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トリックスター(プロメテウスの火)  作者: ランプライト
第十章「ザ・ホーリー・ビースト」
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089 星田翔五:「五行聖獣 その2」

機体を真っ黒に染め上げられた、3機のティーガーHADが、ローター音を轟かせながら強襲!


手持ちのPARS 3LRを、全弾、…撃ちっ放す!


喜多見と翔五目掛けてぶっ放される、…合計24機の対戦車ミサイル!


しかし何処からとも無く飛来して!…真正面から交錯する、煌く無数の、超高速回転ダイアモンド・カッター?


分子間結合をすっぱり両断する、超高精密度の一閃が、…24機のPARS 3RSを一瞬の内に、三枚に下ろした?


フラフラと軌道を弾かれて、不発のままに、明後日の方向へと墜落する、ミサイルの残骸!


星田翔五の正面に、控えるのは、…濡烏の髪の美女、鴫野瑞穂!


瑞穂:「悪いけど、気安くうちの旦那に触んないでくれるかな?」


そのまま突っ込んでくるティーガーHADの主ローター翼が、意味不明に突然切断!ふっとび?…


揚力を失った3機の攻撃ヘリは、道路上で渋滞した放置車両の上に、墜落! 横滑りに滑走して、…ブレイクダウン!




喜多見:「お前、…結構、嫌われ者なんだな?」


翔五:「言っとくけど、狙われてんのはお前の方だからな! …勘違いするなよな!」


喜多見:「まあ、良い、…想定外の飛び入りのお蔭で、全ての準備は整った。」


逆さに宙に浮かんだ喜多見の指先に吊り下げられた、「銀の鍵」は、今や紫色の妖しい輝きを放って、くるくると、回転を始めていた。


喜多見:「既に事は成った。「ヨグ=ソトース」へと誘う「銀の鍵」は今や三条茜の「望み」によって、契約を発動した。 これより世界は、作り変えられる。」


ぽかん顔で、宙を回転する「鍵」を眺める、三条茜、それと、星田翔五?


茜:「私の、…望み?」



喜多見:「時間も空間も、思いのままに操る事が出来れば、過去も現在も、お前の意のままになるとは、思わないか? 今日起きた全ての痛みを、ただの夢だった事にする事が叶うとしたら、お前はそれを望むか?」


喜多見:「そして、お前は、それを、…望んだだろう。」


仮令たとえ口に出して願わなくとも、それを心に思い浮かべるだけで、悪魔の契約は結ばれる。


何故なら、全ての魔力の発動開始剤は「人の想い」そのものだからだ。



喜多見:「今からこの惑星が一回転する間に、全ての苦しみは全てなかった事にされる、幾多の戦争も、それの元となった文明も、貧困も、疫病も、全ての苦しみは、キャンセルされて、元から無かった事にされる。」


喜多見:「原子力や電気や蒸気機関の発明はご破算にされて、人類の進歩は凡そ3000年を遡り、全てのヒトは、もとより神に自我を植え付けられる以前の、…ケモノへと還る。」


喜多見:「そうして再び、全てがやり直される、我らが「真なる神」の加護の下で、だ。」


翔五:「…壮大だナぁ、」

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