表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/68

本は鈍器

 小さいころから教えるのが上手だねって言われてきた。「将来は教師かな?」なんて言われるものだからいつの間にやら教師を目指すようになった。ただ教えるのは上手だと言われても地頭がいいわけでもなくて、大学4年の時、教育採用試験に勉強なしで挑んだら惨敗だった。


さて臨時教員に応募しようかどうしようかと迷ってるときに知り合いから「働かないか?」って飲食店の店員に誘われた。教員採用試験の惨敗具合がひどかったため、勉強をやり直すのもめんどくさくなっていたこともあって、なんとなく誘いにのってみた。不器用だったので現場作業では花開かなかったが、パソコンを与えられるとみるみるうちに評価されだした。田舎の飲食店でまともにパソコンや事務をやれる人が少なかったのだ。また、後輩への教育や現場の指導も評価されつつ、事務作業の大本もまかされ、決算書を作るポジションにまでなっていた。気が付けば支配人になっており、役員を除けば俺が一番上になっていた。なかなかサービス業は人手が集まらず、ヘルプと称して色んな事を経験した。ただ調理場だけは不器用だったのであまり役に立てなかった。まあレジ業務やウェイターはまあまあやれたと思う。

 

 気が付けば10年を超える年月を飲食店で過ごしていた。親からは「あんたは先生になってくれると思って大学にいかせたのにね」って今でも時折言われるが「あー教師をめざしたこともあったなあ」と遠い過去である。教育実習で「先生」って呼ばれるのは気分が良かったけど、まあ仕方ないよね。勉強嫌いだったし。


 年齢38歳。独身。支配人になったものの接客や仕事以外ではひきこもっていた。結婚にあこがれはあったが、一度同じお店の女の子に告白したら、こっぴどい目にあった。内容は思いだしたくないので割愛する。趣味は、ゲーム、漫画やアニメもたしなむ。見事なインドア趣味。オンラインゲームでは、部下には見せないテンションではしゃぎまくっていた。20代とかわらないノリであった。なんか結婚しないで女性づきあいもないと、精神年齢が上がらないような気がする。

あくまで持論・・・

で、最近のはまりはネット小説。

アニメで異世界転生ものが目立つようになり

はじめは興味が無かったが、好きなアニメが原作ネット小説作品だったということもあり色々と読んでみた。

読んでみるとまあ面白い。知らずに生きてきた俺は人生を損していたと思えるくらいに。

特に好きなのはハイファンタジー 剣と魔法の世界もの。

俺だったらこうするのにとか

あー王道展開だなとか

チート萎えるわとか 順調に楽しんでた。

仕事をしながら 夜更かしして読み漁った。

睡眠時間を削りまくって。。。


 結構な数のストーリーを読み漁り、今度は

自分なりに小説を書いてみたくなった。

まずは、知識集めからだよねと、色んな資料集を買いあさった。ほぼひきもり&実家&支配人の給料なためそこそこの軍資金はあった。一番高かったのは、西洋のファンタジー辞典みたいな本。高価な背表紙がついてて分厚く重く中古で2万もした。

読もうと思ったらよくわからない言葉で書かれてて断念した。

なんかア○ゾンレビューにかいてたのとちがうんですどおおおおっと

憤慨しつつ、とりあえずもう読むことはあるまいと本だなの一番上に無造作においといた。


これがいけなかった・・・


予想外の天災・地震である。それほど規模の大きな地震ではなかったが、本だなの下にふとんがあったため、西洋ファンタジー辞典様が揺れて私の頭に落ちてきた。あっと思うも一瞬のことで・・・


たぶん こういうのが クリティカルヒットっていうんだろうね。

一発で意識が飛んだ。



 気が付くと 真っ白な部屋にいた。

部屋の真ん中には机が一つ。机の上にはでっかい本・・・


 ここどこ!?さっきまで自分の部屋だったのに!?


