079 毅&武琉:「這い寄る混沌 その9」
遅れて辿り着いた楓と茜が、合流する。
楓:「ぅわぁ…、何時見ても容赦ないわね、アメミットの食事風景って、…」
フリオの身体はアメミットに喰い溶かされて、…分断された上半身と下半身の間から、湯気を立ち上らせる白骨と臓物が剥き出しになっている。
徐々に復活しつつある頭部も、アメミットの苦痛からは逃れる事が出来ず、白目を剥きながら呻き声を上げるばかりである。
背広女:「これで、何とか事態は収拾できたのかしら?」
流石に疲れ切ったのか、サシモノ背広女も、大股を広げて地べたに座り込む。(注、スーツパンツ穿いてます。)
葛葉:「未だだ、群生相飛蝗の群れは激減したみたいだが「アバドン」は依然健在だ。 その数も今では2万を超えている。」
背広女:「数が増えてるって、しかも万って、…どういう事?」
葛葉:「「アバドン」は目を見る事で感染する新しいタイプの「聖霊」らしい。 恐らくカメラを通した映像を見ただけでも感染する。 感染した人間は新たな「アバドン」となって攻撃をしかけてくる。 まるで映画のゾンビみたいだ。」
背広女:「見ただけで感染とか、なんて出鱈目なの、」
楓:「何だか呪いのビデオみたいね。」
葛葉:「俺の同僚達は恐らく、ヘルメットに装備されたビデオ通信用のスクリーンを通じて感染したらしい、俺のヘルメットは運良く故障していたお陰で、その「映像」を見なくて済んだ、と、…言う事の様だ。」
背広女:「もしかして、本部と連絡が取れない事と関係ありますか?」
葛葉:「ああ、総司令からの通信によると、…ベルサイユの本部でも映像を通じた「感染」が起こって、作戦室が使えなくなったと言っていた。」
危険が去ったのを察知してか、サクラが退避していたホテルの向かい側の建物から、飛び出してきた。
サクラ:「武琉!」
勝手知ったるか、ボロボロに千切れた武琉の衣服の着替えに、巨大な縫い包み型リュックから替えのトレーナー上下を取り出して武琉に手渡すサクラ、…
武琉:「それで、そのアバドンとやらは、…どうするんだ?」
武琉は真っ新なナイキに袖を通して、替えのニューバランスのシューレースをキツク結ぶ、




