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うつつのなかの
『なぁ、シュトーレン』
懐かしいあいつの声だ
『この子は・・・』
久し振りに夢を見た。
今は亡き相棒の夢
もっとも相棒だと思っていたのは俺だけかもしれない
あいつは
風音は強かったから
俺なんかの助けなどは要らなかったと思うそんな俺でも風音は友と呼んでくれた
1度だけだったが
それでも嬉しかった
風音に育てられたあの子どもは強くなった。
本当に強くなった。
たまに顔を会わせる度に手合わせするが、だんだんと押し負ける。
力だけじゃない、技も機転も俺を上回るのは時間の問題だろう
そう言えば、風音はあのあと何と言ったのだろう?
思い出せない。
俺は微かに寝息を立てて眠る弟子を見ながら夜明けを待った。