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樹海
月の姫を連れてこい
そんな指令を受けたのはもう一週間は前のことだった。
俺はもらった地図を便りに森を歩いていた。
チィチィチィ・・・
カカカカカ・・・
余り聞かないような鳴き声の鳥たちが囀ずり合っている
山奥も奥なのだから知らない生物がいても不思議ではない。
もはや秘境と言えるほどの樹海。
こんなところに本当に人が居るのかと疑いたくなる。
高く聳える木々は入るものを拒む檻のようにも思える。
進んでも進んでも同じ景色で代わり映えすることがないようになったのは確か3日前だった気がする。
熟とそんなことを考えながら俺はひたすらに、惰性のように足を動かし続けた。