表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/68

本の加護の真実?



 雑貨屋に戻ると査定は済んでおり、全部で20銀貨になっていた。


「で、アル ジョブは何にしたんだ?」


「教師です。」


「え?」


「教師です。」


 沈黙が流れた。前世で『教師』って言ったら「えらいんですね」って感じなはずだったが、この世界での不遇っぷりときたらまあ(笑)


「い、いや悪いってこともないんだが、その年で教師はあまり聞かねえからよ…何か 教えたいこととか教えたい人でもいたのか?10歳で教えるって言っても難しそうだけどよ。」


「どっちもないですね。」


「じゃあ またなんで?」


「なりたかったからです!!」


  自信を持って言うとジェフさんは「お、おう そうか。まあ 人生色々だわな。」って言ってた。


「で、いつもの麦・塩・油でいいのか?他に何かいるか?」


「本ってありますか?何も書いてないまっさらの。自分用の本を作りたくて」


「あるぜ。1冊3銀貨だ」


「う、何も書いて無い本なのに薬草辞典と同じなんですか?」


「薬草辞典は中古品で、こっちは新品だからな。あと、需要もあんまりないから高くなる。」


「そうですか、、、仕方ないです。1冊とインクと筆もいっしょに下さい。」


「まいどあり、食材は外のロバに持たせたらいいか?」


「はい。お願いします。いつもぐらい載せてください。あと、釘もたくさんお願します。」


 森で加工をする時に釘もあった方がいいと思っていた。雑多な物を注文しロッキーに荷物を積み込むとお金はほとんど残らなかった。森の恵みだけでも生きていけなくはないが豊かな生活を行うためにお金をがんばって稼いでいこうと思う。



 ジョブも取った、必要なものも買った。お金はあまり残らなかったので戦闘ギルドはまた今度である。俺は、森に帰ることにした。平地は行きと同じで特に問題もな無かった。グレイウルフでは無くもう少し弱めの平原狼、ゴブリン、スライムなどがでるらしいが見たことはない。唯一襲われたのが赤子の時の盗賊だ。怖い話である。


 えっちらおっちらと歩きながら、せっかく本を買ったので遊んで見ることにした。本といえば魔導書。手に持って魔力を流したら本の加護が活動して大魔法がドカーンと発動するんじゃないかと淡い期待を持ったのだ。本を持ち生活魔法と同じように念じながら魔力を込めてみる。念じるのは火の嵐


「ファイヤーストーム!!」


 町はずれで誰もいないからできることである。誰かに見られたら恥ずかしくてたまらない。だって、うんともすんとも言わないんだもの。。。


「はぁー。やっぱ何も起こらない。加護って本当どんな効果あるんだよ…」


 独り言をいいながら、パラパラと本の中身を見てみる。


「ん。んんんんんん!!??」


 買った時は白紙だったはずの中身に何か書いてある。


「うそん?」


 びっくりしつつもじっくり見てみた。1ページ目に俺の名前とイラストが書いてある。あとスキルなんかも。しかも書いてあるのは『日本語』である。何ページか後に何故かロッキーのページもあった


≪名前=ロッキー 種族=ロバ レベル=3 スキル=『格闘 1』『剛力 3』『言語理解 1』『運搬 2』 技=『踏みつぶし 1』≫


 ロッキーは俺よりレベルが高いようだ。まあさっきジョブもらって1になったとこだしな。後は最後のほうにマップぽいのがある。町と平地と森しかない。あとは見えない感じだ。うん まとめよう。


1.本には俺とパーティメンバーの基本情報が表示される。やったね!!神殿でお金払わなくても確認できるよ!!


2.マップの自動生成。本を持って移動したことのある所だけ。現時点で森の家付近は見えない。


3.表記は日本語。久しぶりに見た。懐かしい。。。


4.俺の名前の表記は2個。アルフレット と 前世の名前(漢字)。あー俺ってアルフレットが正式な名前だったのね。今知ったわ。



…なんていうか日本語表記や前世の名前がある時点で何となく察した。



「これが『本の加護』なんじゃないか・・・」


 うっすら大魔法でも使えるんじゃないかとか、本が輝いてどんな攻撃でも防ぐとか、あらゆる知識が授けられるとか色々と『本の加護』なるものに妄想を膨らませていたのだが、現実はなかなかにシビアである。自動書記の便利帳だな!!やったね!!インク買ったけどいらないよ。色々経済的だよ(*^-^*)


 ふぅ やってみるもんだな。ファイアーストーム。早い段階で現実を知ることができたぜ。ふふ


「よし、俺は地道に行くぞ。なあ ロッキー。」


「ヒフン」


 ロッキーもなんだが悲しげだ。ロッキーにはたった今言語理解なる崇高なスキルがあることがわかった。やっぱり言葉を理解してたんだな。スキルレベル1が動物にとってどんなものかはわからないけど。


まあ 本で色々わかるってことだけでもプラスになることはあっても、マイナスにはならない。これはこれで活用していこうと思う。


 若干気落ちしつつも気を取り直し森へと入った。森に入って30分もすると行きと同じくビッグラットが襲ってくる。行きより重い荷物を持ったロッキーは戦いづらいので今回は俺の出番だ。敵は2匹。運よく弓で1匹を仕留めた。2匹目は矢をかわし近づいてきたところをナイフ投擲。4本投げたところでしとめることができた。斧では素早い動きをするビッグラットを攻撃するにはまだまだ俺は力不足である。行きと同じく魔石だけを抜き取り足早に去る。拠点にすぐに逃げれる場所でないとまだまだ狩りは怖いのである。そこそこ運も良かったのか、残りの道は襲われることもなく無事森の家に帰ることができた。


 やはり我が家は落ち着く。今となっては俺一人は少し広い我が家であるが、堀も完備し安全性もそこそこ高い。森でレベルとスキルをあげつつお金を稼ぐこと。目標額は、癒しの水と水球を買えるまで。それと町までの道中をもう少し楽に行き来できるようにすること。道をすこしづつ整えて可能であればロッキーに引かせるリヤカーを作ってみたい。リヤカーはいい素材が手に入ってからにするとして森の整備はやっていこう。


 地味な作業が多いなあ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