と混乱しつつ 机に近づき上においてある本を手に取ってみる。表紙を見てびっくりする。ファンタジー辞典様(中古2万円)である。意識を失う前に無慈悲な一撃を加えた本である。よくわからないけど、手に取って中を開いてみてみるとおかしなことになっていた。読めなかった文字が読めるのである。


ーーーこの本は、あなたを異世界にいざなう転生魔法がかかっています。発動条件は、本を持ったまま今の世界での生を終えること。今ある知識はそのままに別の世界で新しい生を授かります。この本は役目を終えた後あなたを送った別の世界に飛んでいきます。ですので産まれかわっても同じ手段で別の世界に行くことはできません。今ある知識はそのままですが、飛ばされた世界にあるどの生物として生まれ変わるかは無作為です。もうすぐあなたの魂は飛ばされます。さあ望みなさい。どんな世界がいいか、どんな生物として生まれたいか。もしくは特殊な能力を持って生まれることもできます。ただし、望みは一つしかかないません。一番強く望むこと以外は無作為に決定されます。この文章を読み終えた10秒後に転生魔法が発動します。準備はいいですか?願わくばあなたにとって素敵な旅路であらんことをーーー


 え、俺死んだの・・・?嘘だよね。。。本で死ぬなんて・・えーーーーーー

 待て待て10秒?あーなんか本ひかってるううううううう時間がねえええええええ。

 世界?能力?種族???あーーー本が点滅してるううう とりあえず 人間だったらなんでもいいいいいいいいいい、


 あまりに唐突な展開にチート能力や細かい世界など浮かぶわけもなく。理解のおぼつかないまま俺は本からでる光につつまれたのだった。




 ふと目が覚めると、見たこともない天井が見えた。さっきのは夢かあ。救急車で病院に運ばれたのかな。。。

などと考えてると 足音が聞こえてきた。

家族かお医者さんかなと思い首をふろうとすると全く体が動かないことに気づく。

「あ~あ~」

声もまともに出ない。

やばい、本ぶつかって脳に障害をおったんじゃ・・・と

戦々恐々としていると見知らぬ外国風のおっさんの顔が目の前に近付いてきた。


 顔でか!!てか、なぜに外人。。。


知らないおっさんに近づかれびびっていると ぐあっと抱きあげられた。

その時ちらっと見えた俺の体は赤ちゃんのものだった。。。



 ???なんだこれ・・・赤ちゃん???生まれ変わり!?

   さっきの話は本当だったってこと???えーーーーー

っと混乱していると


「####。#####」外国風おっさんが何か言ってきた。

よくわからない言葉だ。日本語でも英語でもないっぽい。多分。

あくまで多分。英語なんて聞き取れないしね・・・


本当に・・・生まれ変わりで・・・異世界なのか・・・


コツコツともう一人別の足音が聞こえてきた。何かしゃべりながら おっさんから俺を受取り顔を近づけてきた。女性だな。外国っぽい顔だから年齢がよくわからない。顔は まあ 俺の基準ではあるが美人ではないな。おっさんもお世辞にもかっこよくはなかった。これは 容姿には期待できないなと落ちこでいるとおもむろに女性が服をずらし おっぱいを近づけてきた。

38歳の俺なら多少興奮したかもしれないが、

現在の体は多分性欲もないだろうし美人でないおばさんのおっぱいには困惑しかなかった。

しかし、お腹はすいている感覚もあったしありがたく乳をいただくことにした。

母親らしき人物のおっぱいを吸っていると

目の前にいたおっさんが 空の水差しをテーブルに置いた。

そして驚愕の光景がそこにはあった。

おっさんの手から水が出て水差しに注がれているのである。


 うへ、手から水だした。。。あれってやっぱ魔法なのかな・・・今までのところをまとめると・・・


1・ファンタジー辞典の会心の一撃で俺即死

2・よくわからない本の力で異世界で転生。俺今赤ちゃん。

3・この世界の両親?は、美形ではない。(トンビが鷹を生むことに期待)

4・おっさんが手から水を出した。たぶん魔法だろう(そう思いたい。俺も使いたい)

5・本はもう無いので日本には帰れない。(お母さん、お父さん・・・ごめんなさい。教師にもなれず、孫見せれなかった。頼むからPCは触らずに処分してください・・・)


 夢って感じではない。リアルすぎる。視界も感覚も・・・小説を書くつもりが小説みたいな世界に飛んでいくことはなあ。。。まあ今生きてることに感謝してこの世界で生きていくしかないよな・・・あーおなかいっぱいになってきたら眠くなってきた・・・


母乳をもらいながら色々考えているうちに俺は寝てしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