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アニメ学院で出会った女の子は中毒系女子でした。  作者: 神戸 生一本(かんべ きいっぽん)
第一章
5/13

声優業界の入口で。

本館の案内をしてもらい、簡単なお昼ご飯を食べて、別館へと戻る。


行きとは別の道で戻ろうとしたが、裏道で工事をやっており、かなり迂回することとなった。


糀が教室に着いたのは14時から始まる午後の講義の10分前だった。


教室に入ると午前の音響コースの倍の学生が、独特な雰囲気を醸し出し座っていた。


山吹色の髪のコがいるかなと心のどこかで期待していたが、世の中そんなに上手くは行かないようだ。


そんなことを考えてるうちに、張りつめたオーラをまとった講師が部屋に入ってきた。


「これより、声優科のオリエンテーションを始める」


その男性講師は抑え目の声色に、少しの気迫を込めたトーンで話して始めた。


教室の空気が一変する。


「まずは、声優コースの簡単な説明から始める」


「このらんクラス以外に、ばら、ふじ、ゆりのクラスがある」


「それぞれに午前と午後のクラス、つまり全部で8クラスだ」


淡々と同じトーンのままで話す講師


「声優コースは4月と5月に基礎鍛練を行い、6月末に最初の舞台演習、そして、7月からは夏休みを挟んで、10月の学園祭の演目の実習を行う。ここまでは大丈夫かな?」



「はい」「・・・」



午前の音響コースのオリエンテーションで、全体の場でも返事をしっかりするよう指導を受けていた糀を含むクラスの半分は返事をし、もう半分は無言だ。


「・・・」


場の空気が変わったと実感する。


「いま、返事をした奴はいーよ」


低いトーンで、威圧感を強め青本は話しを続けた。


「で、シカトした奴は授業中、俺がシカトしても文句ないんだよな?」


「・・・」


挨拶や返事は大事だと、常々幼少期から誰しも言われる。


そして、少人数同士なら多くの人はしっかりとそれらをするものだ。


だが、1人が大人数に対して話しているこのような場所では往々にして、1人の発言に対する挨拶や返事は疎かになりがちだ。


そして、それを多くの人は普通だと思いがちだ。


だが、縦社会である芸能関係において、そんなある意味での「普通」が通用することはなかった。



外の工事の音がレッスン室に響き、学生にとっては居心地の悪い雰囲気だった。


しばしの間をおいて、青本はゆっくりと言葉を発した。




「もう一度聞く」


「ここまでの話は大丈夫かな?」



(((「はい」)))



今度は「シカト」する人はいなかった。

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