077 毅&ミリアム:「這い寄る混沌 その7」
時同じくして、シテ島、サント・シャペル前、
突然、辺りを埋め尽くしていた放置車両のウインドウ・シールドが破砕!…旋風の様に舞い上がる!
ガラスの嵐が、葛葉毅とミリアムを直撃し!
防刀機能を有する葛葉の戦闘スーツが、その耐久性のギリギリの処で、…
上空に浮かんでいたミリアムの「聖霊」プロメテウスが急降下して、二人をガラスの嵐から覆い隠す!
ミリアム:「毅!早く!」
見ると、プロメテウスの胸の部分のキャノピーが開いて、…中に、人が乗れる様になっている?
葛葉は腕に抱いていたミリアムを先ず、プロメテウスの中に押し込めて、…フリークライマー顔負けの握力とバランス感覚で、…自らの身体を、その操縦席?らしき狭い空間に、滑り込ませた!
そして、…上空へと飛び上がるプロメテウス!
切り刻まれて落下して行く群生飛蝗の群れを尻目に、一気に、ガラスの台風の上へ、…出る。
葛葉:「凄いな、これは、人が乗れるのか?」
プロメテウスの腹の中は、殆ど空洞で、バイクのサドルの様な小さな座席が一つだけ、それと左右のフットレスト、それに上半身を支えるハンドルが二つ、…葛葉はそのサドルに跨って、ミリアムを自分の膝の上に抱きかかえる。
ズダズダに切り裂かれたミリアムの皮膚が、ミルミルうちに、完治して行く。
葛葉:「大丈夫なのか?」
ミリアム:「当たり前でしょ!」
ミリアム:「言っとくけど、これは明らかに「貸し」だからね。」
葛葉:「ああ、正直助かったよ、」
ミリアム:「馬鹿!違うわよ、…アタシを抱っこしてる事が、よ! …このむっつりスケベ!」
葛葉、一瞬だけ、苦笑い、…
ミリアム:「それで、これからどうするの?」
葛葉:「アバドンを一体ずつ潰すのは効率が悪い、…何とか一気に潰す方法は無いかな、」
ミリアム:「こういう場合、大体映画とかアニメじゃ、本体を叩けば良い事になってんだけど、…何が本体なのか判んない。」
その途端!…プロメテウスのキャノピーの裏側に、恐らく位置情報を示しているらしい赤い点滅、場所は、ガルニエ傍、…オスマン通り、
ミリアム:「これがもしかして本体?」
葛葉:「判らんが、…ここに行けるか?」
ミリアム:「当然でしょ!」
どうやって操縦しているのかは、一切不明だが、恐らくミリアムとプロメテウスは、脳の機能を、共有しているらしい。…プロメテウスの察知した物が、そっくりそのまま、ミリアムに伝わり、…ミリアムの思った通りに、プロメテウスが行動する。
葛葉:「何だか、得体の知れないのが増えて来たな。」
其処に見えるのは、巨大な星鼻モグラと、化け猫?
両者は、どうやら、戦闘状態に在るらしい。
葛葉:「一体、どっちが、味方で、どっちが敵なんだ?」
ミリアム:「そんなもん、聞いてみりゃわかるわよ!」




