075 星田翔五:「這い寄る混沌 その5」
瑞穂:「それで、どうするの?」
翔五:「まあ、三条さんには、涼子がお世話になってるしな。」(注、イーヴィル・アイ(邪視眼)エピソード047)
瑞穂:「ふーん、お気に入りなんだぁ、…茜ちゃん。」
瑞穂の眼差しは、何処となく、軽蔑?…憐れみ?…諦め?…
翔五:「なんか、棘が有るなぁ、…手伝ってくれる?」
瑞穂:「あんた、私の事なんだと思ってる訳?」
瑞穂の眼差しは、どうしようもなく、軽蔑?…憐れみ?…諦め?…
翔五:「時々、色々、しょうが無い姉貴、」
瑞穂:「…、」
瑞穂、目を閉じて、…
瑞穂:「全く!」
翔五:「悪いな、」
瑞穂:「いちいち謝んない! もっと自覚しなさい!」
明里:「あの、私も着いて行っても、良いですか?」
翔五:「ああ、出来るだけ僕から離れないで、」
それで、…
ルーブルの外は、今や急速に数を増した肉食飛蝗の群れが、まるで砂嵐の様に、全天の視界を、塞いでいる。…とても、この中に出て行く事等、不可能と思われるが、
警察官:『危ない! 戻って! …奥に入るんだ!』(注、『』はフランス語)
翔五を制止しようと近づいて来た警察官が、突然、意味も無く卒倒した。
何故か、後頭部に鈍器による打撃の痕、、
瑞穂:「悪いけど、うちの「マスター」に気安く触んないでくれるかな?」
で、外はまるで滝の様に荒れ狂う、肉食飛蝗の洪水!
瑞穂:「ああー!もう、…鬱陶しい!!」
で、次の瞬間!
世界が終った様な、強烈な破砕音が、パリ全体を、襲った!
一瞬の内に、ルーブルを中心とした半径10km範囲内のガラスが!…爆砕する!
建物から、車から、粉砕して、煌めく竜巻の様に舞い上がり!
僅か10秒の内に、空を真っ黒に覆い尽くしていた、恐らく数億匹以上居たであろう全ての肉食飛蝗が、切り刻まれて、…
ミンチにされる!
どす黒い、昆虫の肉骨粉が、雪の様に、パリの街に降り注ぎ、…
そして、後には、…
澄んだ空が、戻って来る。
それで今度は、ざわざわと、瓦礫の隙間から姿を現す「アバドン」化したゾンビ達!…数十体!
煌めくガラスの竜巻は、次に一斉に隊形を変えて、無数の直径50cm余りの円形超高速回転カッターと化して、…縦横無尽に飛び回る!
問答無用に次々と微塵切りにされて行く、数十体の、…「アバドン」達!
瑞穂:「雑魚が! 突っかかってくんじゃない!」
明里:「一体、何が、…起こってるんです、か…?」
翔五:「まあ、気にしないで、…」
それで、濡烏の髪の美女が、コキコキと、…首の関節を鳴らす?
瑞穂:「それじゃあ久しぶりに、…ストレス解消させてもらうわよ!」




