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氷魔法とパスタ料理

次の日早朝から『氷作成』の実験に入った。子ども達は寝ている。両手を前に出し


「『氷作成』!!」


 と叫びつつ魔力を込め続ける。しかし遅い。非常に遅い。なんだこれ?両手も疲れて降ろしてしまった。

結局2リットルのペットボトルほどの氷ができるまでに30分ほどかかった。しかも魔力もごっそり持ってかれた。効率が悪すぎる・・・続いて『洗浄』で留めた水に向かって試してみる。はじめ触れずに魔力を込めたが反応しなかった。そういうものなのかレベルが足りないのか。次に『洗浄』の玉に触れつつやってみるとピキピキと簡単に凍ってくれた。なるほど水に触れた状態で行えば効率は良いみたいだ。試しに木の棒に『水操作』で這わせた水に対して『氷作成』を使ってみた。イメージは氷の槍である。一応成功はしたのだが木の棒を握っている部分が手ごと氷につつまれた。手から離れない。。。使い勝手わるぅ~。うむ今のところ戦闘では使いにくそうだ。


 実験を終えた後、起きてきた子ども達に指示を出す。


「今日の予定は、朝ごはんを食べた後動物の世話。それが終わったら昨日倒したグレイウルフの解体をみんなで行うこと。お昼ごはんの後は勉強ね。」


「はーい。」


 朝ごはんは、目玉焼きとオートミール。目玉焼きからはコショウの味がしていた。朝ごはんは子ども達にまかせたが、昨日買ったコショウを早速使ったようだ。塩だけでも旨いが、コショウがあると尚うまいね。


 子ども達が、動物の世話をしている間に、仮で苗木を植えておく。現在30m四方を柵で囲っているが、果樹も植えるとなると少々せまい。ゆくゆくは畑と果樹園を広げるために100m四方に広げる予定である。魔物が出なければ柵や堀を作らなくてもいいのだが、こればかりは時間がかかっても仕方がない。安全第一である。俺にとっても子ども達にとっても。


 植え終わった後、昼まで時間があったので冷蔵庫作りに取り掛かる。『氷作成』を手に入れたのは、食料を長持ちさせるためでもあるからだ。綿密なプランは無い。箱を作って氷を入れる。いたってシンプル。冷蔵庫というか冷蔵箱だろうか。俺の記憶が確かなら電気冷蔵庫が無いころは氷で冷やしていたはずだ。構造はまったく知らないけど…大きめの木箱を作って、溶けた水が流れる排水溝を作る。水受けを作れば完成だ。


「うん。非常に陳腐。」


 2金貨払った意味を問いたい。いや、魔法をうまく使いこなせない俺の知力が足りないのであろう。進化版はまた今度である。俺の知識チートはいつ発動するのか…とりあえず箱に氷詰めたあと、冷やすものが無かったので、水袋に水を入れて冷やす事にした。キンキンに冷えた水。ふwカップに氷を入れればいいだろうとはあえて言わない。。。よし後で獲物狩ってこよ。肉の保存に使ってこそだよね・・・


 冷蔵箱が完成したので子どもたちの進捗具合を見に行く。さすがにロイがついているだけあって解体も問題なさそうだ。まあ3匹中1匹しか終わってなかったので残りは俺も手伝った。肉が傷むとだめだしね。あ。肉あるじゃん。すっかり忘れてた。解体した肉を冷蔵箱に入れておいた。


 お昼は皆でパスタを作った。麦粉・卵・塩をまぜてこねる。水けが足りないと思ったら水を少し足してみる。ある程度こねくり回した後、綿棒で伸ばす。気づけば全員打ち粉で顔が真っ白だ。パスタは初体験だが、うどんを作っているのはテレビで見たことがある。似たようなものだろうたぶん。包丁で切って後はゆでるだけだ。ぶかっこうだが、麺ぽいのができた!!後は味つけだけど、俺の好きなペペロンチーノにしよう。子どもうけ?知らん。無性にペペロンチーノが食いたいのだ。町で購入してきた材料もペペロンチーノを作る材料だしな。ヘヘ前世以来のペペロンチーノだぜ。


 ニンニクをスライスし、唐辛子の種をとって刻む。フライパンにニンニクと植物油を入れて弱火にかける。その間に麺をゆでる。生麺なので湯で加減は短めだろうか。ゆで汁を加えて・・・乳化させた後麺とからめる。塩とコショウで味をととのえて完成である。


「できた!!見た目はペペロンチーノだ!!」


 懐かしい。他の具はない、シンプルなペペロンチーノだ。ニンニクの匂いがたまらない。


「さあ、みんなくうぞおおお」


「おいしそうなにおい~」


 うむうむ、そうだろう。にんにくの匂いが駄目な子どもがいなくて良かった。一口目を口に入れる。


「!!」


「せんせいどうしたの?おどろいた顔して」


「ペペロンチーノだ!!これはペペロンチーノだ!!やほほーーーい!!」


「先生がおかしくなった・・・」


 無我夢中で口に入れた。具も無いシンプルペペチを。まるで日本に帰ったような気分だ。涙がでる。


「またせんせー泣いてる。変なの~」


 いいんだ。うまいのも確かだが今の涙はどちらかというと郷愁の涙である・・・言うほどペペロンチーノ食ってたわけではないけど(台無し)。トマトを作ることができたならトマトソースも作れるな。夢が広がりんぐ、バジルもほしいなあ。いかんいかん遠い国に行っていた。


 お昼寝をした後、皆で数字のお勉強である。上の3人は千まで覚えた。下の2人は百まで言えるようになった。明日は足し算を教えよう。勉強の後は、自由時間にした。俺はこの時間からロッキーとニコを連れて開拓作業である。子どもたちの肉付きがよくなったら手伝ってもらおう。まだまだ痩せすぎて肉体労働をさせるのは怖いからね。木を切り倒し、切り株を掘り起こす。『水操作』を用いた『洗浄』は依然よりもかなり早く切り株を掘り起こす。俺のパワーも上がったしマンパワーも増えた。いやロバパワーと牛パワーか。ニコは手で道具を持てるわけではないが、ロッキーと同じようにロープを使っての荷運びに大活躍である。草も二匹のお腹に消えていく。伐採作業は思いのほか早く終わるかもしれない。夕方になり家に戻る。ふぅ。今日もいい働きをした。思い起こしてみると、伐採したり道作ったりこんなことばっかやってるな。冒険者してない(笑)まあ地盤が大事なのだ。きっとそうだ。


 晩御飯はグレイウルフの肉を焼いて食べた。冷蔵箱から出した肉は冷蔵庫から出したのと変わらない冷え具合だった。人力で氷を足さないといけないけど目的は達した模様。良かった良かった。


 あと キンキンに冷えた水は非常にうまかった。俺の持論、飲み物のおいしさは温度!!

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