子ども
「アレン・・・アレン?」
背負った子どもの名前を呼ぶが返事がない。
立ち止まり、首を回すとアレンは寝ていた。
安心しきったような寝顔をしている
ふと、俺にもこんな時期があったのだろうかと思った。
師匠との修行は厳しかった。
毎日痣や打ち身、擦り傷を作ってその度にとんでもなくしみる薬や湿布、軟膏を塗って貰った。
家に帰る途中の記憶がない所を考えるとやはり、師匠の背中で寝ていたのだろう。
師匠・・・風音も今、俺がアレンを背負ったように俺を背負って家に帰ったのだろうか?
そんなことを考えていたらなんだか人が恋しくなった。
誰か側にいて欲しいと思った。
誰も寄せ付けない冷酷な人殺しは少しの間奥に引っ込んだ。
かわりに、師匠、シュトーレン、夏鈴の顔が浮かんだ。
不安なのか?
この俺が?
子ども一人預かっただけで?
月は天高くか細い光を振り撒き、森を歩く足音は夜に静かに木霊しやがて消える。
後少しで町につくだろう。
アレンに野宿はさせたくない。
体調を崩されたら困るからだ
シュトーレンが居ればいいが、生憎居ない。
さらに、俺は外傷薬しか持ち歩かない。
運よく薬屋のある町であれば良いが、中々そうもいかない。
急ごう、夜は冷える。
あとは宿についてからゆっくり考えよう