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パーティに入りたい

 生活の基盤や安全も確保できたため、お金を稼ぐ目的と色々見て回りたいという二つの目的のため町へ通う準備をした。初日は、数か月の間にため込んだ魔物素材を売り、生活品を買い込むという恒例のお使いに出向く。蜂とゴブリンの数が多かったこともあり、まずまずの金額に。そのお金を使って、いつもの食材と豆類の種を買った。店主に豆は土をよくするのよと教わったので。あーそういえばそんな話を聞いたことがあるような、、、前世は農家の息子だったが、全く家の手伝いをしてこなかったのが丸わかりである。ちなみに豆は大豆を選んだ。そのうち偶然に味噌と醤油ができないかという淡い祈りを込めて。店主にビオトープ用に水耕栽培に向く野菜は無いか?と聞いたら水耕栽培とは何?と聞き返された。仕方ないどこかの川で水草でも集めてこよう。残念ながらザリガニも探してみたがいないようだった。


 食べ物は結構な量を買ったのでしばらくはお使いに来なくても大丈夫であろう。あと、余ったお金で本を3冊と農具も買った。本は「裁縫入門」「武術入門」「大工入門」である。とても子どもに与える本ではないが、この世界あまり本の種類もないんだよね。。。絵本とかも見たことない。絵心があれば俺が書いてあげるんだけどな。話は、前世の昔話で覚えてるやつを選んで。って、細部までしっかり覚えてる話なんてほとんどないや。ダイジェストならいけそうだけど。家に帰ると本を見つけた子ども達が喜んでくれた。裁縫本は女の子達が、武器本はロイが読める部分を必死に読んでいた。大工入門は誰も手にしなかった(泣)。頑張って俺が読もう。ケビンは新しい農具を触ってニヤニヤにしていた。どうもケビンは農業が好きなようだ。大した4歳児である。前世の俺に彼の爪の垢を煎じて飲ましてやりたいところだ。


 次の日早朝、武器防具、革袋、ロープなど冒険セットを持って冒険者ギルドに向かう。素材を売る目的以外で冒険者ギルドに来たのは久しぶりだ。今日の目的はダンジョンに行ってみること。ただしギルド長がダンジョンに初めて挑む時はできるだけパーティ組めって言ってたので、どこかのパーティに入れてもらえれば助かるのだが。まずは、パーティメンバー募集ボードを見てみる。


○「ポーター レベル5以上」


○「盾役のできる戦士ジョブ レベル15以上」


○「魔法職 攻撃魔法か補助魔法が使える者」


○「エレクスの迷宮 5F以上到達者」


 んー今は、俺が入れそうなパーティは募集でてないな。誰が募集しているかの情報もでているけど、知らない人ばかりでよく分からんし。というか「教師」ってジョブは何職になるんだ?戦士系でも魔法系でも前衛でも後衛でも無いな。そもそも戦闘に参加するジョブではないのかもしれない。パーティ入るのに苦労しそうだな・・・一応職員さんに情報聞いてみるか。


「すいません、どこかのパーティに入れてもらうっていうのは、あそこの募集ボード以外にも方法はあるんでしょうか?」


「メンバー募集ボード以外は、直接声をかけるくらいでしょうか。」


 まあそうだよなあ。


「募集ボードは、どのように使うんでしょうか?」


「募集に応募する場合は、どの募集に応募したいか職員にお伝えください。ギルドカードをお預かりし、本人確認ができましたら、募集されている方に後ほどお伝えします。その後お互いに会う時間を決めていただきまして面談していただき、問題がなければパーティに入るといった形ですね。だいたい3日くらいかかるのが普通です。募集したい場合も職員にお声掛けください。手数料込みで20銅貨で募集できます。」


 ゲームと違ってサーバーでマッチングとか無いし、パーティ組むって事は戦闘で命を預けることもあるから、会って人となりとかスキルとか確認もするよな。面接といっしょか。ま、募集にのっかれそうにないから、こっちから募集してみるか。20銅貨を職員さんに渡しつつ


「パーティメンバー募集お願いします。」


 募集用紙には、俺の名前、職業、レベルなどを書いて募集を出した。


○「ダンジョン探索メンバー募集 日帰り可の方」


 何人か集まればいいのだが。。。


 残念ながら、今日はパーティを組めそうにないので、夕方まで町の外でうろうろしながら魔物を狩ることにした。平原狼の達成率が100に近かったので上げれればいいかなあと。案の定というかやっぱりというか狙うと狼は顔を見せてくれない。結局1日うろうろして狩ったのは、スライム2匹である。しかも諦めて帰ろうとしたら見かけた。ぐぬぬぬぬ。スライムの達成率は2匹で20%。割合早く貯めれそうだ。しかし1日の成果がスライム2匹とは・・・とほほ。


