080 毅&武琉:「這い寄る混沌 その10」
やがて、飛蝗の群れが去ったのに気が付いて、ガヤガヤと建物から出てくる野次馬達、…
葛葉:「まずいな、此の侭放っておくと、自動的に感染者が増えるぞ。」
人ゴミに紛れれば、誰が人間でどれがアバドンなのかを見分ける事も困難になる。
そこへ、…プロメテウスが降下して来て、地上3m辺りを無音で空中浮遊する。…胸のキャノピーが開いて、中からツインテールの美少女=ミリアムが、顔を覗かせる。
ミリアム:「どうかしたの?」
葛葉:「どうやら、この「聖霊」はアバドンとは無関係らしい。 アバドンの対処は別に考える必要が有るが、上手い方法が思いつかない。…ミリアム、プロメテウスの能力で、アバドンの本体の位置を探り出す事は出来ないか?」
ミリアム:「さっきからやってるけど、どれが本体なのかは分からないのよね、アバドンらしいのは大体位置がわかるけど、…何だか急に減ったみたいね、それでもまだ19325人位は居るわ。」
サクラ:「すごーい、かっこ良い!」
空飛ぶロボットの操縦席に座ったミリアムに向けて、サクラ、尊敬と羨望の眼差し!
ミリアム、尻尾の生えた可愛らしい幼女に、照れて、…ちょっとハニカム、
ミリアム:「しょうがないから、全部叩き潰そうか?」
葛葉:「駄目だ、プロメテウスの砲撃は周辺の原子組成を変えてしまうらしい、…際限なしには使えば、パリの地盤が脆くなって、地下鉄や建物に被害が出る恐れがある。」
武琉:「それなら何処か一か所に、おびき寄せられないのか?」
武琉、不思議そうに、無音で空中に浮かんだままのプロメテウスの、装甲板の裏側を、…覗き込む。
サクラ:「武琉! そんなトコ見ちゃ駄目!…エッチ!」
武琉:「いや、…それは無いと、思うゾ、」
ミリアム、プンスカ武琉に説教するサクラを見て、…何だかニヤケてる、
葛葉、口元に手を当てて、眉を潜めて、暫し思案、…
葛葉:「そう言えば、シテ島で奴らは常に俺達を狙って近づいて来ていたな。」
葛葉:「もしかすると「聖霊」であるミリアムを感知している可能性は有る。 試してみる価値はあるな。…ミリアム、悪いが「餌」になってもらえるか。」
ミリアム:「どうせなら「囮部隊」って言ってよね、」
ミリアム、ジト目で毅を睨む、…




