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中古防具を買う

残金60銀貨 



 いかなる時も一文無しでは、心に余裕が無くなる。10銀貨は置いておく。



 食材で普段は20銀貨ほど購入している。森の恵みは豊富だし、畑も作っているし家畜もある。だが、今回は塩の備蓄がマジで無い。プラス10銀貨余分に買うつもりだ。あと皮なめし用の植物性薬液も切れかけてる。プラス10銀貨くらいだったはず。で残り10銀貨。



 …防具の相場はわからない。だが10銀貨でいいものが買えるのだろうか?いや無理だろう。。。グレイウルフの革売るだけで3銀貨だし、、、加工代やら何やら入れたら跳ね上がるよね。胸当てと頭防具だけでも買えればいいんだが。



 前に見かけていた大通りの防具屋に着いた。店の商品を眺めて見る。鉄製のかっこいい鎧だ。ー2金貨ーぐっは。やっぱするよねえ~革はどうなんだ革は!?グレイウルフのレザーアーマー30銀貨!?素材3銀貨で買い取りなのに10倍もするのかよ!?コンコン、叩くと固いな。さすがにプロが処理すると違うんだな。違う違うそうじゃない。結局かえねーよ。店内うろうろしながらブツブツ言ってると店のおじさんが


「お客様、どういったものを、どのようなご予算でお考えで?」


 ヘヘ 聞かれちまったよ。


「えー、10銀貨で胸当てか革鎧?それと頭防具が買えないかな~と。。。やっぱり無理っぽいですか?」


「うちでは、その金額では難しいですね。ただ、中古の鎧を扱っている店もあるので、そちらへ行ってみては?ここから二つほど裏通りの、「ガダフ武具店」ってお店ですよ。」


 親切なおじさんである。金がたまったらまた来るぜ!!接客はあーでなくちゃいかんね。



 言われた道へ向かう。なにやら大通りと違って騒がしいというか雑多な通りというか。割とすぐに見つけた。看板は大層年期が入っている。店の外には剣やら槍やらが傘立てのような感じで樽につっこまれている。


「こんにちわ~」


 恐る恐るドアを開けて中に侵入してみた。


「おう、いらっしゃい。通りの防具屋で高くて買えなくてこっちきたな?」


 髭面、背は低く筋肉質。多分ドワーフであろうおっさんである。心を読むスキルなのか?俺が怪訝そうな顔をすると


「はっはっは、始めてこの店にくるやつぁ、みんなそうじゃからな。」


 なるほど。そういうことか。ならまあ話は早いな。


「胸当てかヨロイと、頭防具を探しています。予算は10銀貨です。」


「ふむ。まっちょれ。」


 そういうとドワーフのおっさんが革鎧らしきものと革帽子らしいものを出してきた。


「中古だが、補修はしてある。補修用の蝋も付けて10銀貨でいいわい。ちなみに皮はどっちもマッドシープじゃ。まともに剣なぞくらえばもたんが、多少は防ぐじゃろうて。買うならサイズ調整してやる。」


 中古で革製は若干臭そうだが、贅沢は言ってられないな。


「買います!サイズ調整お願いします。」


 調整してもらいながら、間近で革鎧を見てみたが、中古だけあって細かい傷が多数あった。しかし、触ってみると表通りの防具屋にあった狼の革鎧と硬さはさほど変わらない気がする。


「補修の仕方も教えといてやる。」


 アフターサービスも中々のようだ。ドワーフのおっさんも気のいい人っぽいし。


「坊主、その手斧見してみな」


 ん?なんだろ。特に懸念もないので、渡してみる。


「使いこんではいるが、丁寧な手入れをしているな。これ自分でやってるのか?」


 お、褒められた。爺さん直伝だしな。


「はい。自分でやってます。」


「たいしたもんだ。だがな、その格好だと今まで防具をまともに着けてこなかったろう?武器と同じで防具を疎かにしたら、いざっていう時命を持ってかれるぞ。」


 あ、褒められる流れじゃなかったのね。


「おっしゃる通りですね。。。今まで防具は後回しにしていました。まあ何とかなるだろうと。もっと留意します。」


「ガハハ。若いのに殊勝なやつじゃ。気に入ったわい。坊主名前は?」


「アルフレットといいます。」


「アルか。儂はガダフ。何かあったら頼るとええ。儂も生活があるので金は貰うが、助けにはなろう。鍛冶魔法も使えるでな。」


 やっぱアルに短縮されるのね。にしても鍛冶魔法か。どんな事ができるんだろ。


「鍛冶魔法っていうのは、どんな魔法何ですか?」


「ん。あまり人間族で使えるやつはいない魔法じゃな。儂らドワーフ族は二人に一人は使えるが。インゴットを作ったり、武具を作ったり、剣の刃先欠けを魔力で直したり、金属製の武器や防具を元の素材にもどたしたりできる。但し、魔力を流すのに特殊な道具がいるがな。まあ、炉や火が無くとも鍛治ができるというのが、わかりやすいかの」


 ほー便利な魔法。


「では。外の入れ物に入ってた武器は、後で素材に?」


「そうじゃ。壊れた武器なんぞも買い取っておるからな。」


「俺が買ったのは、革防具でしたが、革も魔法で?」


「いや手で直した。武器防具を扱っとる店をやっとるので一通りはできるが、本職は鍛冶師じゃ。皮を扱うなら革職人の方が腕は上じゃろうな。ある程度の素材はさわれる。変わった素材でも見つけたら持って来い。」


「わかりました。またお世話になります。」


 何とか予算内で防具を買うことができた。それにしても魔法って火土水風とかだけじゃないんだなあ。他にも色々ありそうだ。



 防具を買い、最後にジェフさんの雑貨店で食料と備品を買いこんだ。体が大きくなったので服も少し買っといた。(今はじいさんの服を着ている。)森に帰る前には日が沈みそうだったが、ヤギ達も連れて帰ることにした。明後日は朝からギルドに集合なので、明日もう一度町へきて宿屋あたりで泊まろうと思う。森の途中で真っ暗になったので、ロッキーの頭に長めのたいまつを指して帰ったため、終始不機嫌だった。


「ブヒブルヒヒン(怒)」


「怒るなよロッキー。仕方ないじゃないか。襲われた時にたいまつで手がふさがってたら危ないだろ?」


「ヒヒヒン(怒)」



 帰りは、一度だけ襲われた。グレイウルフである。「警戒スキル」で近づいてきたのがわかったので、真正面からの対峙である。手斧を片手にグレイウルフに駆け寄りながら水魔法で先制する。


「ウォーターボール!!」


 ドッチボールほどの水球がグレイウルフに襲い掛かる。いきなり現れた水球に一瞬ぎょっとするも右側にはね飛びかわそうとする。多少誘導気味に水球を放っていたため予想通りである。半ばふりまわしはじめていた斧が狼の首を吹き飛ばした。


「ふぅ。」


 現状だと、投擲と用途はかわらないなあ。鍛えていくしかないね。



 家に戻り荷物をしまい、動物たちの世話をし、ロッキーのご機嫌をとってから寝た。余談だが、革装備は若干匂ったので『洗浄』と『水操作』で念入りに洗った後、水分をとばし、念入りにワックスがけしといた。

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