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森とじいさん

なにやら物音がしたので目を覚ました、


おそらくだけど、箱の外では何人か死んでいるはず。ということは死体をあさりにきた野犬なんかが来たのかもしれない。やばいなあ。。。とガクガクブルブルしながら息をひそめていると声がした。


「また盗賊か。。。死体ぐらいかたしていかんか、まったく、アンデットになったらどうするんじゃ」



  野犬でも盗賊でもないっぽい。この人(声からしておっさんかじいさん)に助けてもらわないと確実に俺は死ぬ!!



「たーーーあああーーーーああああ!!」


めいっぱい泣き叫んだ。



「ぬお なんじゃ!?赤子の声!?」


おっさんはややびっくりしつつも俺の入っている箱に気付き出してくれた。顔を見てみると結構な年(だと思う)のじいさんだった。なんかハイジにでてくるじいさんみたいな。。。


「ふむ、1歳から2歳の間くらいか。よく生きてたな。抱き上げたら泣くのやめたし割とかしこいのかの。じゃがどうするかの・・・捨てていくのは後味悪いし。かといってこんな子ども育てるといっても・・・」


 まずい、じいさんl!捨てていかないで。助けてん!!何かアピールでもしたほうがいいのか!?どう しよう!?そうだ。俺にできる唯一のこと、水の魔法だ!!


俺は、自分の頭の上に20cmほどの水玉を作りだした。


「うお!!いきなり水がでてきた。まさかこの子か!?


「あい」


「ん?今返事したのか??」


「あい」


「ふうむ。本当にかしこそうじゃな。水汲みのかわりくらいにはなるかの・・・連れて帰ってやるか」


「あいあい」


「お前 名前は?」


「あぅ」


「あう?変わった名前じゃな。あうか」


「んん、ある」


「ん?アルか。そうかアルじゃな。わしはカールじゃ。」


「あい」


 やったよ。やってみるもんだ。ありがとうカールじいさん!!転生1年ちょいで死ぬとこだったよ(*´Д`)なんか歯にはさまりそうなスナック菓子みたいな名前だけどいい人だな!!



 じいさんは俺を木陰におき、死体から使えそうなものをはいだり死体を埋めたりしていた。死体あさりか何かで生計たててるんだろうか・・・やばいじいさんに拾われたのかなと邪推していると。はぎとったものといっしょに俺を背負子に入れて森の中へと歩きだした。正直死体からはいだものといっしょに俺をいれるんじゃねえと思ったが。捨てられても嫌なので黙ってた。



どうやら襲われたのは、森の近くらしく、 じいさんは2時間ほど森の奥へと歩いていった。背負子の中で、死体からはいだ布の汗臭さと血の匂いとゆれで俺は別の意味で死にかけてた。


 臭い・・・気持ち悪い・・・ヴぉえおお・・・


もだえまくっていたら そのうち歩みがとまり、何やらぼろい山小屋ぽいところに入れられた。


正直死にかけてたのではっきりとは見ていない。そのまま寝た。



「起きろ」


じいさんの声で起こされた。寝たことで気持ち悪さは何とか消えたようだ。


「ん・・・」


「赤子でも仕事はしてもらうぞ。ほれ、この桶に水をためろ」



 ふっ 世知辛い異世界だぜ。赤子にも労働を課すとは。


とか考えつつも捨てられたらかなわんので、魔法で桶に水を満たしていく。


「おーすごいもんじゃ。その年で言葉を理解し、魔法もしっかり使えとる。お主盗賊に襲われとらんだら大魔法使いにでもなっとんたんじゃないか、かっかっか」


  いえ じいさん。。。盗賊に襲われてなかったら奴隷でした。。。


「まだいけそうじゃの、あと3つ桶みたしとけ。そしたら飯じゃ。これくらいの赤子が何食えるのかわからんが、オートミールと柔らかい果物なら食えるじゃろ」


 おー飯が食える。もしかしたら実家より飯豪華かもしれん。果物なんてなかったしな。それにしても桶3つに水を満たしてもまだMPに余裕があるな。魔法力?のことを俺は自分にわかりやすく、mpってよんでる。魔法を使っていると減っていき、多用しすぎると疲れてへたってしまう。限界を超えると気を失ってしまう。経験済みだ!!MPをなくなるまで使い続けたほうが最大MPがあがりやすくなる法則も実験してみたが、さほどかわらなかったようにおもう。結局は使い続けていくことが重要っぽい。成長がいつまで続くかはわからんけど。



そんなこんなでじいさんとの生活が始まった。歩けるようになるまでは俺は水生産マシーンであり、歩けるようになってからは、小屋の本当に近くにだけ歩いて薪になりそうな木切れを拾うのが仕事だった。


じいさんは、死体あさりが仕事ではなくマタギというか狩人で生計を立てているようだ。山でとった山菜や薬草、毛皮なんかを町まで持っていき、麦や塩や生活用品と交換して生活しているんだと。俺を見つけたのは、たまたま特殊な薬草を町の人間に頼まれておりそれを運んだ帰りらしい。爺さんが近く寄らなければまず死んでたな。感謝感謝。


「ほれ、これが薬草じゃ。傷の治りが早くなる。塗っても飲んでもいいぞ」


「やっとまともにしゃべれるようになったと思ったら、しっかりしすぎではないか!?大人みたいなしゃべりかたをするのう」


「この森では獣と魔物がでるでな。一人では出歩くんじゃねえぞ」


「このキノコ、スープにいれるとうまいんじゃ。」


「ほれ、ウサギを狩ってきた。毛皮と肉にわけるから、お前もおぼえるんじゃぞ」


「違う違う、ナイフはもっとこうつかうんじゃ」


「砥石はこうやってつかうんじゃ。ここを持ってな。そうそう。お前は砥ぐ方がうまいの。」


「弓はだめじゃな。さすがに小さすぎてひけんわい。わしのをみるだけにしとけ。」


「熱があるな。よしまっちょれ、町で薬と卵でもかってくるわい。」


「ん…今度はわしにうつっちまったか。お前がおってくれて助かるわい。」


主に水生産と薪拾いが俺の主な仕事ではあったが、森で生きていく色々な知識を爺さんから教わった。森の山菜・薬草・キノコの種類や採取方法、森の素材を使った道具の作り方など。危なくない範囲でナイフなども貸し与えられ色々やらされた。獣や魔物にかんしては、剥ぎ取りや解体はやらされたが、戦うのは危ないから見るだけだった。

5歳になる頃には、たくましい5歳児に育っていた。野生児になっていた。

この5年でじいさんとは本当の家族になれたような気がした。

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