 次の日、ギルドで募集が来てないか確認したが、誰も応募は無かった。スライムの素材は、瓶でもあればスライムの体が少しはお金になるのだが、魔石2体分だけだと「まんぷく亭」のアルバイトの方が金額は上だった。昨日は運が悪かっただけだ、俺はやればできる子だ!!の信念で2日目も町の外でうろうろ探したが、結局スライム1匹に終わる。何故だ!?会いたくない時あんなに襲ってきたのに!!


 3日目・・・応募者無。町の外 スライム3匹


 4日目・・・応募者無。あきらめて「まんぷく亭」でアルバイトに変更。持って帰ったお弁当は子ども達が大いに喜んだ。アルバイト料は1日で75銅貨になっていた。


 5日目・・・応募者無。まんぷく亭。お客さんに愛想がいいねと褒められる。


 6日目・・・応募者無。まんぷく亭。女将さんにホール一人でもいけるんじゃない?と褒められる。


 7日目・・・応募者無。まんぷく亭。旦那さんからなんとパスタの乾麺が売っているとの情報を得る。マジか?見逃してた。



・・・応募こねーよ。一人ぐらい来いよ!!


 ギルド職員さんに話を聞くと、どうやら「教師」ジョブと組んだ事がないので敬遠されてるみたい。俺のレベルが低いのも影響していると。ふふwギルド長は一人は辞めとけって言ってたけど、ロッキーがいれば一人ではあるまい。厳密にはパーティでもないが。諦めて募集は取り下げた。いいぜ、やってやる。一人と一匹でダンジョンに挑んでやるよ。


 意気揚々と「エレクスの迷宮」まで向かう。だいたいロッキーの足で20分ほど走ったところだ。迷宮の入り口周りは、簡易宿や売店があり、商人もバザーのようなものを広げている。ダンジョンに挑む人も結構いるみたいで、早い時間にかかわらず30人はいるみたいだ。入り口には職員らしき人がいて入る前に必ずギルドカードを掲示しているようだ。あれ?お金も払ってるな。入るのに金いるのかよ!?観光地みたいだな・・・ほとんどの人は、何かの装置の前に立ちしばらくすると一瞬で消えていった。ギルド長が言っていた転送装置か?看板に使い方書いてるな。『受付後、ギルドカードを掲げ、装置に階層番号を入力。入力後10秒で転送開始。ただし、転送するには、転送階層のボスを倒し階層装置に登録が必要。」


 なるほど便利そうだ。にしても装置だとか入力だとかえらく文明的だ。


 しばらく並んでいると、俺の順番がやってきた。


「ギルドカード出して。一人30銅貨ね。君一人?パーティ組んでないの?」


「はい。一人です。パーティメンバーはこのロバです。」


「ヒーハー!!」


「・・・そ、そう。がんばって」


   プクク


   ギャハハハ


   ロバだってよ。


   あいつだろ?教師ジョブで募集だしてたやつ。


   若そうだけど、何考えて教師でダンジョン来てるんだ?


   知らねーよ。まあ関わらないこったな。


   だな。にしてもかわいそう(笑)


 後ろに並んでいる人から笑い声や中傷が聞こえる。ロバだって立派な仲間だし、教師の何が悪いんだ!?文句あるならかかってこいや!!と心の中だけで目いっぱい怒りとばして、ロッキーと共にダンジョンの中へと進んでいく。あいつらいい鎧着てたな。絶対いつか見返してやる。札束のお風呂に入って、成功したんです俺って雑誌の裏ページかざってやる。あ、この世界に札束も雑誌もないな。うん。まあいい、前世で昔の人が言ってたしな。「よそはよそ。うちはうち。」ってね。なんか使い方がおかしい気がするのは気のせいだろう。きっとそうだろう。


 ダンジョン地下1Fに入った。1Fは洞窟そのままだった。中はほのかに光っていて、松明とか無しでも歩けそうだ。何が光っているんだろうか?ほとんどの人が転送装置を使っていたので地下1Fは静かなものだった。20Mほど進んで確認のために『本』を開くとダンジョンのマップが自動記入されていた。よしよし迷うことはなさそうだ。


 さあここから俺のダンジョン探索がはじまるぜ!!


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