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アニメ学院で出会った女の子は中毒系女子でした。  作者: 神戸 生一本(かんべ きいっぽん)
第一章
7/13

ピンクのランジェリー

上京してすぐバイトを決めていた糀は土日はバイトのOJTを受け、入学式からずっと新生活を満喫している。


そして、迎えた月曜日。


音響コースでは監督コースと合同でアニメ制作の流れの説明を受けていた。


原作→→↓

↓ ↓

脚本→キャラクターデザイン

↓  ↓  ↓

絵コンテ→原画→動画→撮影→アフレコ→M&SE入れ→完成。


「といった流れになります。もちろん、あくまで大まかな流れですし、近年はCGを多用していますので、これは少し古い製作過程となっている現場もあるでしょう」


当時でもこれはなかなか古いやり方になっていたらしいので、いわゆるイメージだ。


「またアフレコは絵がない状態で行っていることがほとんどなのはご存知の通りです」


つまり、現場にいるベテランさんたちにとって常識なことは、新人も知っとこう、みたいな事なのだ。



と、いった調子で午前の講義を受け、午後の声優コースのレッスンを迎えた。




**********




レッスン室の扉は普通の扉だが、何だか特別な感じがする。気合いが入るというか、緊張が増すというか。


「よし、」


深呼吸して、扉に手をかけ、レッスン室に先にいるクラスメートに挨拶をしようと気持ちを作る。



「おはょ・・・」

「こんにちは!」


挨拶しようとした、糀の気持ちを吹き飛ばすほど喰い気味に女の子が挨拶をしてきた。


「・・・」


勢いといい、声の大きさといい、そしてこの業界ではまず使わない「こんにちは」と挨拶をされ、糀は戸惑った。


しかしそれも束の間、その戸惑いが驚きで上塗りされる。


「あぅ・・・えぅ・・・」



なぜなら、目の前にはオタクっぽくない手脚の長いスレンダー女子がいたのだ。


しかし、それで糀が驚いた訳ではない。


「えーっと、あ、あのさ」


「はい?」


18年の人生で思考が固まることなど、記憶にない糀だが、この時ばかりは固まってしまった。


「な、なんで下着姿なの?」


そう、そのモデル体型の女の子は上下ピンクのランジェリー姿なのだ。


「あ、いえ、そのオリエンテーションで更衣室が狭いからと・・・」


青本先生は確かに更衣室は狭くまたトイレで着替えるのは禁止だと、


だから極力、女子もレッスン室で着替えられる格好で来るようにと言っていた。


だけど、それはキャミソール着てこいとか、黒パン履いてこいって暗に言っていたのであって・・・。


「や、やっぱり、私みたいな背が高くて、胸がない女子がピンク色のランジェリーって、気持ち悪いですかね?」


「いや、そうじゃなくて・・・」


ボケなのかとも思ったが、ここは東京だ。


糀の出身の関西のように身体張ってまでネタをするところじゃない。


「関西女子でも、さすがにしないわな」


そんな言葉にならない独り言を言っていると、ランジェリー女子が決意の表情で見てきた。


「で、でもだからこそ下着くらいは好きな色着たいなって思ったんです。見苦しくても許して下さい・・・」


「そ、そこじゃなーーーい」


「?」


「あー、いや、んーと」


何を言うのが正解なんだ?この場合は。


「ピ、ピンク似合うと思うよ。きょ、今日からよろしく」


盛大にどもってしまったではないか。


「ありがとう!私は上杉千夏。よろしくね!」


意味不明すぎるが、はたから見たら、この学院に通ってること自体か意味不明なのだろうから、今さらか。


「俺は此花糀。よろしく!」

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