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導かれて

さくさくと草を踏みながら道なき道を歩く

目標も目的もないはずなのに何処かへ導かれるようにただただ歩く

歩き始めてだいぶ経った頃ゴツゴツとした山肌を晒した斜面が見えた。斜面に沿うようにまた歩く

少しすると山肌にぽっかりとばかでかい穴が開いていた。

心では躊躇っているのに体は穴へ向かって進んでいく。


穴の内部は広く深かった。

進んでも進んでも行き止まりにたどり着かない様だった。

既に日の光が届かないほど奥まで来てしまった。

いつの間につけたのだろうか手には松明たいまつを持っている。

ゆらゆらと揺れる不安定な光は闇のすべてを照らしてはくれない。


ピチョン・・・


足音と水滴が落ちる音だけが鼓膜を震わす。


「いらっしゃい」


声がした

女の柔らかい声が


「そう、こっちこっち」


体は声に従うようにさらに奥へと向かう。


「よく来たわね、劉璃

待ってたのよ?」


姿は見えない

けれど、どこか親しげな響きを持つ声。


不安定な明かりはついに行き止まりを写し出す。


真っ白な女が立っていた。


服も肌も髪も白い女。


その女は

夏鈴によく似ていた。

鏡に写したようにそっくりだ。


そう思った途端

ふっと火が消えた


女の姿も声も気配もすべて消え、立ち尽くす俺と闇だけが残った。

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