていて高さ2m。なんていうか斧でぶっ叩いてくださいって感じのたたずまいだから、非常に狙いやすかった。1発でワームの頭部分が吹っ飛んでいった。


「ひょ?」


 あまりにあっけなく倒せたので間抜けな声が出た。ワームに集まった魔力も散っている。あるぇ~簡単過ぎない?実はボスは三匹いて襲ってきたり?・・・ないな。実に平和だ。そうこうしている間にボスワームが消えて魔石と鉱石が落ちていた。『観察』で確認すると鉄だった。ノーマルドロップの鉄鉱石だな。洞窟ミミズが落とした銅鉱石といっしょにロッキーに持たせる。フロアの奥を見回すと転送装置があったので登録した。う~ん、またしばらく通うかな?って考えてたけどこんなにあっさりじゃ通う意味もないか。とりあえず、『本』が100%になるまで2Fの敵を狩ることにする。ちらっと確認すると洞窟ワームと迷宮ワームは別物みたいで各々に%が表示されていた。フロアには誰もいないということもあって、俺は乱獲することにした。ボス倒す、雑魚狩りまくる。またボスを狩る。昼前に到着したダンジョン2Fを荒らしまわり、やっと全ての2F魔物が100%になったころには夜だった。倒した迷宮ワームを1匹ロッキーに巻き付けて帰ることにした。さすがに疲れた。。。


 ちなみに『本』による2Fの魔物の結果は、こんな感じだった。


<<洞窟ワーム スキル:『穴掘り』取得済み>><<迷宮ワーム スキル:『治癒速度増』取得>><<洞窟コウモリ スキル:『超音波』取得>>


 洞窟ワームの『穴掘り』、まさかのゴブリンとのかぶりとは。全部が全部固有ということでもないんだな。ちょっとショック。確かにワームは穴掘りっぽいけども。迷宮ワームの『治癒速度増』はすごい有用そう。めっちゃレアスキルっぽいんだけどもいいのか?って感じ。まあ増としか記載ないんで、どんだけ増えるのかわからないんだけども。傷おったらすぐに『癒しの水』で直してるからわかりにくいかもなあ。でもなんでワームから『治癒速度増』が覚えられるんだろう。ミミズって再生能力があったり治癒能力が高いとかあるんだろうか。ミミズの生態なぞ知らんしなあ。畑を良くしてくれるってのは知ってるけど。最後の洞窟コウモリの『超音波』だが、正直人間の体の構造で出せるものなのか・・・魔法がある世界だから深く考えちゃだめなのかもしれないが。早速取得してみる。『治癒速度増』はパッシブだったが、『超音波』はアクティブスキルだったので使ってみる。


「------!!」


 何かが口から出ている。それはわかる。多分音なんだろう。超音波なんだし。だが自分で聞こえない。特に何も起こらない。何に使うんだこれ!?超音波に弱い敵なんているのか?確かコウモリって音波の跳ね返りを拾って場所を特定する能力あったと思うけど、何も感じないぞ・・・結論 謎。


 随分あっさりと2Fの探索は終わってしまった。夜道をさっそうと走り抜けて家路についた。疲れ切っていたが、子ども達といっしょに持って帰った迷宮ワームを解体する。皮は思ったより頑丈でぶよぶよとしている。もともと土の中に潜る魔物だけあって土にも強いし兼ねてから考えてた車輪の補強に使えるかもしれない。さて肝心の食べる部分であるが、実は戦闘中に気付いていたがワームの主成分は水分のようだ。肉っていうとウナギみたいな感じで皮周りになるんだろうか。あまり食べれる部分は少なそうだが。腹を割いて中の石やら土やら糞?を綺麗に出してみたものの、全くおいしそうではない。匂いもきつめである。よし、ワームは食べない!!決定だ。皮だけ有効活用しよう。試しに荷馬車の車輪にワームの皮を巻き付けてみたが、なんか違う。改善されたとはとても思えない。・・・今度町で誰かに加工してもらおう。

 次の日、銅鉱石、鉄鉱石といったドロップ品などを持って冒険者ギルドに向かう。銅や鉄は、何にでも使えるので人気があるのだが、本気で稼ぐなら鉱山に行った方がいいらしく、2Fで狩りをするものはいないのだそうだ。鉱石類を全部売って10銀貨ほどになった。1日の稼ぎにしては悪くないんじゃなかろうか。もちろん乱獲できる状況でないと難しいけども。その銀貨でダンジョン地下3Fの情報を買った。


地下3F 地形は同じく洞窟型。罠は無し。


出現モンスター 


◇洞窟コウモリ かみつき攻撃 爪攻撃 飛んで攻撃してくる。高さのあるところでは武器が届かない場合もあるので遠隔武器を用意すること。 ドロップ品 吸血の牙


◇洞窟ワーム かみつき攻撃 石飛ばし いきなり地面から生えて襲ってくる。ドロップ品 銅鉱石


◇ゴブリン 武器で攻撃 爪攻撃 錆びた武器を所持している。ドロップ品 錆びた武器


ボスモンスター


◇ホブゴブリン 武器で攻撃 爪攻撃 錆びた武器を所持している。ゴブリンよりも体が大きく力も強い。ドロップ品 錆びた武器 稀に錆びていない武器


 3Fは、ゴブリンが登場か。ボスはホブゴブリンね。『本』の能力的にはボスだけ連戦でいいかな。まだ2階層分しか情報を買ってないけどワンフロア下がるごとに1種類敵が減って、新しい敵が増えるのかな。ボスはそのフロアに出てくる敵の強化版てっとこか。この調子で5Fまではさくっといきたいとこだな。


 情報を買った後ギルド職員が奥から、昨日渡したボススライムのドロップ品を持ってきた。昨日のおばさんじゃなくて若い人だ。

「昨日お預かりした物をお返ししますね。それとこのアイテムですが鑑定した結果、特別な成分を含んだスライムオイルでした。」

 え、結局スライムオイルなんだ。あんまし高くなさそう。

「スライムオイルですか・・・これ売るといくらになるんでしょうか?」

「はい1金貨になります。」

 !?金貨っていったか?まじで!?

「え、そんなにするんですか?」

「現状では、ということになります。ボススライムを狩る人が増えて供給量が増えてくると必然的に下がるとは思いますが、今はあまりいませんので。」

 なるほど。需要と供給、もっともな話か。

「ちなみに特別の成分とは?」

「ん~鑑定した方は、錬金術ギルドの方だったのですが、そこは秘密だと言われました。特別な成分が入っている事と買い取るなら1金貨だと伝えてくれとだけ。どうなさいますか?売られますか?」

「えと、ボススライムがこのアイテムを落とすって情報は、冒険者ギルドは、他の人にも流すんでしょうか?」

「そうですね。本来ならアル様に情報量をお支払いしどこで手に入れたか聞くぐらいの内容でしたが、先に伺ってしまいましたので、、、よければ情報料をアル様にお支払いし、冒険者ギルドはこの情報を逆に販売しようと思います。いかがでしょうか?」

 特に独占して金稼ぎにしたいわけでもないし、情報料くれるっていうなら冒険者ギルドに任せるか。今ある分は1金貨のうちに売っちゃおう。

「情報料をもらって、今持ってる2本も売ります。」

 結局2本で2金貨、情報料で50銀貨もらった。冒険者ギルドはこの情報をいくらで売るんだろうなあ。まあ後はすきにしてくれい。

 思わぬ収入に気分を良くしつつ、ダンジョン地下3Fに向かうべく町を離れたのだった。

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